イナボレス(Ina Bowless)とは、1969年生まれの日本の競走馬である。安馬の抽せん馬かつオーナーの職業などもあるが、主にその恐ろしいまでの頑丈さから「走る労働者」という異名をとった。
主な勝ち鞍
1972年:サンケイ賞オールカマー
1974年:金杯(東)、目黒記念(秋)
1975年:愛知杯
※この記事での馬齢表記は、2000年以前の「数え年」による表記を用います
イナボレスは純粋なサラブレッドではなく、いわゆるサラ系である。父ヘリオスは重賞4勝を挙げた名スプリンターで、こちらはプリンスローズ系のサラブレッドであるが、母ボーレスクインの母系をさかのぼると、徳川家茂にナポレオン三世が贈ったアラブ馬、高砂にたどり着く。
抽せん馬であったが、旧民社党の衆議院議員、稲富稜人がオーナーとなり、大久保洋吉の父の大久保末吉厩舎に入厩した。
8月に中山の新馬戦でデビュー。これは2着に終わったものの、2週間後の未勝利戦で初勝利。その後は勝星を挙げることができなかったが、3歳シーズンに7戦1勝、2着3回という何かおかしい成績を残した。
ちなみに3歳最終戦の100万下寒菊賞では5着に敗れているが、勝ったのは名馬イシノヒカルである。
4歳になったイナボレスだったが、あまり期待はされておらず、5月に指導して夏の間条件戦を走りまくった。5月に200万下クローバー賞、9月に400万下鹿島灘特別を制し、10月にオールカマーに出走した。この時点ですでにシーズン9戦もしていた。
まだ700万下の条件馬だったため、11頭立ての9番人気であった。しかし、オンワードガイやハクホオショウといったそうそうたるメンバーを抑えてイナボレスは勝利。17戦目にして重賞馬となった。
ちなみに同年12月に衆議院選挙が行われており、オールカマーの賞金1000万円は稲富氏の選挙資金として大いに活用されたらしく、稲富氏は見事当選を果たしている。というより、そのために無理に走らされていたふしがある。
その後カブトヤマ記念、愛知杯、CBC賞を使われ、愛知杯とCBC賞は4着に入っている。
5歳のシーズンは金杯(東)から始動したが、ここで6着に敗れたのを皮切りに掲示板にも2回しか載れず10連敗。10月終わりに700万下府中特別に出走し、4馬身差をつける圧勝でようやく連敗を脱出。なんとかシーズン全敗を阻止し、14戦1勝でシーズンを終えた。やっぱり色々とおかしい。
前年同様、金杯(東)から始動。前年の不振もあって12番人気であったが、これをクビ差で勝利。2年ぶりの重賞2勝目を果たした。
続く東京新聞杯は11着と大敗したが、その後は安定して掲示板に載り続け、11月には秋の目黒記念も制覇し、重賞3勝目。11戦2勝、2着1回と自己最高の成績で6歳シーズンは終わった。かなり無茶をしているはずなのにそう感じないのが不思議である。
4月末の府中オープンで始動。これを2着と上々の滑り出しを見せ。6月には初のGI級レースである宝塚記念に出走。4番人気に推されて4着と貫禄を見せた。
その後は不振に陥り、掲示板に載れないレースが続いた。初の八大競走である秋の天皇賞に出走するものの12着。さすがのイナボレスももう限界かと思われた。
だが、シーズン最終戦となった愛知杯では6番人気ながら1馬身半離して見事優勝。シーズン13戦目で初勝利。結局これが最後の勝利となった。
同年衆議院は任期満了で総選挙が決まっていた。となれば、稲富氏は選挙資金が必要である。御年8歳のイナボレスはその一部を稼がされた。
金杯から始動し、2、3週間に1走という例年以上の超ハイペースで出走を続け、春秋の天皇賞や安田記念、高松宮杯にも出走。投票日直前の秋の天皇賞まで実に18走した。こんなの絶対おかしいよ。
イナボレスの賞金が効いたのか定かではないが、稲富氏はこの選挙も見事ものにし、10期目を務めることになった。
ラストランとして選挙の終わった後の愛知杯に出走。6頭立てながら5着に入り、これをもって現役を引退した。
通算76戦(!)8勝、賞金総額1億5764万円。まさに走る労働者の名にふさわしいタフガイであった。
本来なら種牡馬になることも十分可能な成績であるが、サラ系であるイナボレスは血統の面でハンデを負っており、種牡馬になることはできなかった。
そのため美しい馬体を活かして誘導馬に転身。府中競馬場で80年代の後半まで誘導馬を勤め上げた。
引退しても馬場で仕事をするのだから、本当に働き者な馬である。
| ヘリオス 1957 栗毛 |
*ブツフラー 1952 栗毛 |
Prince Chevalier | Prince Rose |
| Chevalerie | |||
| Monsoon | Umidwar | ||
| Heavenly Wind | |||
| *ミスハイペリオン 1950 栗毛 |
Khaled | Hyperion | |
| Eclair | |||
| Mad Joss | Bunting | ||
| Jostle | |||
| サラ系 ホーレスクイン 1969 黒鹿毛 Ntb 高砂牝系 |
*カバーラップ二世 1952 黒鹿毛 |
Cover Up | Alibhai |
| Bel Amour | |||
| Betty Martin | Hollyrood | ||
| Rhoda F. | |||
| サラ系 ハツピウイン 1952 栃栗毛 |
タチカゼ | プリメロ | |
| 第参パプース | |||
| サラ系 月盛 |
ハクシヨウ | ||
| サラ系 瑞盛 | |||
| 競走馬の4代血統表 | |||
クロス:Hyperion 4×5(9.38%)、Blandford 5×5(6.25%)
掲示板
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最終更新:2025/12/24(水) 04:00
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