オート9とは (ロボコップノピストルとは) [単語記事]

本稿では映画『ロボコップシリーズ』に登場するカスタム拳銃について解説する。

概要

AUTO 9（オート・ナイン）。凶悪犯罪都市と化したデトロイトの治安を守るため、デトロイト市警察を民営化保有するオムニ・コンシューマ・プロダクツ（OCP）社が制作した正義の守護神・ロボコップの専用マシンピストル。

右太ももから取り出されるや、凄まじい連射速度の三点バーストで敵を次々蹴散らし、小気味よいガンスピンを経て格納される。そのインパクトの大きなデザインからロボコップ共々高い人気を博し、ロボコップ関係ない他の映画にも「出演」した、アクション映画史に燦然と輝く名銃である。

なお、当初ロボコップの銃には、2年前に公開された『コマンドー』で有名になった「IMI デザートイーグル」が選ばれる予定だった。しかしポール・バーホーベン監督の「ロボコップにはデザートイーグルでも小さい。もっとデカい銃にしたい」という意向で、既存銃を大幅に改造した架空銃が作り出された。

2014年のリメイク版では登場しない。

ベースとなった銃

『1』『2』でのベースモデルはイタリア・ベレッタ社製のマシンピストル「ベレッタ93R」。
本来セミオート/3点バーストの切替式だが、空砲を作動させるための改造の影響かフルオート射撃になっている。このため劇中では適宜指切り射撃を行っており、しょっちゅう2点バーストや4点バーストになったりしている。
バカでかいパーツを取り付けまくったため、撮影中はジャム（装弾不良）が多発したらしい。

ちなみに『1』の公開後、日本の遊戯銃メーカー・MGC社から、同社製の93Rの固定スライドガスガンをベースにしたガスガンが発売された。当然ながら版権無許諾な上、パッケージには堂々とロボコップのイラストを描いている、今では到底考えられない緩さの商品だったが、アメリカ本国に存在が伝わるとその出来の良さが評価され、撮影用小道具として購入されたという逸話もある。

『3』では同じくベレッタ社製、当時の米軍制式採用拳銃「ベレッタ92」が使用されている。何らかの事情で93Rが使えなくなったため変更されたものと思われる（完全な推測になるが、元々93Rは法執行機関向けのモデルであり、法適用の厳格化によって調達出来なくなったのかもしれない）。
この92ベースのプロップガンは、その後に『シン・シティ』や『シティーハンター（ジャッキー・チェン主演版）』など、他の映画でも使用されている。

「オート9」カスタムポイント

なんといっても、長大な銃身とそれを覆うコンペンセイター付きスタビライザーが目を引く。両側面に3つずつガスポートを開け、連射時の制御性を確保している。

スタビライザー上部のフロントサイトに合わせてリアサイトも換装。大きなヒレのような形状になっている。特に光学装置は搭載されていない、シンプルな凸凹アイアンサイトである。実際の照準はロボコップ自身の照準センサとプロセッサで何とかしているのでぶっちゃけなくてもよいのだが。

グリップはロボコップに合わせた独特の形状になっている。

マガジン装弾数は50発。とはいえガンアクション映画のお約束として設定はほとんど無視されており、「リロードしたいときに弾切れする」。マガジンの外見は実際の20連マガジンから特に変化はない。

遊戯銃界隈の話

先述した通り、MGCから固定スライドガスガンとしてモデル化された。同社の93Rはエアソフトガン史に残る大ベストセラー商品であり、それをベースにしたオート9も好調なセールスを記録した。

『3』の公開時にはウエスタンアームズ社が正式な版権を取得し、「ウエスタンアームズ15周年記念モデル」として電動ブローバックガスガン「ロボコップ　フルオート9」を販売していた。日本の遊戯銃業界で初めての正式モデルアップ商品である。BB弾発射にガス、スライドの稼働に単三電池を用いるハイブリッドモデルだった。現在は絶版。

現在安定して手に入るのはKSC社製。MGCの倒産後、事実上の後継として金型を引き継いだKSCは93Rをガスブローバックモデル化し、遊戯銃業界屈指のロングランモデルとして大成させた。現在は3点バースト部品を別売り化した廉価版「M93R-C」と、新型エンジンを搭載したハイエンドモデル「M93R Ⅱ」が展開されているが、オート9は前者の規格で生産されている。
RⅡ モデルに比べると弾道性能でやや劣るが、サバイバルゲームで遊ぶ分には現行の最新ガスガンにも見劣りしない。1～2年おきに再生産されているが、少数生産が多いKSCとしては多めに生産する傾向にあり、古参のエアソフターは大体もう持っていることも相まって、ネットショップなどでは結構長く在庫が残っている。