一時期ドヤ顔をする子供のカワウソが話題になったが、それもまたこのコツメカワウソである。現在はイルカ・アシカなどにも匹敵する水棲哺乳類の新アイドルとなりつつある。
カワウソの中ではもっとも小型の部類に入るカワウソ。インド、中国南部、東南アジアなどの川や沼地などの水辺に生息する。ユーラシアカワウソと並んでカワウソの代表的な種類であり、習性もユーラシアカワウソによく似ている。
水棲生活に適した特徴を持ち、毛皮は他のカワウソと同じく保湿性に富んでいる。前足の爪は小さく、これがコツメという名前の由来になっている。水かきなども小さいが、指はやや太くずんぐりしている。尾は長く、コツメカワウソの体長の多くを占めている。カワウソは獲物を捕らえる手段が口か手かで別れるのだが、コツメカワウソはそのうち手で獲物を捕らえ、両手を使って器用に食べる。そのため手先がとても器用な動物である。
基本的には昼行性で、動物園でも朝っぱらから元気な姿を見ることが出来る。しかし夜でも活動することがよくあるなど、実は昼夜を問わない元気者である。主に水辺で暮らすが、地上でもそれなりに活動することができ、干ばつの時などは地上にあがって獲物をとるという臨機応変さもちゃんと持っている。
食物はザリガニ、カニ、貝類などで、魚はあまり食べない。なにかとカワウソの秘めたる凶暴性が取り沙汰される中、コツメカワウソは身体が小型であるため、ワニを襲うと話題になったオオカワウソのようにワニを襲ったりはしない。むしろワニは天敵の一体である。しかしコツメカワウソの泳ぐ力は卓越しており、ワニを相手にして滅多に捕まることはない。
ユーラシアカワウソと違って家族の規模が大きく、10~15頭ほどの群れを作るが、繋がりは薄く、つがいとなったオスとメスがつかず離れずな以外は、群れにそんなにこだわらないらしい。
繁殖期は一年中であり、繁殖力自体は高め。一回の出産で二頭ほどを産み落とす。
賢いためか、危険ではないと判断した相手なら人にでも慣れやすく、動物園ではいろんな芸を披露し、愛嬌を振りまいてくれる人気者である。
コツメカワウソの「獲物を探すために隙間に手を突っ込む」という習性を活用して「来園者と握手」出来る動物園も存在する。握手出来るかどうかはコツメカワウソの気分次第。また、夏場はウォータースライダー風に設置された、流しそうめんならぬ流しカワウソなる設備を用意する場所もある。
コツメカワウソはワシントン条約附属書Ⅱ(CITESⅡ)に掲載され、国際自然保護連合(IUCN)による保全状況評価で絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されている絶滅危惧種である。
生息数減少の原因は開発による生息環境の破壊や、田畑や漁場を荒らす害獣として駆除されるといった他のカワウソの仲間と共通する原因に加えてペット目的の乱獲が挙げられる。
CITESⅡに掲載されているコツメカワウソの合法的な取引には輸出国の輸出許可書が有る個体か国内で繁殖された個体である必要がある。しかし、輸出許可書は90年代以降にはペット目的ではまず発行されなくなったので輸入と称する個体はほぼ確実に密輸と思ってよい。また国内繁殖にしても人工的な環境下では動物園ですら繁殖例が限られており、ましてや民間のペット業者で商業的な繁殖法が確立されていると到底考えられない。つまり日本国内で販売されているコツメカワウソは高確率で密輸された個体であると考えざるを得ない。
実際にカワウソの子供を手荷物に隠して密輸を試みる事例が東南アジアや日本の空港でしばしば摘発されている[1]が手荷物に隠されると事前に察知することは困難であることから、これらは実際に横行している密輸の氷山の一角だと思われる。手荷物に入れるような手荒い輸送法では死亡率が高いはずであり、子カワウソを捕まえる際に親は殺されるので密輸には販売される個体にとどまらず多くのカワウソの犠牲が伴っている。
本当に愛しく思うなら軽率にコツメカワウソを購入するべきではない。それがコツメカワウソを絶滅に追いやることになるのだから。
上述のコツメカワウソを取り巻く現状を理解したうえでそれでも飼育を考える場合、確実に出所が信頼できる個体を購入するべきである。しかし、上述の通り飼育下での繁殖は困難なためペットショップで見掛ける事自体がほとんどない。それでも、大型ペットショップなどで極稀に販売されたケースがあり、近年はネット通販があるので根気よく探せば購入可能。ペットとしてそんなに見掛けないレア動物なため、販売価格は60~100万円と高額。エサ・施設などの費用もそれなりに掛かるだろう。
元気一杯で活動的な動物なため、遊びなどでの毎日の運動は必須。更に水棲動物でもあるため簡易プールなどで水浴びをさせないといけない。運動や水浴びを怠るとストレスで体調を崩したり病気にかかってしまう。また、十分に安全に動けるスペースを確保しておきたい。群れで生活する動物なため他者とのコミュニケーションがまた大切であり、飼い主は毎日きちんとコツメカワウソと十分に接しないといけない(ペットを飼うのなら当然だが)。野生下でも身近なモノを遊び道具にするようにおもちゃが大好きで、色々な遊び道具を与えてやると喜ぶ。本来は赤道近くの温暖な地域が生息地なため寒さには弱いため、温度管理も重要。
群れで生活する動物なため複数匹一緒に飼うのが理想的だが、値段が高い動物なため金銭的には難しい。
賢く好奇心旺盛で人に懐く動物なため、飼育すれば飼い主に積極的に触れ合い、トイレの場所などの簡単な躾や芸を覚えさせる事が出来る。表情・仕草共に愛らしく愛情持って育てれば最良のパートナーとなり得る。
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最終更新:2024/12/02(月) 18:00
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