HGW XX/7
gewidmet,
in Dankbarkeit.
『善き人のためのソナタ』(Das Leben der Anderen) は、2006年制作のドイツ映画。日本での配給はアルバトロス。かつて東ドイツにおいて未曾有の監視体制を敷いた秘密警察「シュタージ」(国家保安省)を題材に、反体制活動家を監視するうちに心を動かされていくシュタージ職員を描く。
フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督の初長編作品でありながら、またアルバトロス配給作品でありながら各国で高い評価を得、アカデミー賞外国語映画賞を始めとする数々の映画賞に輝いている。
登場人物(キャスト)
- ゲルト・ヴィースラー(ウルリッヒ・ミューエ)
- ゲオルク・ドライマン(ゼバスティアン・コッホ)
- クリスタ=マリア・ジーラント(マルティナ・ゲデック)
- アントン・グルビッツ(ウルリッヒ・トゥクール)
- ブルーノ・ヘムプフ(トーマス・ティーメ)
制作
本作はクランクインからクランクアップまで37日間という驚異的なスピードで制作された。
その一方でディティールにも拘られ、作中に登場する盗聴装置のほとんどは実際にシュタージが使用していたものである。また、一部の撮影はベルリンのシュタージ博物館(旧シュタージ本部)でも行われた。
影響
本作は国際的な評価を集めるとともに、その後の現実世界における監視活動のあり方についても議論を提供した。
2013年にアメリカ国家安全保障局 (NSA) が世界各国の数百万人の個人情報を収集していたことが暴露された際には、複数の識者が本作を挙げて政府の監視活動に対して警鐘を鳴らした。また、2014年にはイスラエルの諜報機関である8200部隊の43人の情報員が、「無実のパレスチナ人に対する監視にこれ以上耐えられない」として監視活動を拒否した。このうち1人はボイコットのきっかけとして本作を挙げている。
主人公ヴィースラーを演じたウルリッヒ・ミューエは、映画公開にあたってインタビューに応じている。その中でミューエは、自身も東独時代に反体制活動をしていた頃、女優である元妻に情報をシュタージに密告されていた、と明かしている(ただしこれはミューエからの一方的な主張であり、その後元妻に訴えられ敗訴していることに留意されたい)。
本作は概ね好評を得た一方で、そもそもシュタージの人間が「善き人」に変化するというストーリー自体非現実的であるとの指摘もなされている。事実としても、(協力者はともかく)ヴィースラーのようなシュタージ正規職員が己の良心のために監視対象をかばった事例は確認されていない。また、本作はロケハンの段階でも、一部のシュタージ関連施設から「シュタージを美化している」「シンドラーは実在したがヴィースラーは実在しない」との理由で撮影を断られてもいる。
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関連項目
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