ヨルムンガンド単語

ヨルムンガンド

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曖昧さ回避

ヨルムンガンドとは、

  1. 北欧神話に登場する、巨大な幻獣。本項で記述。
  2. サンデージェネックスにて連載されていた、高橋太郎によるガンアクション漫画
    ヨルムンガンド(漫画)を参照。
  3. 機動戦士ガンダムMS IGLOO」に登場する宇宙用の決戦兵器
    ヨルムンガンド(ガンダムシリーズ)を参照。
  4. R-TYPE TACTICS」及びその続編の「R-TYPE TACTICS」に登場する輸送艦『ヨルムンガンド級』
    ヨルムンガンド級(R-TYPE)を参照。
  5. 聖剣伝説3」にて、ドラゴンマスタークラスチェンジしたリースが使用できる召喚魔法
    大岩に体を巻きつけた巨大なドラゴンを召喚し、ガスブレスで敵を一掃する。由来は1から。
  6. ゼロの使い魔」に登場する、強化ゴーレム
    ジョゼフ王によって先住魔法と系統魔法を組み合わせて作られたゴーレムで、
    運動、精密動作性や学習などあらゆる面で従来のゴーレムとは較にならない性を誇る。

概要(北欧神話)

ヨルムンガンド(古ノルド: Jǫrmungandr[1]は「途方もい長さの」という意味で、その姿形を表している。転写法等の違いから「ユルムンガンド」「イオルムンガンドル」などと書かれる場合もある。別名「ミズガルズスオルム」(古ノルドMiðgarðsormr[2]は「中つ大蛇」を意味し、人間界である「中つ」(ミッドガルド。古ノルドでミズガルズ)を一巻きにするほどの大蛇、といった意味合いを持つ(後述)。

北欧神話に登場するの一柱ロキと霜の巨人[3]アングルボザ(古ノルド: Angrboða 「悲哀をもたらすもの」)との間に生まれた二男一女(フェンリル、ヨルムンガンド、ヘル)のうち一体。
生まれてからしばらくは霜の巨人界「ヨトゥンヘイム」(古ノルド: Jǫtunnheimr)[4]で育てられていたが、ロキ子供たちは後に々の脅威になると予言され、アース族のオーディンオーズィン。古ノルド: Óðinn)の命を請けた々によってヨルムンガンドは「ミッドガルド」(中つ人間界)を取り囲む冷たいに捨てられてしまう。
そしてそのまま死んでしまうだろうという々の期待[5]に反してヨルムンガンドは着々と成長を続け、ついにはミッドガルドをぐるりと取り囲んでもなお余り、全世界を一周して自分の尾を口にくわえる程の大蛇になり世界を守っている。その巨大な体は一うねりすれば津波が起き、通った跡は大地が深く削られた程だという。また、その口からはどんな々をも死に至らしめる猛を吐いたとされる。

宿縁の敵手・トール

雷神トールソール。古ノルド: Þórr)[6]とは深い因縁を持ち、中でも特に有名な物語が3つある。

1つトールが従者スヤルフィ(Þjálfi)とロキを連れてのヨトウゥンヘイム遠征である。
ウートガルザ(Útgarðar (Útgarðr[7] 「外側の囲われた土地」の複数形))を訪れたトール一行は、そこに居(腐臭に満ちた洞窟を利用した砦)を構える巨人ウートガルザ=ロキ(Útgarða-Lokiロキとは別人)と勝負をすることになった。実はウートガルザ=ロキ術に長けており、を訪れる前にも巨人スクリューミル(Skrýmir 「巨大な外見」という意味)に化けて食料をあらかた騙し取り大いに惑させていた。そしてこの勝負においても彼は術を駆使し、ロキは人の姿をした野火ロギ(Logi)を相手に食べべを、スヤルフィ擬人化した彼の思考フギ(Hugi)と駆けべをする羽になり、どちらも敗。トールに至っては3回も勝負をし、杯(実はに繋がっている)で飲みべと、ペット(実はヨルムンガンド)を持ち上げるべと、エッリ(Elli 「年波」という意味)との腕べをしたが、いずれも敗だった。それでもウートガルザ=ロキトール一行を客人として大いにもてなし、翌になって全ては一行の実を量るための術であったことを明かし、次に争う時には「本物の居」を全で死守することを宣言した。トールミョルニルを振りかぶると、ウートガルザ=ロキと砦は跡形もく消え失せ、後にはただの美しい平原だけが残った。トール一行はこれ以上の遠征を諦めて退却せざるを得なかった。

2つトールがヨルムンガンドを釣り上げようとした時の話である。
1つの話で余程悔しかったのか、トールは「ヨルムンガンドを釣り上げてやろう」と決心し、巨人の漁師ヒュメリ(ヒュミルHymir)。フェンリルを封じるために自ら片腕を犠牲にした勇敢な戦テュール(Týr)の)を誘って釣りに出かけた。一番大きなの頭を餌に糸を垂らすと、すぐさま何者かが食いついた。凄まじいで糸を引っってくるそれを渾身の釣りあげると、狙い通りヨルムンガンドであった。トール雷神の槌ミョルニルでヨルムンガンドの頭を打った。しかし、強ミョルニルの一撃を受けてもなおヨルムンガンドは耐えた。その時、ヨルムンガンドの重みで舟が沈んでしまうことを恐れたヒュメリが釣り糸を切り、中にヨルムンガンドを逃がした。トールは大いに怒り、なんとヒュメリを中に突き落としてしまった。[8]

3つラグナロクの際の戦いである。
ラグナロクの時、ヨルムンガンドはから陸に上がり、因縁の敵トールと死闘を繰り広げた。ヨルムンガンドはトールを締め付け、猛を吐いた。トールミョルニルを投げつけてこれに対抗した。しい戦いの後、頭にミョルニルを何度も受けたヨルムンガンドは息絶えたが、ヨルムンガンドのすべてのを殺す(神殺し)猛によってトールは絶命した。

こうして因縁の対決は両者相打ちという結果に終わったが、戦績で見れば1勝2分でヨルムンガンドが勝っている。

関連項目

脚注

  1. *ノルド古代北欧ヴァイキングたちの言)において「ǫ」(尻尾カウダ)付きオー)は口がやや開き気味の「o」で、13世紀ごろには普通の開きの狭い「o」か調音位置が前寄りの「ø(ö)」(開きの狭い o の口の形で e を発音)に合流し、後者の一部はその後さらに「æ(ä)」(開きの広い a の口の形で e を発音)に移行した。語尾の「-r」は男性名詞語尾で発音は「~ル」だが、文中で格に従って変化するため固有名としては大概省略される。
  2. *「ð」の発音は英語の the の th に近い。
  3. *巨人族とっても彼らは太古の混沌から生み出された古い存在であり、身体ばかりでなく魔術や駆け引きにも長けて々を脅かす存在であると同時にアース族との血縁関係も極めて深い。例えばオーディンベストラ(Bestla)は霜の巨人族であるし、ボル(Borr)の母親は不明だが霜の巨人族の可性が高いとする見方がある。以上のことから他の神話伝説の知的でない巨人族と区別して「巨魔」「巨」等と訳す試みもある。
  4. *ヨトゥン(古ノルド: jǫtunn)は霜の巨人族をす代表的な呼称の一つで、実は英語の eat と同じであり「大食らい」あるいは「人食い」の意。ヘイム(heimr)は英語home と同なので、ヨトゥンヘイムとは「大食らい/人食いの郷」といった意味になる。なおヨトゥンはスカンディナビア半島およびアイスランド巨人を表す一般的なになっている(デンマーク語スウェーデン語: イェッテ(jætte, jätte)など)。もっともアイスランド語イェートゥン(jötunn)以外の現代では「巨人」とえば古代神話巨人よりもお伽話に登場する醜悪な山のトロル半妖精的な巨人)をすのが専らのようである。
    別の異称リスィ(risi)は、ドイツ語リーゼ(Riese)などヨーロッパ大陸ゲルマン系諸の「巨人」のだが、その意味する所はよく判っていない。英語rise 「立ち上がる、高くなる」に相当するとの関連も摘されているが未確定である。こちらも現代ではトロルの意味で使われることが多い。
  5. *直接殺めてしまうとそれが呪いの元となり自らにその報いが返ってくるため、敢えて放置された。
    なおフェンリルは手足と口を封じられて地中深くに、ヘルは氷の郷ニヴルヘイム(Niflheimr)**に捨てられたが、彼らはラグナロク世界終末)まで生き続けて先の予言を成就させてしまう。
    ** 古ノルドの f は音間や末、有音の前では有化して v と発音される。
  6. *「Þ」の発音は英語の thanks の th に近い。
  7. *別の神話ではウートガルズは世界樹ユグドラシルが束ねる3つの世界のうちの1つ(他の2つはアスガルドアースガルズ;アース族の世界)とミッドガルド(人間界))であり、悪魔や悪霊たちの世界とされている。
  8. *別の物語のヒュメリはトール釣りを邪魔しなかったので入は免れたものの、重な「絶対割れない皿」を割ってみろとトールを試し、見事に割られる → その上宝の大釜を盗まれる → 追手として差し向けた配下が尽く返り討ち、と半ば自業自得ながらやはり気の毒な展開が待っている。
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