「……こりゃあ『マリオカート』でよいですね」とは、ゲームクリエイターの桜井政博が、自身が開発するビデオゲームソフト『カービィのエアライダー』について(厳密にはその前作である『カービィのエアライド』について)述べた言葉である。
一見すると自虐的な発言にも見えるが、自身の作品が『マリオカート』シリーズといかに異なるかを説明するための、前フリとしての発言である。
なお、これはあくまでも『マリオカート』とジャンルの近しいゲームを開発するクリエイター側の言葉であり、プレイヤー側がほかのゲームを『マリオカート』と比較するための言葉ではない点に注意されたし。
概要
ゲームクリエイターの桜井政博が、『カービィのエアライダー Direct 2025.8.19』において『カービィのエアライダー』について解説する際、その前作である『カービィのエアライド』について開口一番、こう切り出した。
『カービィのエアライド』とは?つまり、カービィを使ったレースゲームですと。……こりゃあ『マリオカート』でよいですね。
このあまりに率直な発言がインターネット上で笑いを呼んだ。ちなみに、桜井はさらに流れるように以下のように続けている。
キャラもののレースで、ギミックのあるコースを走ったり戦ったりすると……うん、こりゃあ完全にマリオカートでよいでしょう!
これは、桜井自身が『カービィのエアライド』の続編を作らないかと、任天堂の取締役である高橋伸也と、HAL研究所の元社長である三津原敏から依頼を受けた際に述べた言葉とのことで、実際に「キャラクターもののレースゲーム」が抱えるジレンマを示した、率直な発言でもある。
『カービィのエアライド』の続編が長く望まれながらも、ファンから「実現は難しいのではないか」と言われてきた理由の一つに、同じ任天堂のIP内で同系統のレースゲームが存在し、競合してしまうという問題があった。『Forza Motorsport』シリーズのような純粋なレースゲームとは異なり、パーティーゲームとしての妨害要素やギミックのあるコースを用いた作品の金字塔であり、任天堂はおろか他社の類似ゲームにさえ引けを取らない『マリオカート』シリーズが存在する以上、『カービィのエアライド』は内容が重複してしまうのではないかと危惧されていたのである。
しかし桜井は、その後の解説で「このゲームの訴求点はレースではない」ことを何よりファンが知っていると述べ、実際に『マリオカート』とは異なる操作性やギミックなどについて、40分程度の時間をかけて順序立てて解説していく。
注意点
桜井の発言以降、他所のゲームに対して、プレイヤー目線で「これを遊ぶくらいなら『マリオカート』やるわ」と貶める意図でこの言葉を引用する人が後を絶たない。
上述したように、この言葉はそもそも自分の作っているゲームに対するクリエイター目線での発言であることから、その意図で用いるのは明らかに不適切である。
さらにそれだけでなく、
- 『マリオカート』を主力商品とする任天堂の取締役から直々に「キャラクターもののレースゲーム」を作るよう依頼されたこと
- 直後に「ファンの方々が知っているように、このゲーム(エアライダー)の訴求点はレースではない」と補足していることからわかるように、「いやいや、『マリオカート』じゃダメなんだよ桜井さん!」というツッコミ待ちのニュアンスが大いに含まれていること
- その後の番組展開で、「エアライダー」の課題である「マリオカートとの差別化」のための工夫が、『マリオカート』しか知らない人に対してもわかるように、時間をかけて丁寧に説明されていること
等々、高度なレベルの話がいくつも絡み合っているからこそ、「……こりゃあ『マリオカート』でよいですね」という発言がジョークとして成立しているのである。
間違っても、プレイヤー側の主観的な価値観で他所のゲームを『マリオカート』と比較して貶めるようなことや、それを正当化するためにこの言葉が引用されることは、断じてあってはならない。
煽りとして聞こえる性質が強い言葉でもあるため、引用する際はTPOを弁えるべきだろう。
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関連項目
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