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概要
筋萎縮性側索硬化症。英語ではAmyotrophic(筋萎縮性)Lateral(側索)Screlosis(硬化症)と書き、これらの頭文字をとってALSとも略される。
わたしたちが体を動かそうとするとき、体を動かすための「筋肉」に向かって、脳から「動け」という命令が伝わっている。この命令を伝えているのが、「神経」という糸のようなものである。
ALSでは、この「神経」の通り道である、背骨の中にある「側索」という部分がだんだんとダメになって(「硬化」して)しまう。
その結果、脳からの命令が届かなくなった筋肉は動かなくなり、ゆっくりと衰えて(「萎縮」して)いく。
症状
手足の力が入らなくなり、物をつかみにくく、立ち上がりにくくなる。喉の筋肉も衰えるのでしゃべりにくくなり、食べ物や飲み物を飲み込みにくくもなる。
病気がさらに進行すると手足を動かせなくなり、しゃべれなくなり、飲み込むことができなくなる。
飲み食いができないままでは生きてゆけないため、そこまで病状が進んだ場合には、胃に栄養剤を直接流し込む方法によって不足する栄養を補うことになる。
呼吸するための筋肉も弱っていくため、喉の気管に穴をあけて、呼吸を肩代わりしてくれる機械「人工呼吸器」を装着せざるを得なくなることもある。
病気の進行が非常に速いのもこの病気の特徴の一つで早ければ1年で呼吸が不可能となる。
大半の患者で、意識はほぼ衰えない。筋肉がどんなに衰えていたとしても、しっかりと意識、知能、意思、感覚、尊厳は保っている。
病気が進行するとしゃべれなくなり、指を動かせなくなるので文字を書いたりすることも難しくなり、コミュニケーションに不都合が生じてくる。ただし目を動かす筋肉は残ることが多いので、その場合は目の動きでコミュニュケーションをとる。最近では技術の進歩により、目の動きを使ってコンピューターを駆使している人も居るという。
しかし約1割は全ての筋肉が動かせなくなる閉じ込め状態(Total Lock in State)になる。さらにこの病気は常に進行し続けることを考えると実質的には全員がこの状態に至るとも考えられ、閉じ込め状態に至るかどうかは進行速度の問題とも言える。
「わずかな筋肉の電流、あるいは脳波でコンピューターを操作する」といった研究も進んでいる。これらの科学技術の進歩により、今後「完全に自分の意思を伝えることができなくなる」という状態は避けられるようになっていくと思われる。
原因
現在の所ははっきりした原因が不明で、研究が進められているところである。
60歳以上に多いが、20代も居る。
治療法
確立されていない。原因が不明なので、原因を叩くことができないのである。
数は少ないが、進行を抑制する可能性がある薬剤は存在している。日本では「リルゾール」(先発商品名:リルテック)や「エダラボン」(先発商品名:ラジカット)といった薬剤が治療に使用できる(2019年10月現在)。ただし、完全に進行を停止させるものではない。
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関連項目
ニコニコ大百科に記事がある、患者であることを公表した人物
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