『イーハトーヴ交響曲』(Symphony Ihatov) とは、冨田勲 (1932-2016) が作曲した交響曲である。2012年11月23日に初演された。
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| ↑2013年8月29日花巻公演 |
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| ↑2013年9月15日東京公演 |
宮沢賢治の作品をテーマとした、全7楽章の交響曲。オーケストラと混声合唱・児童合唱のほかにソリストとして「ヴァーチャルシンガー」初音ミクを起用している。公演時はステージ中央に置かれたスクリーンに初音ミクの姿が登場し、初音ミクの歌唱および3DCGがオーケストラの演奏にリアルタイムで同期される。オーケストラと初音ミクとのリアルタイム同期の試みは、本作が世界初であるとされる。初音ミクの音源制作には漢那拓也が、映像制作には@まさたかPやYumiko (MTP)らが、音声の同期やバックアップ技術開発にはことぶき光、百々政幸、山口慎一らが携わった。また、本作公演のためクリプトン・フューチャー・メディア株式会社により開発された3DCG同期システムは「R3」と呼ばれ、後にマジカルミライをはじめとする様々なシーンで活躍している。
全体を通してヴァンサン・ダンディ『フランスの山人の歌による交響曲』から多く引用されているほか、セルゲイ・ラフマニノフ『交響曲第2番』や、宮沢賢治が作曲した歌曲、冨田勲自身の過去作からの引用もある。
なお、公演時のプログラム・テレビ放映時の字幕・CDの歌詞カード等で、宮沢賢治の詩はすべて新字新かなで引用されているので、本記事もそれに倣う。
児童合唱により宮沢賢治作詞作曲の『牧歌』が斉唱され、それに繋げる形で『フランスの山人の歌による交響曲』(以下『山人』)第1楽章が引用される。
宮沢賢治作詞作曲の『剣舞の歌』に繋げる形で『山人』第3楽章が引用され、その旋律に合わせて再び『剣舞の歌』が合唱される。その後、宮沢賢治作詞作曲の『星めぐりの歌』が児童合唱により斉唱される。
ここで初めて初音ミクが登場。『山人』第2楽章の主題を引用する形で、初音ミクによる自己紹介が歌われる。その後「アブラカタブラ…」と呪文を唱えていると、何かに驚くように画面から消える。
1940年公開の映画『風の又三郎』のために杉原泰蔵が書いた曲が引用され、それを合唱に続く形で初音ミクが歌う。
最も長い楽章。チューブラーベルが打ち鳴らされてから、足踏みオルガンの演奏に合わせ冨田勲による1つめの主題[1]を初音ミクが歌った後、間奏としてラフマニノフ『交響曲第2番』第3楽章が引用される。児童合唱により冨田勲による2つめの主題が提示され、初音ミクが続く。合唱により讃美歌風の曲が歌われ、児童合唱によりジョバンニとカンパネルラが呼びかけあった後、1つめの主題に戻る。楽章を通して演奏される、列車の走行音のようなピアノのフレーズはエイトル・ヴィラ=ロボス『ブラジル風バッハ第2番』第4楽章(「カイピラの小さな汽車」)との関連が指摘されている[2]。
短い前奏の後、無伴奏の混声合唱により宮沢賢治作詩の『雨にもまけず』が全編歌われる。第3楽章以降登場しつづけていた初音ミクは、本楽章には一切登場しない。
再び『山人』第1楽章が引用され、今度は児童合唱に合わせて初音ミクも3度上で『牧歌』を歌う。
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| 冨田勲 |
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最終更新:2025/12/05(金) 18:00
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