FCマルヤス岡崎とは、愛知県岡崎市をホームタウンとするJFL所属のサッカークラブである。
正式名称は「マルヤス工業株式会社フットボールクラブ」だが、呼称としてこのFCマルヤス岡崎を採っている。
概要
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母体となるマルヤス工業は、愛知県名古屋市中区に本社を持つ自動車部品を中心に製造する会社である。あまり馴染みは無いかもしれないが、年間の売上高は約1000億円という結構大きな企業である。
その企業が所有する岡崎市にある工場のサッカー部として1968年に創部された。高度経済成長の真っただ中であり、東京オリンピックの直後ということもあってか実業団スポーツの全盛期とも言える時期である。チームは愛知県6部リーグからスタートすると5年連続で優勝し、あっという間に愛知県1部へ。そして創部9年目の1976年には早くも東海社会人リーグへと昇格した。
創部から40年以上が経って、高度経済成長も終わり、オイルショック、バブル崩壊、平成不況を経て実業団スポーツが次々と廃部や休部に追い込まれる中にあって、マルヤス工業サッカー部は地道な活動を続けてきた。1983年に2位になったのが目立つくらいで、成績はだいたい中位。2002年にリーグが1部・2部に分割された直後に2部転落は経験したが、2部暮らしは2年だけで残りは全て東海地区のトップで頑張ってきた古豪である。
そんなチームに転機が訪れたのは2013年だった。この年の東海社会人リーグは混戦模様であり、
- 前年優勝で、将来はJリーグへの参加を目標とするFC鈴鹿ランポーレ
- 強化目的だった国体が終わり、選手が大幅に入れ替わるも実績十分なFC岐阜SECOND
- かつては社会人サッカーの最高峰であるJFLに10年以上在籍していたFC刈谷
- こちらもJリーグ参加を目指し、東海2部リーグを1年で通過してきたアスルクラロ沼津
……と多士済々なクラブチームが揃い、これらがしのぎを削り合うものとみられていた。マルヤス工業サッカー部は前年3位であったものの、上位2チームとは大きく離されており、決して下馬評の高いチームでは無かった。
ところが、蓋を開けてみると上記の4クラブにマルヤス工業、そしてトヨタ蹴球団(トヨタ自動車やその関連会社の社員で作る同好会に近いクラブチーム)の6チームが入り乱れ、1位から4位までが勝ち点差3の間にひしめき、6位まででも勝ち点差はたったの8という大混戦に。そんな中、下位チーム相手に取りこぼさず、上位6チーム内では五分以上の成績を収めたマルヤス工業が、2位との勝ち点差1で逆転優勝を飾った。創部から46年目での初優勝であった。30年ぶりに参加した全国地域サッカーリーグ決勝大会は3戦全敗(うち1敗はPK戦での負け)であり、本来なら東海社会人リーグに残留するところであった。
だが、2014年からJ3が発足することに伴い、所属チームの半分以上が転籍してしまったJFLは、前もって全国各地のクラブチームや企業チームに入会の意思を確認していた。JFL入会を希望するほとんどのチームはJFLをステップの一つとして、悪く言ってしまえば踏み台にしていずれはJリーグへ、と考えていたようだったが、マルヤス工業を含む数チームはアマチュアリーグの最高峰であるJFLで頑張る意思を伝えていたという。プロチームが裾野を広げていくなかで、企業チームやアマチュアクラブが活動していく場としての色を強めたいJFL側と、ここで理念が一致したと言える。こうして、成績面では一歩劣るものの、入会希望枠として特例に近い形でJFLへの昇格が認められたのだった。このあたりの選考の経緯はこのインタビューが詳しい。
かくして、今や希少になってしまった企業チームとして、その最高峰の場に立つこととなったマルヤス工業サッカー部は、呼称をFCマルヤス岡崎と改めて船出の時を迎えることとなった。
その当時、岡崎市にはJFLの開催基準を満たすサッカー場が無く、名古屋市港サッカー場をメインとして、豊田市運動公園陸上競技場や豊橋市民球技場など岡崎市外で試合を開催していた。その一方で、2015年に愛知県所有の岡崎総合運動場が岡崎市へ移管されることに伴い、場内にある陸上競技場が改修されることなった。2020年に岡崎市龍北総合運動場陸上競技場(2022年に命名権により「マルヤス岡崎龍北スタジアム」(通称:龍北スタジアム)に名称変更)として全天候型の陸上競技場にリニューアルオープンし、以降はそこで試合を開催している。
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