アラヌス・ザイデルとは、石黒監督版OVA『銀河英雄伝説外伝 叛乱者』の登場人物である。
OVAオリジナル外伝の登場人物であり、原作小説には登場しない。CV.佐藤祐四。
ゴールデンバウム朝銀河帝国軍の兵士・伍長。剛性の顔立ちにやや色の濃い肌、濃藍色の髪を持つ偉丈夫で、いつも軍服の前をはだけた豪快な性格の男。第237駆逐隊所属の駆逐艦<ハーメルンⅡ>機関部に配置され、機関長インマーマン中尉のもとで働いている。
町工場に生まれた平民であり、手先が器用で機械いじりが得意。工業科の高校を卒業し、後方の造兵工廠勤務を狙って工兵科を志願したものの、最前線の駆逐艦の機関部配属となった。弟にロルフ・ザイデルがおち、こちらも新兵(二等兵)として同じ艦の同じ部署に配置されている。
<ハーメルンⅡ>にラインハルト・フォン・ミューゼル中尉が航海長として着任した際、信頼する副長ハルトマン・ベルトラム大尉の示唆をうけ、弟ロルフともどもまだ若いラインハルトと船外活動での腕試しを持ちかける。アラヌス自身は保安主任ジークフリード・キルヒアイス少尉とともに船内でサポートに回るなか、ミスから危地に陥ったロルフをラインハルトに救われ、恩を感じることとなる。
哨戒中の駆逐隊が同盟軍の奇襲を受け損傷、撃沈を偽装して避退すると、損傷した機関部の修理に奔走。しかし負傷した艦長から指揮を引き継いだベルトラムに脱出プランが無いことを悟ったキルヒアイスの要請を受け、機関部員を糾合してベルトラムへの叛乱に及んだ。叛乱が成功し、被奇襲時にベルトラムに反抗して監禁されていたラインハルトが指揮を引き継いでからは、元の通り機関部の修理に戻った。
だがベルトラムが反撃のカウンタークーデターに出ると、ロルフがベルトラム一派の人質に取られ、あげく眼の前でラインハルトの盾になって射殺されてしまう。それでも失意のなか機関の修理に奮闘していたが、最終的に外部からの修理が不可避となると、志願して船外活動に出る。恒星至近、きわめて危険な高温下で、しかも弟を殺したベルトラム(船外修理の発案者)と組んでの船外活動であった。
修理は成功するが、恒星風を受けた<ハーメルンⅡ>が姿勢を変えたことで、二人とも艦表面から引き離される。しかしアラヌスはベルトラムにより押し戻され、そのベルトラムが反動で艦の影を出て恒星の熱に焼け消えるのと引き換えに艦内に帰投。艦内大気下で発火するほどの高熱にさらされ全身に火傷を負ったものの、五体満足で生還した。
あらっぽい口調と豪放な性格で同僚の兵士から信頼される兄貴気質で、一兵士らしくときに尾籠な冗談も平然と飛ばすが、ひとりの人間、あるいは艦の一員としての確固たる責任感を有する人物。
気を許せば士官とも気さくにつきあえるバイタリティがあり、階級を越えてベルトラムとロルフの肩を抱いた記念写真を撮ったり、恩人と認めたラインハルトたちに隠匿していたブランディを差し出すこともあった。ただし、平民の生まれゆえ貴族への不信と先入観はあり、ラインハルトに酒を断られて思わず「平民の酒は飲めないのか」と卑屈になるような面も持つ(実際には未成年のためと知り詫びているが、ラインハルトが16歳と思えぬほど堂々としているのも悪い)。
老いた両親を継ぎ遠からず工場を継ぐつもりでいたが、軍では前線勤務配属、しかも兄弟で同じ艦と、もしもの時には老父母が子を一度に失う可能性を内心憂いている。ちなみに、兄弟で同じ船に配置された例としては太平洋戦争時のアメリカ合衆国で揃って同じ艦への配置を希望した5人兄弟が全滅した悲劇が有名で、実は海軍も一括配置には反対したのを兄弟側が押し切っていたらしいという話もあるが、ともかく約1650年後のゴールデンバウム朝は(特に平民には)そんなに優しくない訳であった。
老いた両親を心配し、工場の次男から芸術の道に進んだ生真面目なロルフを表向きはからかいつつも、その前途を信じている家族思いの兄。シュミット一等兵、ヴント一等兵といった機関部の同僚の身の上もよく知っており、あまり表には出さないがよく思いやっている。
艦幹部では、貴族出身で仕事を副長に任せきりに見えるアデナウアー艦長にはさほど信をおかず、同じ貴族出の航海長ラインハルトにも余りの若さと皇帝の寵姫の弟という出自から能力に不信を抱いていたが、弟の命を救われてからは心服し、艦を救って帰投したラインハルトが離任する際には同僚や艦幹部勢とともにハッチに駆けつけ、大いに別れを惜しんだ。
ベルトラム副長のことは、同じ平民出であることから特に“平民期待の星”と信頼して気の置けない会話を交わす仲だった。それでも生き延びるためベルトラムへの叛乱に加担するも、反撃のためロルフを人質にとったベルトラムの人格を信じて「あんたは平民の代表じゃなかったのか」と訴えたが、階級制度の歪さに起因する強い上昇志向を顕にしたベルトラムには一蹴される結果に終わってしまった。
ロルフをベルトラムに殺されてからは「あんたは信用できねぇ」と言い切るようになったが、最後にはベルトラムに命と引き換えに救われる形となり、前述のロルフ、ベルトラムとの写真を見ながら涙を流し酒をあおる姿が見られている。
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最終更新:2024/04/28(日) 15:00
最終更新:2024/04/28(日) 15:00
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