宇宙世紀とは、機動戦士ガンダムシリーズ作品の多くで採用されているシェアードワールド設定である。
シリーズ第1作の「機動戦士ガンダム」時点でこの設定が登場しており、劇中では地球人類が宇宙への移民を開始して以降の紀年法として用いられている。
作中では西暦は廃されており、この0001年が西暦の何時なのかは諸説あってハッキリしない。宇宙移民の開始年を0001年としているが、これも後付の設定である。一時期の作品では2045年説を採用していたり、さらに別の資料でも1999年説など様々な解釈がされていることもあったが、現在ではそれらの設定は廃されて具体的な時期についての明言を避けており、0001年になろうとする瞬間が描かれた「機動戦士ガンダムUC」においても具体的な設定がされることはなかった。少なくとも現在よりは相応に遠い未来である事だけは確実と言える。
記し方は1000年以前でも常に四桁を前提として上の桁に0を付ける表記が一般的である。これは西暦から改元される際、多くの人が西暦の四桁表示に慣れていたことが影響しているのかもしれない。また、上の桁の0はオーと呼ぶ。例えばナレーションなどでは0079年は「ダブルオー・セブンティーナイン」と言われ、他には0123年が「オー・ワン・トゥエンティスリー」0001年は「トリプルオー・ワン」となる。
また、英語表記ではユニバーサル・センチュリーとなり、厳密な正式名称は日本語読みではなくこちらである。「機動戦士ガンダムUC」の登場人物であるリカルド・マーセナスによれば、単に宇宙を意味するユニバースではなく、全ての人にとって普遍的であるようにと、あえて誤りとも言えるユニバーサルを用いたと言う。英語表記の場合はU.C.と言う略語が使用されることが多い。
長い歴史と作品数を持つシリーズの常として、時代毎の整合性や物語・設定の食い違いが表面化することもあり「どれが正しい歴史なのか」という話題が発生することはガンダムシリーズでも日常茶飯事と言えるほど頻発している状況であり、特に物量の多い宇宙世紀世界ともなればその傾向はさらに激しい物となる。
ちなみに、サンライズの方針としては「映像化された作品・映像に登場した要素は公式」となっているらしく、少なくともこれが最低限のラインとなるのは確実で間違いのないことだと断言できる。同じ映像作品でもTVと劇場版などで設定に違いがある場合もあるが、とにかく全部公式ということになる。
しかし、その他のメディアで多く取り上げられ認知度の高い作品などに関しても、公認・公式・監修などを謳っていても映像作品ではないので厳密な意味では公式扱いとはならないが、実質的に同じような扱いをされている事もあり、さらにそれらの作品から設定が映像作品に取り入れられ、部分的に公式化されている物もあるため、判断要素は非常に複雑化している。
また、現在ではそれらの存否を確定できるような厳密な年表設定の様な物は提示されておらず、たまに出る年表も主要アニメ作品を羅列する程度の場合が多いため、やはり細かいところは判断のしようがない。今後も増産され続けるであろうガンダム作品の制作の際に取捨選択をする余地を残すため、縛りにならないように意図的に曖昧な状態にしているとも言えるのかもしれない。
結論として、映像は少なくとも確実に公式・他の細部についてはご想像にお任せという事になるようである。
(以下は映像化された作品が公式とされるサンライズのルールに従い基本的には映像作品準拠。足りない部分は設定資料や小説など。また、小説でも原作者による作品などは例外的に取り上げています。)
作中での西暦時代の末期は爆発的な人口増加や環境問題により、もはや地球の「収容能力は限界」に達していた。小説版などでは後進国と呼ばれる国家も消滅し、全ての地域の人々が厳しい自然環境を克服(つまり破壊)したと言う描写も存在する。人類は人口抑制政策を取り文明を停滞させて節制するか、宇宙に進出して生存圏を拡大するかの選択に迫られたと言う。概ねの国家は後者を選択し、1999年に主権を放棄した上で宇宙移民政策を前提とした地球連邦を樹立する。
小説版F91の序文によれば、宇宙移民の決断は国際連合でくだされたものらしい。
一方、宗教・思想・ナショナリズムを理由にこれに反発する国家も存在し、いつからかははっきりしないものの地球連邦と激しい戦争に突入した。この戦争は50年にも及んだが、最終的には地球連邦側が有利に戦況をすすめる。概ね戦火が収まった頃合いにはスペースコロニーと呼ばれる地球外の居住施設も完成し、ついには宇宙移民の本格的実行にこぎつけることに成功。
地球連邦は宇宙移民開始と言う記念すべきこの年を祝福し、西暦を廃した上で宇宙世紀元年とした。そして、西暦最後の大みそかを祝おうと宇宙に建造した首相官邸「ラプラス」で大々的なセレモニーが行われる運びとなったのだが…。
宇宙世紀0001年への改暦と同時に、ラプラスは突然に爆発、瓦解した。地球連邦首相であったマーセナス首相を含め多くの政府要人が死亡し、宇宙世紀の始まりは血で贖われることとなった。
事件後、新政権はのちにラプラス事件と呼ばれるこの事件を地球連邦に反対する「分離主義者」のテロと断定。マーセナスの息子であったジョルジュ・マーセナスらを中心に「リメンバー・ラプラス」と唱えて地球連邦に反対する組織に徹底的な弾圧を加える。最終的には宇宙移民と言う名の強制移住[1]の促進もあり、宇宙世紀0022年は地球上のあらゆる民族・宗教・国家の紛争終結を宣言するに至る(ただし、潜在的な脅威は存在し、のちのジオン軍やその残党と結んだ不満分子は確認されている)。
地球連邦の基盤はこれで磐石になったかに見えた。しかし、当初順調であった宇宙移民も人口の約半分程度が移住した段階で停滞を始める。これは地球に既得権を保持している人々が財産やコネを使って宇宙移民を拒否したことと、宇宙移民がある程度進んだことで地球の人口が西暦末期以前の「適正人口」に戻り、宇宙移民の目的が達成されてしまったことにあるとされる。
一方、嫌々宇宙移民に仕立て挙げられた人々からすれば、彼らの言動は自分たちの犠牲の上で地球での安楽な生活を手に入れると言ういわば裏切りであった。もともとの経済格差に加えて、コロニーの建設料や維持費を税金[2]として払わされると言う搾取もありコロニー住民の間で不満が噴出する。宇宙世紀0046年、この不満を反映し宇宙移民の代弁者として活動していた地球連邦評議委員のジオン・ズム・ダイクンは「スペースコロニーに国家としての主権を与えるべきだ」とする旨の主張、いわゆるコントリズムを発表。争いの火種は地球から宇宙へと移ることになる。
ジオン・ズム・ダイクンの主張は急進的に過ぎ、さらに連邦の画一的なコロニー支配へのこだわりと官僚利権もあり当時の議会で受け入れられることはなかった。連邦内での改革に失望した彼は自身の理想を実践に移すべく0052年にサイド3に移住、翌0053年には首相に選出される。
一方、地球連邦では0050年代に人口120億のうち90億人が宇宙移民となったことを皮切りに、0051年これ以上の宇宙移民は無用として計画の凍結を宣言。スペースノイドとアースノイドと言う身分はほぼ固定化する。これに反発する形でエレズムと言う地球聖域化思想(つまり全人類の宇宙移民化)もコロニー側から唱えられ、前述のダイクンらのコントリズムと合流しジオニズムと呼ばれる一大ムーブメントが起きる。
0058年ついにはサイド3が独立を宣言、ジオン共和国(当時はサイド3共和国)が成立する。これにダイクンが積極的に噛んだかどうかは諸説あるが、国防隊の発足も伴って地球連邦との関係は加速度的に悪化。軍拡競争と経済制裁さらに0067年、最期の妥協案とも言えるコロニー自治権整備法案が棄却されるともはや両国の衝突は時間の問題に過ぎなくなる。
0068年にダイクンが急死すると、後をついだデギン・ソド・ザビは翌0069年に権力の集中化を名目に王政施行を宣言。国号をジオン公国とし反対派を粛清、ダイクンらの遺児であったキャスバル・レム・ダイクンは地球へと亡命する。
デギンは自身の縁戚者を軍内部に入れることで自身の地盤を固める。成功したかのように思えたが、老齢もあり実権は建国直後から長男のギレン・ザビに移ったとされる。軍事的な才に恵まれていたギレンはジオンの国力不足を危惧。これを補うべく、ミノフスキー粒子(ちょうどこの頃に発見された電磁波かく乱粒子)散布下でも戦闘が可能な機動兵器の開発を下令する。
その結果完成したのが有人機動兵器モビルスーツ(MS)であり、0073年に試作機が完成。翌年にはザクⅠ(いわゆる旧ザク)がロールアウトする。
MSの能力と軍備に自信を得た彼は0079年ついに開戦を決意(一年戦争)。1月3日の宣戦布告とほぼ同時にサイド1、2、4を電撃的に奇襲し毒ガスを注入して住民を殺戮。コロニーに核パルスエンジンをつけて地球に落下させると言う暴挙に出る(ブリティッシュ作戦)。この過程で作戦を阻止しようと連邦艦隊が出撃するが、ミノフスキー粒子による電波攪乱により電子装備に頼り切りだった宇宙戦艦は手も足も出ずにジオン側のMSに撃破され、連邦は大敗し結果的に人類の25パーセントほどが死に絶えると言う惨劇となった。
ジオン軍はさらなるコロニー落としを決行すべく、サイド5へと出撃。これを迎え撃った連邦との間で激しい戦闘が行われる(ルウム戦役)。この戦いでは奇襲が成立せず、連邦の抵抗も激しかったためコロニー落としは成功しなかったが、連邦艦隊の被害も甚大でありブリティッシュ作戦によるものと合わせて半数以上の艦艇を喪失した。
連邦はこの時点ですでに弱気になり降伏を含めた議論もなされ始めるが、捕虜となってから帰還したレビル将軍の「ジオンも疲弊している」と言う演説を受け態度を硬化。焦ったジオンは戦線拡大方針を取り地球へと進行し戦闘は膠着状態へと入る。
旧態依然とした軍制を敷いていた連邦であったが、ジオンのMSに対抗すべくガンダムを中心にしたMS開発計画を始動(V作戦)。9月、関わった正規兵の大多数と技術者であったテム・レイを失うなどの不手際もあったが、結果としてアムロ・レイら難民たちがこれを引き継ぎジオン軍相手に多大な戦果を挙げる。これを見て首脳部もMSの有効性を認識。この頃にはジオンの人的資源も限界に達し、連邦軍は各地で反攻を開始する。その集大成が11月のオデッサ作戦であり、ジオン軍主力は地球より撤退。以後のイニシアティブは連邦が握り、戦場は宇宙へと再び戻る。
12月24日にはジオン軍の要塞があったソロモンを巡って激しい戦闘が行われ、要塞司令官であったドズル・ザビ中将が戦死。要塞は陥落する。30日、相次ぐ身内の死と国民の疲弊を憂慮したデギン公王は宇宙要塞ア・バオア・クーを迂回してサイド3本国に侵攻しつつあったレビル艦隊と和平会談を持とうと接近。これを阻止すべくギレンは完成したソーラ・レイ(コロニーレーザー)を発射。レビルとデギンは死亡し、連邦は30パーセントの戦力を喪失する。
31日、連邦は戦力不足のままア・バオア・クーの攻略に着手。ギレンの巧みな指揮もあり当初はジオンが優勢であったが、父殺しに憤慨したギレンの妹であるキシリア・ザビがギレンを射殺。その一瞬の隙をついて連邦軍が要塞に取り付き侵入。陥落は時間の問題となる。混乱の中でキシリアもジオン・ズム・ダイクンの遺児であったシャア・アズナブルに殺害され、ザビ家はミネバ・ラオ・ザビを除いて全滅。戦争指導者層を失ったジオンはダルシア・バハロを中心に共和国臨時政府を樹立し連邦への停戦を要請。疲弊していた連邦もこれを受託し、0080年1月1日に月面都市グラナダで正式に停戦合意が結ばれ一年戦争は終結した。
一年戦争は終結したが、ジオンの一部勢力は敗戦とその後に誕生したサイド3のジオン共和国を認めず継戦を主張。大多数はザビ家の生き残りであるミネバを擁するアクシズ(アステロイドベルトに存在した小惑星)へと逃亡。また少数はギレン派であったエギーユ・デラーズ(デラーズ・フリート)に糾合され地球圏での抵抗を継続した。
0083年10月、まずデラーズが先手をうち「星の屑」と言われた作戦を発動。核搭載型MSであるGP02Aを連邦から奪取し、11月に行われた連邦軍宇宙艦隊の観艦式を核攻撃。およそ参加艦艇の三分の二を撃沈もしくは大破に追い込んだ。続けて開発途中だったコロニーを奪取して北米の穀倉地帯へと落下させる(地球の食糧自給率を下げ、もって宇宙の発言権を増やす目的だったとも、その後のアクシズ台頭を意識していたとも)。
最終的にデラーズ・フリートは壊滅(残存兵力はアクシズに合流)するが、危機感を抱いた連邦政府はジャミトフ・ハイマンの提案に基づき治安維持部隊ティターンズを結成。スペースノイドへの弾圧を強化する。
0085年7月、サイド1の30バンチコロニーで行われていた反連邦集会をバスク・オム旗下のティターンズ部隊が毒ガス攻撃により鎮圧する事件が発生(30バンチ事件)。スペースノイドを中心にした連邦軍将兵の反発を招き、ブレックス・フォーラらが反ティターンズ軍閥であるエゥーゴを結成する。
以後、散発的な小競り合いが続いていたが、0087年3月のエゥーゴによるガンダムMKⅡ奪取事件を機に両者は本格的な内戦へと突入する(グリプス戦役)。
8月にはジャミトフによる議会工作によりティターンズの権限を引き上げる法案が採択され、その直後にエゥーゴの指導者であったブレックスも暗殺されてしまう。一挙に有利となったティターンズであるが、宇宙ではコロニー落としや毒ガス攻撃の失敗が続き戦況は膠着した。10月にはアクシズのハマーン・カーンがミネバを擁して地球圏へと帰還。戦場は三勢力が入り混じり混迷の色を深めた。
11月、ブレックスの後を継いだクワトロ・バジーナつまりシャア・アズナブルが連邦議会が存在したダカールを占拠。自らの正当性とティターンズの横暴ぶりを連邦市民に訴える。結果、自分たちの味方であるはずの議員たちにまで銃を向けると言う失態を全世界に知らしめられたティターンズは急速に世論の支持を失う。焦ったティターンズはまず12月に完成したコロニーレーザー(グリプス2を改造したもの)をサイド2・18バンチに発射。続けて21バンチに毒ガス攻撃を仕掛け、多くの人命を奪う。
0088年1月、アクシズはエゥーゴと組み、ティターンズの拠点があったゼダンの門(旧ア・バオア・クー)を破壊。ジャミトフもアクシズとの交渉に赴いた際、部下のパプテマス・シロッコに暗殺される。2月、勢いにのるエゥーゴは決着をつけるべくメールシュトローム作戦を発動。グリプス2を奪取した上でティターンズ艦隊に掃射。ティターンズは壊滅し、シロッコも戦死。グリプス戦役はエゥーゴの勝利に終わった。
勝利したエゥーゴではあったが、シャア・アズナブルは行方不明となり主だったパイロットたちは戦死または戦線から離脱した。疲弊した連邦軍を尻目にアクシズは地球圏の制圧に乗り出す。グリプス戦役が集結した2月には早くもジオンの復興を宣言(ネオ・ジオン)。各コロニーに部隊を派兵している。
3月、ブライト指揮下のエゥーゴ・アーガマ隊がサイド1のシャングリラコロニーに入港。当初は機械部品を狙ったジュドー・アーシタらに付きまとわれるが、のちに彼らジャンク屋グループはエゥーゴに参加。カミーユたちと代わって新たな戦力となる。
6月、ついにネオ・ジオンは地球に降下。連邦政府には組織的な抵抗を行える部隊はなく、表面的な懐柔政策に終始している。8月までに旧ジオン軍や地球に残っていた分離主義者の残党、さらにティターンズの生き残りまでを吸収し、その勢力は最大規模となる。10月、連邦政府はサイド3割譲を条件にネオ・ジオンとの和平を画策。それに反対するブライトとジュドーを一時的に拘束する。また、ネオ・ジオンはダブリンにコロニー落としを行うなどの恫喝も強行。
11月最終的にサイド3は割譲され、ネオ・ジオンは地球から撤退。目的は達せられたように見えたが、同時期に各コロニーで反ネオ・ジオンのレジスタンスが一斉に蜂起。12月、この間隙を縫ってハマーン旗下のグレミー・トトが反乱を起こす。
0089年1月、ネオ・ジオンとグレミー・トト軍との間で激しい戦闘が行われグレミーは戦死。ハマーンもジュドーに討ち取られ指導者を失ったネオ・ジオンは瓦解(ミネバは再び行方不明)。第一次ネオ・ジオン抗争と呼ばれた一連の紛争も終結する。
アクシズと言う大規模な拠点を喪失したジオン軍残党には、もはや組織的な抵抗力は残されていないように思えた。もっとも、最期の大物と言えるシャア・アズナブルは依然行方不明のままであり、連邦政府には漠然とした脅威が残されていた。
そこで連邦はティターンズに代わる治安維持部隊として皮肉にもエゥーゴに接近。連邦のタカ派議員であったジョン・バウアーが音頭をとり0090年3月、エゥーゴは連邦軍外郭団体ロンド・ベルに発展解消される(ただし、主流は各地の治安維持部隊でありエゥーゴはその一部でしかなかったとする説もある)。
しかし、これら一連の動きはスペースノイドから見て裏切りであり、ロンド・ベルは第二のティターンズとして憎まれ、不穏分子への捜査はあまり実を挙げることはなくかえって火に油を注ぐ結果となったらしい。またロンド・ベル自体もニュータイプの反乱を恐れた連邦政府主流派からは疎まれ、人事や装備で妨害を受けるなど板挟みにあっていた。
0092年12月、ついにシャア・アズナブルは蜂起しスウィートウォーターを占拠。アースノイドの粛清を掲げてスペースノイドの支持を集める。0093年2月には事実上の宣戦布告が行われ、3月には5thルナと呼ばれた小惑星を連邦の首府が置かれていたラサに落下させる。この恫喝に屈した連邦政府はアクシズ譲渡と武装解除を引き換えにした和平を受託。しかし、これは完全な偽装であり、シャアは投降を装ってアクシズを占拠。これをそのまま地球に落下させて寒冷化させ、人が住めなくなる環境を作ると言う乾坤一擲の賭けに打って出る。
これに対し、上述の連邦政府による妨害により本領を発揮出来なかったロンド・ベルではあったが、ジョン・バウアーの尽力により戦力補充に成功。特にアムロ・レイはνガンダムを駆って獅子奮迅の働きを見せ、最終的にシャア・アズナブルを捕縛。落下軌道に入ったアクシズを押し返すと言う超常現象とも思える戦果(アクシズショックとも)を挙げ第二次ネオ・ジオン抗争と呼ばれた戦いは終結した。
この過程でシャア・アズナブルはアムロ・レイと共に行方不明となり、前後の状況から戦死は確実とされ捜査も数年で打ち切られた。ネオ・ジオンの残党もほとんどが消散したらしく、以後は掃討戦に移ったと評されるまでになる。しかし、地球連邦にもスペースノイドよりの派閥は存在し、サイド3も0100年の自治権返上が迫る中で様々な丁々発止が繰り広げられ、こうした間隙の中で残党たちの蠢動は再び活発化し始める。
0096年、ピスト家の長老でありビスト財団を通じて0001年の宇宙世紀開闢以来、連邦最大の弱味である「ラプラスの箱」を保管していたサイアム・ビストは連邦による絶対的な支配とそれによる文明停滞を恐れ、箱を開示することを決意する。
まず、箱をネオ・ジオンに譲渡しようと図るが、ビスト家の内紛に乗じた連邦軍の介入もあり失敗。孫で当主またはエージェントとして活動していたガーディアス・ビストも死亡してしまう。しかし、箱への「鍵」として用意してあったユニコーン・ガンダムは息子であるバナージ・リンクスに託すことに成功し、これをもってラプラス戦争(または第三次ネオ・ジオン抗争)が勃発する。
もはや残党に過ぎないとされたネオ・ジオンではあったが、袖付きと呼ばれた中心部隊は精鋭であり、またシャアの再来と噂されたフル・フロンタルの活躍もあり戦局を優位に進める。一方の連邦は箱を巡る内部対立やロンド・ベルの練度不足もあり対応は後手後手に周り、当初は事件勃発の当事者であったネェル・アーガマ単艦で作戦行動を取らざるを得ないと言う悲惨さであった。
しかし、パイロットとしてネェル・アーガマに乗り込んでいた初代首相リカルドの子孫であるマーセナス家の子息であったリディ・マーセナスを通じた上層部への工作、事態を重く見たブライト・ノアの活動、ネオ・ジオンから和平のために出奔したミネバ・ラオ・ザビの登場で事態は複雑化。この間に箱を巡る交渉に従事しつつ、独自行動を取り始めたスベロア・ジンネマンと彼の元に身をよせていたバナージの活躍もあり、箱の開示は着々と進んで行った。
最終的に、フル・フロンタルによる一連の騒乱はサイド3の自治権返上を阻止したいモナハン・バハロ(ダルシア・バハロの息子)の陰謀であることが明かされ、ミネバの説得により彼らに味方していたサイド3の造反部隊は停戦。フル・フロンタルも箱を巡った戦いでバナージらに敗れて戦死した。また、コロニーレーザーにより箱ごと関係者を抹殺しようとした連邦の企みもアクシズショックを応用したバナージ、リディ、アルベルト・ビスト(バナージの異母兄)の共闘の前に潰え、戦闘は終結した。
0099年9月、ジオン共和国においてクーデターが勃発したが、早期に鎮圧されそのまま自治権返上を宣言。翌0100年にジオン共和国は消滅したとされる。(しかし、ガンダムUC作中においてはすでに0096年の段階で自治権返上が決定されており、矛盾した設定が存在することになる)。いずれにせよ。ジオンを巡る戦闘は作品的にも宇宙世紀的にもこれによりひと段落ついたとされる。
宇宙世紀が始まって1世紀が経過したこの時、前述の通り0100年にジオン共和国は消滅した。しかし、スペースノイドの不満は解消されることはなく、新たな抵抗組織が散発的な抵抗を続けていた。その中でも力を持ったのは「マフティー」であり、0103年より地球において活動を開始する。
ブライト・ノアの息子であり植物監察官の候補生になっていたハサウェイ・ノアは、シャア・アズナブルの思想に共感。マフティーの指導者であったクワック・サルヴァーにオルグされ、地球連邦の腐った体制に絶望。マフティーに参加して「マフティー・ナビーユ・エリン」と名乗り、軍事面のリーダーとなる。
0105年4月、地球を特権階級による私物化をさらに進めかねない「連邦政府調査権の修正法案」の可決を阻止すべく、議会が開かれていたオーストラリアのアデレートを強襲。しかし、これはハサウェイの親友であったケネス・スレッグに阻止され、ハサウェイは逮捕、処刑される。ケネスはブライトにその死を知られないように配慮したが、政治工作の結果失敗に終わる。以後のノア家の動向は不明であり、一年戦争以降ほぼ全ての戦闘に参加したブライトの活躍もここで終わる。
0106年、のちの戦乱の火種を作るクロスボーン・バンガードが結成され、反地球連邦活動そのものの質が大きく変化することになる。
マフティー動乱から0120年まで概ね地球圏は平和な時代を迎えており、大きな騒乱は確認されていない。しかし、地球連邦の腐敗と退廃振りは留まることを知らず、その絶対民主主義や官僚主義に激しい憎悪を抱く人々も少なくなかった。
その中心人物の一人だったのがブッホ・コンツェルンの総帥であり、ロナ家当主であったマイッツァー・ロナである。父から貴族主義思想(現代で言うノブレス・オブリージュ)を叩きこまれていた彼は優秀な若者たちを集めてクロスボーン・バンガードと呼ばれる私兵集団(表向きは連邦軍への人材派遣会社または予備校)を結成。娘婿となったカロッゾ・ロナの尽力もあり、0120年代には大規模な一大軍事組織へと発展を遂げる。
0120年、火星においてジオン軍最後の残党であるオールズモビル(火星独立ジオン軍とも)が蜂起。その後地球圏においても活動を開始するが0122年にはエイブラム隊のベルフ・スクレット少尉らの活躍で鎮圧されるが、背後にはクロスボーン・バンガードの支援があり貴重な実戦データを得る。
0123年3月、ついにクロスボーン・バンガードが本格的な蜂起を決行。現地の連邦部隊を制圧し、フロンティアサイドと呼ばれたコロニー群を占拠。コスモバビロニア建国を宣言する。当初は住民の協力を得るために懐柔政策を取るが、カロッゾ・ロナはその背後でバグと呼ばれた大量殺人兵器を制圧したコロニーに導入。凄惨な殺戮が繰り広げられ、娘であるセシリー・フェアチャイルド(ベラ・ロナ)やシーブック・アノーの激しい反発を買う。最終的にシーブックによりカロッゾは討ち取られ、フロンティアサイドでの戦闘は膠着状態に入った模様である。
以後のコスモバビロニアとその戦争の推移は作品で描かれていないため詳らかではない。ただ、セシリー・フェアチャイルドが貴族主義を否定したために内部分裂を起こして崩壊したことが、漫画版の続編である「クロスボーン・ガンダム」で示されているのみである。この作品では単にクロスボーン・バンガードと呼んだ場合、ベラ・ロナとキンケドゥ・ナウ(シーブック・アノー)によるレジスタンス組織を指すため、ほぼ組織としては消滅していたことがうかがえる。
0133年、木星帝国と呼ばれた木星開発組織を率いていたクラックス・ドゥガチが地球圏を滅亡させるために蜂起。しかし、これは上述のレジスタンス組織クロスボーン・バンガードとトビア・アロナクスの尽力により短期間で鎮圧され、宇宙には再び平穏が訪れた。
コスモバビロニア建国戦争とそれに伴う木星戦役は散発的な紛争で終結した。しかし、連邦の弱体化とコロニーの発言権増大は決定的となり、0140年代にはすでに各コロニーには実質的な自治権が与えられているような状況であった。この過程でコロニー間にも経済格差や資源を巡る争いが表面化し始め、宇宙は「戦国時代」とも揶揄される不安定な状況へと突入して行った(宇宙戦国時代)。
この状態を憂いたマリア・ピァ・アーモニアは0141年にサイド1のアルバニアンにおいて人生相談所(占いともヒーリング能力を活用した代替医療とも)を設立。自身が売春婦であり父親の知れない子供を産んだ経験から男性主義的な社会を否定。母系社会への回帰と地球を母なるものとして聖域化することを主張し、徐々に支持者を獲得して行く(マリア主義)。
0145年には木星公団の重鎮であったフォンセ・カガチがマリアに接近。0146年にはガチ党が結成されアメリア政庁の第三勢力にまでのし上がる。0147年には贈収賄に関与したグループをギロチンにかけ殺害。この行為は宇宙移民者が親から孫へ3世代へ突入しようという、洗礼効率化されたこの時代のスペースノイド達に対し、あえて原始的なまでの血の粛清を見せつける形となった為に心理的効果は絶大であったとされ、この私刑に震え上がったアメリアの人々は次々に口をつぐみ、同年には政権を奪取されてしまう。
スペースノイド、アースノイドを問わず一連のマリア主義の理想と行動の激しいギャップに抵抗感を抱いた人々は0148年、ジン・ジャハナム(複数人いるが実質はハンゲルク・エヴィン)を中心に民間レジスタンス組織リガ・ミリティアを結成。一方、ガチ党は0149年マリア主義を支持するコロニーを糾合してサイド2にザンスカール帝国建国を宣言。0152年には地球に降下し、連邦の無関心をよそに制圧作戦を展開して行く。これに呼応しリガ・ミリティアも抵抗を本格化させ、ヨーロッパを中心に激しいゲリラ戦を展開させる。
0153年4月、故郷であるカサレリアでザンスカール帝国軍(ベスパ)とひょんなことから敵対関係になったウッソ・エヴィンがリガ・ミリティアに参加すると、戦局は一変してリガ・ミリティアに傾く。途中、指導者の一人であったオイ・ニュング(伯爵)が逮捕され処刑されるなどの悲劇もあったが、より一層団結心を高める結果となった。また、この頃には連邦の一部部隊もリガ・ミリティアに合流。バグレ隊と呼ばれた連邦軍の蜂起も起きている。
5月にベスパは地球浄化作戦と称し、巨大なバイク型戦艦を地球に降下させ、地球連邦政府管轄の文化的財産圏である北米大陸の街を踏みつぶし住民を虐殺するが、本格的な連邦軍の戦闘への参加を恐れたザンスカール帝国と戦闘への参加に意欲的でない地球連邦政府の思惑が一致し、作戦中にもかかわらず双方は休戦協定を結ぶ。
このタイミングは明らかに不可解なものであったが、実際の帝国の真の目的は地球浄化作戦によって時間稼ぎをしている間に、木星で組み立てていた「エンジェル・ハイロゥ」と呼ばれる巨大サイコミュ兵器を完成させ、地球圏へと運搬することであった。これは、内部に数万人のサイキッカーを動員して強力なサイコウェーブを地球上に放射、人類を幼児退行させ闘争心をなくすという、フォンセ・カガチ宰相の野心によって生まれた人類粛清の為の代物であった。
6月、エンジェル・ハイロゥによる作戦は順調に進むかに見えたが、ギロチンにかけられ処刑寸前まで追い詰められたタシロ・ヴァゴ大佐がカガチに対し謀反。女王マリアを誘拐しエンジェル・ハイロゥから離脱する。駆け付けたウッソ・エヴィンはタシロを追い詰めるが、タシロはマリアを射殺してしまい助け出すことはできなかった。さらに、バグレ隊に続いて戦闘に参加したムバラク・スターン旗下の連邦軍の参戦もあり、ベスパの宇宙艦隊は壊滅する。
代わりに娘であるシャクティ・カリンがキィルームと呼ばれた中心部で平和への祈りを捧げてエンジェル・ハイロゥの制御を破壊。カガチもこの過程で死亡し、シャクティの祈りに応じたサイキッカーたちの能力でベスパの残存兵力は強制的に戦場から離脱させられる。指導者層を失ったこともあり、ザンスカール帝国は崩壊する。
ザンスカール戦争以降の宇宙世紀の歴史については、TVアニメが制作されていないため詳しい設定はされていないが、一部の作品ではこれ以降の時代を舞台とした作品が存在しており、例えば0203年のマハの反乱を描いた「ガイア・ギア」や0223年のガイアの光事件を描いた「G-SAVIOUR」が確認されている。
しかし現在これら作品群の扱いは不明瞭であり、前者は小説という媒体であることや執筆年代からくる各種設定の大きな矛盾、作者の事情などによって実質パラレル状態にあり、後者については映像作品であるが実写形式であることや、そもそも時代が遠く設定の繋がりも薄いためか実質放置されている状態にある。
その他一部の外伝作品などでは未来の時代設定が描かれる場合も僅かにあるが、それぞれの設定が衝突しあっていることもあり、多くの場合未確定状態である。
0152年、ネオ・ジオンの残党の系譜である組織ズィー・ジオンがシャア・アズナブルの記憶を持つメモリークローンを生み出そうとする計画「シャア存続計画」を開始。0155年にはズィー・ジオンを母体とした反連邦組織、後のメタトロンが活動を開始する。スペースノイド寄りの連邦軍人なども集まり、年月を経て戦力を拡大していくこととなる。さらに0184年にシャア存続計画によって誕生したメモリークローンが地球に移送される。彼はアフランシ・シャアと命名されて南太平洋に位置する自然保護地区にて秘密裏に育てられていく、その容姿はどことなく本物のシャアにも似ているようだが、実際の関係は不明である。
0197年6月、地球連邦軍は地球内の不法移住者などの摘発を行う秘密警察組織、通称マハの組織権限の拡大を承認、不法移住者の摘発を強化する態勢を採る。同様の任務を行う組織は0090年代にも確認することが出来る他、時代によりその厳格さにも差が見られる描写が存在している。
0203年、ガイア・ギアにおいてはこの頃には既にモビルスーツに変わる新たな兵器としてマン・マシーンが実用化され、普及するようになっている。2月、マハは半地球連邦運動の中心地で会ったサイド2・ヘラスへ進駐し、拠点とすると共にメタトロンへ対する強い弾圧を行い、メタトロンとマハの争いが本格的な物となっていく。成長し、宇宙へと出たアフランシはメタトロンに迎えられて活動を開始する、しかし長い時を経て硬直化していた組織とは乖離が見えつつあった。一方マハは一部のエリートにより地球を管理するという思想から地球逆移民計画を発表、ヌーボ・パリの地球連邦政府を制圧した末にヨーロッパ地域でメタトロンとの最終決戦に臨むが、アフランシ達に敗れて組織は崩壊の道を辿っていった。
しかしこの時既に高い自意識の元独自の行動を続けているアフランシに見切りを付け、マハに対して危機感を覚えていた地球連邦との間によりマハの殲滅を条件としたメタトロンの地球連邦への吸収という裏取引がされており、その後その通りに契約が遂行されていったと思われる。
0200年前後、当時の退役軍人やジャーナリストなど幅広い層で構成されるプライベートクラブを前身として秘密結社・イルミナーティが設立し、0170年代より激化の一途を辿っていた宇宙戦国時代の情勢を鑑みて、地球圏の調停と警護を主な活動方針に定めて本格的な活動を開始する。しかしその後も地球連邦軍の弱体化に伴うコロニー同士の争いは激しさを増すばかりであった。
0217年、宇宙戦国時代と呼ばれる情勢になってから既に半世紀以上の時が流れ、ここにきて地球連邦軍が強硬策として各サイドの武力制圧を開始する。しかし当然激しい抵抗に遭い、地球圏全域を巻き込んだ高列度紛争へと発展する事態となる。そして翌年0218年にとうとう地球連邦は崩壊してしまう。
その後0222年に連邦政府とコロニーとの和平が成立するが、連邦の体制は大きく再編され、地球圏は旧連邦軍がサイド2,3,5,7と共にセツルメント国家議会(CONSENT)を、残るサイド1,4が月面都市と共にセツルメント自由同盟を結成するという二大勢力の構図へと変化、そして残るサイド6と当時建設中だったサイド8最初のコロニー、ガイアは中立を保っていた。
権力中枢に堂々と食い込むようになった事でもはや「植民地」を意味するコロニーという名称が敬遠されたのか、この時スペースコロニーの名はスペースセツルメントへと改められている。この頃には既に地球環境は相当悪化しており、生産能力の不足による食糧問題が深刻さを増していくようになる。
0223年、サイド・ガイアの研究者が開発に成功した食糧問題対策の鍵となる生物発光体を独占しようとする議会軍強硬派であるガーノー提督が部隊を率いてガイアへと侵攻を開始する。議会軍は旧式MSで抵抗するガイア軍を圧倒するが、元議会軍パイロットであったマーク・カランやイルミナーティのMS部隊の奮闘もあり敗退、ガーノー提督もまた死亡した事で、議会は状況の収拾のためガイアに対してサイド8として正式に自治権を承認する。この出来事はガイアの光事件として、各地へ波紋を呼ぶことになった。
技術の進歩とともに、地球上に軌道エレベーターが建設されるなど宇宙世紀はさらなる繁栄を遂げていくが、それは同時に「消費の促進」という副作用をも引き起こしていた。
資源の消費が進んでいった結果、宇宙世紀末期には、地球の資源はもはや徹底的に消耗し尽くされた状態となってしまっていた。スペースコロニーも地球もすでに枯渇しており、人類の大半は死に絶え、種としての絶滅の淵へと立たされたのである。
共食いを始めるほどに貧窮を極めた人類だったが(なお、当時の"食料"…すなわち喰われる側だった人間は「クンタラ」と呼ばれ、千年が経過した後の時代においてもなお、下級民族として虐げられ続けている)、その後千年もの年月を費やして、かろうじて地上での復興を果たした。
宇宙世紀の終焉がいつだったのかは定かでないが、この人類絶滅の危機から復興のきざしをつかむまでの間に、年号が宇宙世紀から「リギルド・センチュリー(R.C.)」へと改められている。リギルドとは「再メッキ」の意味であり、文明崩壊から千年後の、文明を繕い直した世紀であることを表している。
この時代において、人類の生活圏は地球をベースとしており、かつてのスペースコロニーはすべてゴミと化している。しかし、リギルド・センチュリーの千年の間に、そのゴミを使用して月の裏側と金星の衛星にそれぞれスペースコロニーが再建されており、徐々にではあるが宇宙へとふたたび手を伸ばしつつある。
リギルド・センチュリーでは、宇宙世紀時代の技術体系を進歩させることがタブー視されている。中でも核エネルギーの使用は徹底的に否定されているが、代替のエネルギー源として登場した「フォトン・バッテリー」により、エネルギー問題については一応の解決をみている。フォトン・バッテリーは内部へ圧縮・蓄積させた光(光子)をエネルギーとして消費する装置であり、手帳サイズひとつでモビルスーツを一週間駆動させられるほどのエネルギー効率を持つ。この装置は地球では生成することができず、前述の金星の衛星に再建されたスペースコロニー「ビーナス・グロゥブ」にて生成されている。そこから宇宙船によって月のスペースコロニー「トワサンガ」へと運ばれ、軌道エレベーターを経由して地球へともたらされている。
この次世代のエネルギー源が、皮肉にも新たな争いの火種となってしまっている。軌道エレベーターを保有する宗教国家「キャピタル・テリトリィ」がフォトン・バッテリーを独占しており、それに対抗して宇宙海賊が略奪行為を行うなどの問題が発生している。
また、さらに遠い未来では「∀ガンダム」の時代である正歴へと繋がっているとされるが、やはりそこまでの経緯は明確には描かれてはいない。ただ本編の舞台である正歴2343-2345年の10000年または5000年前に文明が消滅したというセリフもあるため、最大でそこから逆算した時期までは続いたのではないかと言う推測がファンの間ではなされている。
大きく分けて地球に住む人々であるアースノイド、コロニーに住む人々であるスペースノイド、月面に住む人々であるルナリアンの三つに分類される(0100年以降は木星人も確認されている)。
時代変遷でも触れたように、移民の経緯から「持つ者」であるアースノイドと「持たざる者」であるスペースノイドは対立関係にあるとされ、0100年までの戦闘のほとんどはこれが要因である。実際、ベルナルド・モンシアやブラン・ブルタークのようにスペースノイドを「宇宙人」と侮蔑的に呼称したりバスク・オムのようにもはや人間とは見なさず虐殺を実行したりする人物も存在する。
ただし、カイ・シデンが述べた有名な「地球に家があるだけでエリート」と言う発言は正確とは言えず[3]、地球に住みつつ貧困にあえぐ人々も少なからず描かれている。そう言った貧困層の多くは宇宙からの密入国、または移民を拒否して不法に地球に残った人々とも思えるが、ガンダムUCでは歴史的な習俗の保存を名目に居留が許された人々、存在そのものが無価値とされ本人たちも無気力なため「もはや移民の対象にすらならず放置」された人々も存在している。
閃光のハサウェイの小説によれば、地球の自然を管理する人々や人種固有の文化を保存維持する人々は地球に滞在できるとされる。
『アナハイム・ジャーナル』のカイ・シデンによるメラニー・ヒュー・カーバインのインタビューでは地球における貧困層の存在などにも触れられている。
スペースノイドについてはアースノイド以上にピンキリであり、経済的にはマハルやシャングリラ、エデンに代表されるスラム的なコロニーがある一方、サイド6のような中産階級的なサイドも描かれている。閃光のハサウェイの小説には地球の南太平洋地区はスペースコロニーからの居住者が増えていたとあり、スペースコロニーから地球へ移住する人々もいたようだ。作中に登場する成功者たちは、例えばアナハイム・エレクトロニクス(実質はルナリアンだが)、ビスト財団、ペルガミノ、ペペ・メンゲナン、ブッホ・コンツェルンなど、ほとんどは宇宙に基盤を持っており地球は香港を除くと繁栄地域は限られていることと対照的である。また、問題を引き起こしたギレンに代表される選民思想も支持者は少数であり、サイド3を除くと影響は限定的と言える。
ルナリアンはその政治主張自体があまり描かれることはない。多くの戦闘では中立的であり、アナハイム・エレクトロニクスに代表されるように戦闘当事者双方に武器を提供して潤う会社も存在する。このためか、ルナリアンと言えば作中世界では二言目には鵺的な人物・勢力を揶揄する言葉である。
ただし、連邦議会への選挙権ならびに被選挙権は地球居住者のみとする説もある[4]ため、政治的な中心地は依然地球に存在していることは確かである。
閃光のハサウェイの小説下巻のケネスの述懐から、アデレードで法案を通そうとしている閣僚にはスペースノイドが選んだ候補者がいることが示唆されている。小説版F91では地球連邦政府の中央議会の選挙区は全コロニーが対象ととれる記述があり、サイド2に選挙事務所を持つハウゼリー・ロナが当選していることから、少なくとも宇宙世紀0100年代~0110年代にはスペースノイドは中央議会への選挙権や被選挙権はあるようである。
宇宙世紀0099年に発行された書籍という設定の『アナハイム・ジャーナル』ではフォン・ブラウン再開発終了のニュース[5]で地球連邦議会内でも宇宙選出の議員を中心に首都移転の声が高まっているとの情報がある。0140年以降は連邦政府の力も形骸化が進み、各コロニーには実質的な自治権がすでに与えられていたのが現状であったらしい。また、スペースノイドにとってはすでにコロニーが当然の故郷であり、地球に対する関心は徐々に薄れて行った(この傾向は一年戦争の頃からも見られていたのだが)。
更にVガンダムの時代である0153年では地球連邦政府が月面のフォン・ブラウン市へと移転したと言う設定も有るらしく、これ等に伴ってかこの時代においてはスペースノイドの劣等感も減少し、アースノイドにも高圧的な姿勢は見られなくなっている。この時代の連邦政府の中央議会は数百に及ぶスペースコロニーの政庁の徒党でもあるという。
人種分布については不明である。作中制作年代の放送コードの問題もあり、人種問題が表ざたになるような描写は存在しない(特にリュウ・ホセイのネグロイド設定がはねられたことはアニメ史を語る上でも有名)。ただし、小説版ではマイッツァー・ロナが差別主義者であることが描かれていて、黄色人種を粛清対象にする発言を残しているため、全て解消したと言う訳ではないようだ。
基本的に詳細な部分が描かれることは少ないが、ジャーナリストになったカイ・シデンが「いつでもバチカンに行けるように」と常に正装で居たりバナージの母親の葬儀に神父が呼ばれたりと、少なくとも儀礼的にキリスト教・カトリックは残っているようだ。ただし、西暦が廃された経緯を見ても分かる様に、精神・思想面での影響は限られていたらしい。反面、小説版やオリジン版でジオン・ズム・ダイクンが自身を常にイエスとなぞらえる言動を取っていたことからも、偉人としては語り継がれていたことは伺える。
イスラームに関しては宇宙では信者は確認されていない。ZZでは旧世紀からの伝統を持つFLN(アフリカ民族解放戦線)と言う反地球連邦組織が描かれおり、イスラーム色が見られるが直接的ではない。小説版UCではマハディ・ガーベイがムスリムであり、旧来の分離主義者としてはおそらく最期のテロ事件を起こしている。その娘、ロニ・ガーベイによれば伝統的な生活を保存すると言う名目でかなりのムスリムが地球に残っていたらしい。宇宙での影響が見られないのはこの辺に理由があるのだろう。
仏教・その他宗教については宇宙・地球でもほとんど信徒は見受けられない。ただ、ハイ・ストリーマーではインド大陸は宇宙からもかなりの人々が聖地廻りをしていたとあり、このインド大陸の状態は宗教が権力者にも拒否できない不思議な存在であるという証明と記述されており、宗教は一定の存在感があるようだ。
仏教についてはクェス・パラヤが瞑想を実践していたりベラ・ロナが仏教的な輪廻転生観を語っていたり(小説版)と少なくとも教養としては残っていたようだ。ニュータイプ論とも相性が良かったと見え、彼らとブッダとを重ね合わせる表現も度々なされる。ユダヤ教については上述のマイッツァー・ロナが侮蔑的な発言を残しており、勢力としてはまとまった数が残っていた可能性もある。設定ではアナハイム社会長のメラニーはユダヤ人であると言うものがあり、何らかの因縁を感じさせる。また、黒い三連星のうちマッシュが戦死した際、他の二人が独特の葬送を行っていたが、これが何らかの宗教によるものかは不明である。
言語については作中では明確に公用語が何であるか示されたことはない。作中人物が言語により意志疎通できないと言う描写は存在しないため、少なくとも統一言語が普及している様子は伺える。ただ、訛りは存在するらしく、特にジオンのものは有名であったらしい(漫画作品などではGをジーではなく、ゲーと呼ぶなどドイツ語が意識されているものもある)。また、アルファベットの使用は広範に見られる。
男女関係や家庭観は現代の先進国とそれほど変わっている描写は存在しない。ただし、戦争が続いた影響かマーサ・ビスト・カーバインによれば旧世紀の男女平等思想は退潮傾向にあったらしい。また、Vガンダムではマリア・ピァ・アーモニアが男性社会を批判、女系社会への回帰を主張し支持を集めると言う事象を起こしている。もっとも、女性であっても兵士として前線に出ることは一年戦争の時点ですでに珍しいことではなく、Vガンダムに至っては半数以上のパイロットが実際に女性である。シロッコの「女性の時代」とはこのことを指していたと解釈する向きもある。
生活様式は当然ながら、作中制作年代の文化(西暦1979年)からみた未来の世界であり、その頃に予測できなかった家電(携帯電話、デジタルカメラなど)は存在していない。ただ、怪我の功名(?)か、ミノフスキー粒子などの設定が存在するため、それらが存在しない理由や変化した理由が説明がなされている作品もある。ガンダムUCにおいては宇宙世紀でもネットは存在するが、精密機械であるコロニーが住処になったころから、電波の取り扱いが厳しく制限された影響でネットや電話の使用は有線が基本となっていることやミノフスキー粒子の機械への影響からコロニーの生命維持システムの重要なデータはプリントしていると説明している。『アナハイム・ジャーナル』ではミノフスキー粒子の影響でネットワークが地球、月、各コロニーの中だけで閉じていたらしく、ミノフスキー粒子の濃度低下により約四半世紀ぶりに民間利用可能なユニバーサルネットワーク網が復活しようとしているらしい。一年戦争後の生まれであるバナージ・リンクスは、個々人が全ての世界の人々とつながる端末を所持していた時代を「信じられない」と評しており、0079年を境に大きな溝があるという描写がされていた。ただし特に近年の作品によっては現代の認識に合わせた何らかの先進的ガジェットが登場する場面も当然描かれている。
小説版F91では人類は旧世紀に流通機構の自動化や情報などの技術が発展しきった時にそれらの使用を避ける方向に向かったとあり、小説内では牛乳の配達などを例になぜそうした方向に向かったのかについて理由が説明されていた。
閃光のハサウェイの小説によれば、ゲートの守衛などを機械ではなく人に任せるのは、人を雇えるというステイタスとしての面や職業の創出という面があるという。いつ頃の時期かは不明だが(小説の記述からは閃光のハサウェイの時代よりも過去の出来事のように思える)、極めて少ない人手で食料や居住空間、日常消費製品が生み出せるようになり、働く必要のない人が増えたが、それは人に良い結果を与えなかったと記述されている。一生遊びながら人生を十全に暮らすには極度の才能と意思が必要と理解されるようになったとあり、そういうものがない場合は自堕落になったらしく、例として過去に少数民族へ完璧な福祉政策(墓場まで生活ができるらしい)を行ったが、生活に不安の無くなった少数民族は民族の伝統などを喪失し、民族が消滅するという結果になったため、福祉政策は限定した弱者にのみ向けるようになり、人のアイデンティティを堅持するには労働も必要という再評価が定着したらしい。
ハイ・ストリーマーでは、200億人の人口の食料生産やコロニー運営だけなら、1億5000万人の労働で十分だが、残りの199億人は何もしないで生きていかれるかという問題を人類はまだ乗り越えていないとの話が出ている[6]。
その他の宇宙世紀の社会の構成や環境については作品によって様々であり、また軍事主体の作品である事も相まって非常に多くの想像の余地が残されている状態になっていると言える。
掲示板
442 ななしのよっしん
2024/10/24(木) 02:43:08 ID: 95E6ew/9Yn
そもそもいうならば天パにもロリコンにも頼らない新しいガンダムとして作られたはずのF91が爆死、尻拭いをしたVも禿の趣味全開に走った時点で……>後継の失敗
F90FFの登場でようやく再評価されつつあるのはいい事なのか悪いことなのか(令和に大暴れするデスガンズの方を見つつ
443 ななしのよっしん
2024/10/27(日) 17:58:25 ID: Jq2k11RqGw
キンケドゥの意志を受け継ぎ、ある意味カラス先生の正当後継者にもなってみせたトビアよ。
……しかしこちらも“ドゥガチ総統の亡霊”木星タカ派の怨念を30年も経っても祓うことができなかったどころか政争に敗れ軟禁され妻子は引き離されるに至ってるからなあ……。
在りし日の意志を受け継ぎ平和と繁栄を築くべく世を真っ当に動かしてくれるいい意味での後継者も現れてくれたが、亡霊や怨霊の類と評した方がいいような地球への敵対心や戦いのための人命軽視の思想など負の面のミームを受け継いじまった悪い意味での後継者も出ちまったからなあ……
444 ななしのよっしん
2024/10/28(月) 21:03:09 ID: KoCuD/ZOSj
急上昇ワード改
最終更新:2024/11/09(土) 08:00
最終更新:2024/11/09(土) 07:00
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