概要
2012年にマツダが満を持して市場に送り出した、完全新型車。車格的には、日産デュアリス等と同格。
車名のCX-5は、「C」はクロスオーバーSUVを表し、「X」は未来を指し示すと共に、マツダのスポーツカーを意味する。「5」は1から9までの数字を用いたマツダ独自の車格区分のひとつである。つまり本車はスポーツカーとSUVのクロスオーバーである。
ちなみに本車は、2006年に発売されたCX-7の弟分に当たるが、日本国内ではCX-7の販売は終了しているため、実質的には後継車に当たる。
エンジンは新開発の2.0Lガソリンと、同じく新開発の2.2Lのディーゼルを搭載。駆動方式はFF/AWDである。
技術的特徴
SKYACTIV Technologyを全面採用
これは、エンジン、変速機、シャーシ、ボディーフレームの全てを新規にしかも統合的に開発した点に特徴がある。
それぞれに技術的課題を設定しており、従来と比べ効率的なものとなり、燃費やハンドリングに影響を与えている。
これまで、デミオ、アクセラと段階的に採用されてきた本技術であるが、このCX-5により完全な形で世に出されたことになる。
エンジン SKYAKTIV-ENGINE
前述のとおり、ガソリンとディーゼルの2種類のエンジンを搭載する。
圧縮比、空燃比、燃焼期間、燃焼タイミング、ポンピング損失、機械抵抗の6つを技術的課題に挙げ
ガゾリンエンジン PE-VPS (通称 SKYACTIV-G)
排気量2.0L、直列4気筒 直噴ガソリンエンジンで圧縮比は13.0:1である。
従来のものよりも圧縮比を大幅に引き上げ、燃焼効率を引き上げ、中速域のトルクを従来型から約15%引き上げた新世代環境適応型エンジン。
またそれに伴い、クールドEGRをはじめとした様々な技術が投入されている。
また、アイドリングストップ(i-stop)も装備されている。
2013年10月には2.5L、直列4気筒直噴エンジン車が登場。燃費はJC08モードで15.2km/L(2WD)
同時に行われた一部改良では、リアダンパーのデザインやシフトレバーの変更(ブーツを装備し質感が向上)がされた。
ディーゼルエンジン SH‐VPDS (通称 SKYACTIV-D)
排気量2.2L、直列4気筒 ディーゼルエンジンで圧縮比は14.0:1である。
従来のディーゼルエンジンと比べて、大幅に圧縮比を引き下げた新世代環境適応型エンジン。
従来はあまりにも「高すぎた」圧縮比のため、リタードと呼ばれる手法により、上死点を少し過ぎた(ピストンヘッドが下降し出した)位置で燃料を噴射し発火、燃焼させてきた。この方法では必然的に燃焼区画が広くなり、結果燃焼にムラが発生せざるを得ず、PM(スス)やNOx(窒素酸化物)の発生は必然的であった。
これに対してマツダは圧縮比を適正な所まで下げ、また燃焼室やピストンヘッドの形状を変更することにより、従来よりもより上死点に近いところで燃料を噴射することができた。これにより効率的な燃焼が可能となり、また燃焼温度も低下したためNOxの量も大幅に低下することができた。
尚、燃焼温度が低下すると通常PMの量が増加するが、マツダはこれに通常通りのフィルターで対処している(NOxのほうが後処理に金や技術的に難しいため)。
また、上死点付近で燃焼を開始するため、従来よりも仕事量を多くとれ、最大トルクは420Nm/2000回転というV8、4Lガソリンエンジン並みという図太いトルクを発生させている。また燃焼温度(爆発力)を引き下げたため各部の強度も低く済み、レブリミット5200回転というディーゼルエンジンとしては高回転エンジンとなっている。
またディーゼルとしては珍しくアイドリングストップが搭載されており、ガソリンと同じi-stopである。始動時間は約0.40秒。
これらの技術により従来比の20%の燃費低減が見込まれている。
ミッション 通称 SKYAKTIV-DRIVE
理想の駆動系への挑戦 として4~7%の燃費改善と、MTのようなダイレクト感とクイックシフト、スムーズで力強い
「燃費のよさ」「発進のしやすさ」「ダイレクト感」「なめらかな変速」を開発目標に掲げた。
トルコン式AT (通称 SKYACTIV-AT)
1速以外の前段をロックアップし、従来のトルコンATと比べ劇的に効率を向上しており、マツダはDCTとCVTの良いトコ取りをしたといっている。
マニュアルミッション (通称 SKYACTIV-MT)
軽快で節度感のあるシフトフィールの実現を目指したほか、軽量かつコンパクト、燃費に貢献できることを開発目標に掲げた。
従来のものと比べ小型化されており、2速3速を、1速とリバースギアをそれぞれ一体化するなどして内部容積を確保し、余った空間で音や振動の抑制を図っている。これにより従来より20%ほどセカンダリー軸が短くなっている。
シャーシ 通称 SKYACTIV-CHASSIS
中低速域の軽快感と高速安定性の両立、中低速域の軽快感と乗り心地の両立、軽量化とダイナミクス性能の両立、の3つを開発目標に掲げた。
1.中低速域の軽快感と高速安定性の両立
リアサスペンションのジオメトリーの再検討、リンク類の配置の最適化、ステアリングギアレシオを高速化。
こうした設定により従来よりを上まわる軽快感と安定感を出すことができた。
2.中低速域の軽快感と乗り心地の両立
サスペンションの構造自体の見直し。
これにより不快な振動の低減に成功した。
3.軽量化とダイナミクス性能の両立
3つ目は「軽量化とダイナミクス性能の両立」。特にクロスメンバーの構造と工法の最適化を図り、フロントクロスメンバーは2kgの軽量化と剛性40%向上、リアクロスメンバーは4.5kgの軽量化した。シャシー全体では14%(アテンザクラスとの比較)の軽量化に成功している。
ボディー 通称 SKYACTIV-BODY
剛性の大幅向上、世界トップクラスの衝突安全性能、軽量化を目標に掲げた。
1.剛性の確保
基本骨格を極力直線で構成する「ストレート化」と、各部の骨格を協調して機能させる「連続フレームワーク」により構成される。
アンダーボディーはフレームのストレート化を徹底し、屈折が入る部分は横方向のフレームと連続接合するとともに、可能な限り閉断面構造にすることで軽量化と高い剛性を確保。
アッパーボディーでは前後サスペンション取付位置をアンダーボディーの骨格に直接結合した「デュアルブレース」と呼ばれるを採用し、4つの環状構造を形成しボディー全体の剛性を向上。そのほか、クロスメンバー部の構造も一新。
2.衝突安全性能の確保
「マルチロードパス構造」と呼ばれる構造を採用。この構造により、前面衝突時の入力エネルギーは「アッパーパス」「ミッドパス」「ロアーパス」の3つの経路に分散させることが出来る。
3.軽量化
材料面で軽量かつ剛性に優れるハイテン鋼板の使用部位を従来の40%から60%に拡大。特に590MPa材を積極的に適用。
こうした改善により、北米市場や欧州市場、日本市場、中国市場のNCAPを網羅的に対応し、安全性能は各市場でトップランクに位置するとし、ボディー全体で従来比8%の軽量化、30%の剛性アップに成功している。
改良
この様に大変特徴的なこのCX-5であるが、開発期間が2年弱と短い期間であったため若干の煮詰め不足が自動車評論家より囁かれている。
具体的には、もっさりしてドタバタした足回り、ディーゼルのエンジンマウントのバランス、等が指摘されている。
このうち、ドタバタした足回りに関しては、既にサスペンションの変更を行っており、改良が施されている。
なお、この改良は全世界同時に行われたとのことで、今後発注をかけるオーナーの元には、この改良型サス搭載車が向かうことになる。
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