FM-7(Fujitsu Micro 7)とは、富士通が1982年に発売したパーソナルコンピュータである。
概要
FM-7(Fujitsu Micro 7)は、富士通が1982年11月8日に発売したパーソナルコンピュータとそのシリーズの総称である。この機種のヒットにより、富士通は先行した日立を押しのけて、NEC、シャープと共に「8ビット御三家」と並び称されることになる。
前年に発売されたFM-8の「下位」機種である。FM-8は性能を考えれば驚異的な低価格であったが、それでも同時期のマシンとしては価格が高すぎたということで、あまり使われなかった機能を省き、10万円近い値下げを図ったモデルである。ただの廉価版であるどころかプロセッサーが高速化され、PSG音源も搭載されてよりホビー層にも訴求するマシンとなった。
ただ、FM-7のキーボードには「キーを押したことは検知出来ても離したことは検知出来ない」という致命的な欠陥があり、ユーザーを大いに悩ませた。ただ、BREAKキーのみはこの制限から開放されていたため、キーボード操作ではBREAKキーが攻撃ボタンに割り当てられることが多かった。
FM-8との大きな違いは、アナログポートとバブルメモリスロット、そしてRS-232Cの削除である。拡張スロットは2つあったが、漢字ROMとFM音源ボードで埋まってしまうため、漢字ROMとRS-232Cを一緒にした日本語通信カードも発売された。
1984年5月には、後継機としてFM-NEW7とFM-77の2機種が発売された。FM-NEW7は純粋な廉価版であったが、FM-77はキーボード分離型の3.5インチFDDを内蔵したマシンとして発売された。FM-7対応の外付けFDDは5インチだったため、ディスクの規格が並立する事態となってしまった。
そして、1985年11月に発売されたのがFM77AVである。4096色同時発色という、当時では他に類を見ない驚異的なグラフィックスを実現した。FM77AVはマイナーチェンジを繰り返して1988年まで新機種が出続けたが、1989年発売の32bitパソコン、FM TOWNSに道を譲って退場した。
主なラインナップ
FM-7
1982年11月発売。126,000円とFM-8から半額近い定価となり、それに加えてCPUがメイン、サブ共にMBL68B09にアップグレードされた。当時ヒットしていたNECのPC-8801より十万円も安く、しかも高性能であったことで人気を呼んだ。
1984年5月に廉価モデルであるFM-NEW7が発売された。99,800円。本体のコストダウンと共に細かな修正が図られたが、互換性に問題が出たため途中で元の仕様に戻された。外付けFDDと漢字ROMを買い足すとFM-77よりむしろ高くなってしまうため、微妙な立ち位置のマシンとなってしまった。
- CPU:68B09 8/4.9MHz×2(演算用とグラフィック制御用で別利用)
- メモリ:64KB(BASICでは32KBまで利用可能)
- ビデオメモリ:48KB
- テキスト表示:最大80文字×25行
- グラフィック表示:最大640×200ピクセル 8色
- サウンド:PSG 3音
FM-77
1984年5月発売。FM-77D2(2ドライブ)が228,000円、FM-77D1(1ドライブ)が198,000円。3.5インチFDDを内蔵し、キーボードと本体が分離された筐体を採用した。サブCPUがMBL68B09E(2MHz)となり、グラフィックも高速化している。漢字ROMも内蔵済みであり、高価なオプションを買い足さなくても即使える仕様となっている。オプションで400ラインにも対応している(400ラインセット/同II)。
1985年2月にFM-77L4が238,000円で発売された。400ラインセットIIを内蔵しており、前機種とそう変わらない価格で400ライン表示させることが出来た。1985年5月にはFM-77L2が193,000円で発売された。FM音源カード(YM2203(OPN))を内蔵し、ジョイスティックが1つ付属していた。
FM77AV
1985年11月、FM-77L2のわずか半年後に発売された。FM77AV-2(2ドライブ)が158,000円、FM77AV-1(1ドライブ)が128,000円という驚きの低価格であった。CPUはメイン・サブ共にMBL68B09E(2MHz)に統一された。
FM-7シリーズのキー入力の欠陥が解消した他、全体的に大幅な強化が行われた。 まずグラフィック性能は320×200ピクセルで最大4096色同時発色を実現し、「総天然ショック」というキャッチコピーまで付けられるほどであった。さらに64色2画面、16色3画面にすることで多重グラフィックが可能になり、さらに縦方向に1ピクセル単位でのハードウェアスクロールが出来るようになったことで、ゲーム機のようなスムーズなスクロールを使ったゲームも登場した。また、FM-77L2同様にFM音源カードも内蔵している。
1986年10月にはFM77AV20が発売された。2ドライブ、1ドライブモデル共に1万円アップであったが、FDDが2Dから2DDに変更され、RS-232Cもようやく標準装備された。
1987年11月にはFM77AV20EXが発売された。2ドライブモデルのみで128,000円に値下げされた。カセットインターフェイスが削除されている。
- MPU:68B09E 2MHz×2(演算用とグラフィック制御用で別利用)
- メモリ:128KB
- ビデオメモリ:96KB
- テキスト表示:最大80文字×25行
- グラフィック表示:640×200ピクセル 8色、320×200ピクセル 4096色1画面、4096色中64色2画面、
4096色中16色3画面。ハードウェアスクロール(縦1ピクセル、横8ピクセル) - サウンド:FM 3音、PSG 3音
FM77AV40
1986年10月発売。228,000円(2ドライブモデルのみ)。基本的な仕様はFM77AV20と同じだが、ビデオメモリが144KBに増量され、26万色表示を実現した(320x200=64,000のため、厳密には最大64,000色同時発色である)。さらにAVでは利用不可能になっていた400ライン表示にも対応している。
1987年11月にFM77AV40EXが168,000円で発売された。大幅に価格が引き下げられた上に、MMR使用時に1.6MHzに落ちていたクロックがノーウェイトの2MHzで動作するようになった。
1988年11月にFM77AV40SXが178,000円で発売された。ビデオデジタイズやスーパーインポーズに対応する一方、カセットインターフェイスが削除されている。その特異な外観から「墓石パソコン」とも呼ばれた。
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関連項目
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