アレクサンドロ・ヘンメとは、OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO』の登場人物である。CV:宝亀克寿
ジオン公国軍に所属する砲術科の大尉。民間の連絡貨客船ヨーツンヘイムは、開戦の半年前に軍に徴用され、乗組員はそのまま軍属となったが、元民間船ゆえ、新たに装備した単装ビーム砲や各種兵装を扱う人員がいないため、ジオン軍からヘンメ率いる砲術科が補充された。
ジオン公国が創立する20年以上も前から軍務に携わってきたベラテン砲術兵で、それを裏付けるかのように高い技術と自信を持つ。しかし、ムサイではなく民間徴用船のヨーツンヘイムに配備された事は、すなわち出世街道から外された事を意味していた。このため、ヘンメを始めとして砲術科はヨーツンヘイムへの配属に不満を持ち、ヨーツンヘイムを「おかしな船」、単装ビーム砲を「豆鉄砲」と揶揄、士気は低いとは言えないが高いとも言えなかった。
マルティン・プロホノウ艦長は「悪い人間ではない」と評価している。
宇宙世紀0079年1月3日、ヨーツンヘイムは初の実戦を迎えた。パプア級補給艦より荷物を受け取っている時にサラミス級2隻の襲撃を受けたのである。直ちに護衛のムサイが迎撃する中、ヘンメはプロホノウ艦長に砲撃許可を求めるが、退避行動を優先した艦長の指示により、一発も撃つ事無く戦闘が終結してしまった。
パプアから受け取った荷物の正体は試作艦隊決戦砲ヨルムンガンド。豆鉄砲とは比較にならない、大出力で巨大なビーム砲の運用を任されたヘンメはすっかり気を良くし、上機嫌のまま組み立て作業を開始。小説版によると、ヘンメにヨルムンガンドの砲手になるかどうかの話を持ち掛けたのはモニク・キャディラック特務大尉。徴用船の砲術長で終わるのを良しとしないヘンメは当然この話に乗った。
作業中、ルウム方面に向かう勇壮な味方艦隊を目撃して高揚感から高笑いをする。
1月15日22時、ルウム宙域に集結したジオン・連邦の両艦隊が砲撃を開始(ルウム戦役)。ヨルムンガンドとヨーツンヘイムは味方艦隊の後方で待機し、味方から送られてくる観測データを基に遠距離砲撃を仕掛ける手はずとなっていたが、いつまで経ってもデータが送られてこず、味方の損害だけが広がっていく現状に苛立ちを隠せなかったヘンメは自らの技量のみで、マゼラン級を狙ってプラズマ砲を発射。放たれた強力なエネルギーは目標を外してしまうも、近くにいたサラミス級をかすめ、電子機器に重大なダメージを与えて隊列から脱落させた。
そんな中、戦場を高速で駆ける機動兵器――ザクⅡの編隊が到着。連邦軍艦隊の内懐に飛び込んで瞬く間に戦局を覆していった。実は首脳部にとってヨルムンガンドは新兵器ザクの存在を秘匿するための囮に過ぎず、ヘンメや第603技術試験隊は期待されるどころかアテにもされていなかったのである。ヨーツンヘイムに流れる重苦しい空気。それでもヘンメは気丈に振る舞って砲撃を続行しようとしていたが…。
次の瞬間、損傷したサラミスから発射された流れ弾のミサイルが、ヨルムンガンドの指揮所付近で炸裂し、その余波で多くの砲術員が死亡、ヘンメも腹部に破片が突き刺さって重傷を負ってしまう。この時、新兵時代の教官が言っていた「腹部以外の怪我は適切な処置で助かる」という言葉を思い出し、自分の命がもう長くない事を悟る。
更に、力尽きて爆散したサラミスの後方より、退避してきた手負いのマゼラン級戦艦が出現、ヨルムンガンドの方へと向かってきた。巨大な砲を認めたマゼランは砲撃を加えてくるも慌てているのか命中しない。
プロホノウ艦長はヨルムンガンドを放棄してでも砲術科を救おうとするが、薄れゆく意識の中でヘンメはこれからの主役はモビルスーツであると痛感。大砲屋の時代の幕引きをすべく、発射ボタンを押した。ヘンメの魂を乗せた一撃は、連邦軍が誇る戦艦マゼランを一撃のもと粉砕。それと同時にヘンメも息絶えるのだった。
小説版では、幻聴なのか死の間際にヨーツンヘイムの主砲と会話している。ヘンメにとって大砲は全て自分の子供で、豆鉄砲呼ばわりしていたものの実は好きだったと告白する。そして、最期にもう一暴れさせてほしいと鳴くヨルムンガンドに従い、照準機を覗く。長い軍人生活だったが、マゼラン級を捉えたのは今回が初めてだった。今まで小物相手だったが、最期の最後に大物が来た。こいつは自分が仕留めると、トリガーを引いてマゼランを撃沈した。
漫画版では最後の砲撃時、ヨルムンガンドを具現化した巨大な大蛇が背景に描かれている。
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最終更新:2025/12/10(水) 19:00
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