ただそれだけのことがどうしてこんなに特別なんだろう。
夜のピクニック(よるのピクニック)とは、恩田陸の青春小説である。
概要
恩田陸の代表作ともいえる作品であり、第2回本屋大賞・第26回吉川英治文学新人賞の受賞作。恩田の母校である茨城県立水戸第一高校の名物行事「歩く会」をモデルに、高校生活最後の学校行事として80㎞を歩き通す中で生徒たちの交流を描く。
恩田が専業作家になってすぐの1998年、各社の編集者に集まってもらい執筆予定の小説の案を10本ほど配って編集者に気に入ったものを買ってもらうという小説オーディションを行ったのだが、本作はそのうちの1本。「小説新潮」で2002年〜2004年に連載されたのち、2004年7月30日に新潮社から発売された。現在は2006年に出た新潮文庫版が入手可能。また2002年発売の短編集『図書室の海』には、前日譚「ピクニックの準備」が収録されているので、あわせて読んでおきたいところ。
映画版は2006年9月30日に公開され、前述の水戸第一高校が実際にロケに使われた。多部未華子・貫地谷しほりという後の連続テレビ小説ヒロインが共演していることもで有名。回想シーンがいろいろと盛りすぎなのが残念だが。
あらすじ
進学校として知られる北高には、「鍛錬歩行祭」という80㎞をほぼ徹夜で歩き通すという伝統行事がある。3年生の甲田貴子はこの高校生活最後の行事で、誰にも言えなかった秘密を清算しようとある"賭け"をして臨む。貴子たちはクラスメイトと夜通し歩き続ける中で、普段言えないようなことを語り合って特別な時間を過ごしていく。
主な登場人物
- 甲田貴子【多部未華子】
- 北高3年7組の女子生徒。会社経営の母親と2人暮らしで自称・根っからの文科系。最後の歩行祭に小さな賭けをして臨む。帰宅部。
- 西脇融【石田卓也】
- 甲田貴子と同じクラスの男子生徒。高校入学直前に父親が他界し、以後母親と2人暮らし。貴子のことを露骨に避けている。テニス部。
- 戸田忍【郭智博】
- 融の親友で貴子のクラスメイト。水泳部。高校最後の歩行祭で融と一緒にゴールすることを事前に約束。作中で断言はされていないが貴子に好意を抱いている。
- 遊佐美和子【西原亜希】
- 貴子の親友。和菓子屋の娘で文武両道、いかにも大和撫子な外見を兼ね備えた北高男子のアイドル。理系で農学部志望。
- 後藤梨香【貫地谷しほり】
- 貴子たちのクラスメイト。演劇をこよなく愛しており、早稲田大学での演劇サークルで脚本家になるのが目標。
- 梶谷千秋【松田まどか】
- 貴子たちのクラスメイト。慶応義塾大学の文学部が第一志望。飄々とした性格で背が高い。
- 榊杏奈【加藤ローサ】
- 貴子・美和子の親友で帰国子女。スタンフォード大学受験のため高校2年の末に再渡米。歩行祭の直前、貴子たちの悩みが解決するようにある「おまじない」をかけておいた、という手紙を貴子に送る。
- 榊順弥【池松壮亮】
- 杏奈の弟。歩行祭をバカにしていたが好奇心旺盛なため、わざわざ来日してまで乱入しようとする。
- 高見光一郎【柄本佑】
- 融と貴子のクラスメイト。ロック好きすぎて昼夜逆転の生活を送っており、「ゾンビ」と呼ばれている。
- 内堀亮子【高部あい】
- 忍の元彼女。今は融を狙っていて、歩行祭であの手この手を使って告白しようとする。
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関連項目
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