サンダーバード(劇場版)

「サンダーバード」(劇場版)とは、1966年12月25日にイギリスで公開された特撮人形劇映画である。
原題は「Thunderbirds are go!」。日本では1967年7月15日公開。

概要

テレビ番組「サンダーバード」の劇場版。
有人火星探査機ZERO-X号の活躍を軸に、サンダーバード号の活躍、トレーシー家の末っ子アランの青春物語を描く。

実在するミュージシャンのクリフ・リチャードが本人の息子役でゲスト出演している。
バックバンドのザ・シャドウズも実在するバンドで、かつ本人たちが声をあてている。

ストーリー

有人火星探査計画「ZERO-X計画」。人類初となる任務を背負って離陸したZERO-X号だが、大気圏を脱する間もなく制御不能に陥ってしまう。乗組員は全員脱出して無事だったが、ZERO-X号は海に墜落してしまう。

約２年後。ZERO-X号が制御不能に陥った原因は何者かの妨害工作が原因であったという宇宙局調査部の報告を受けた上で、火星探検センターは２度目の火星探検飛行を計画。妨害工作への対策として、国際救助隊にZERO-X号が大気圏脱出するまでの護衛を要請する。

登場人物

国際救助隊

南海の孤島に基地を構える、トレーシー一家が運営する私設のレスキュー隊。人命救助を第一に、世界中のどこへでも出動する。公には正体を隠している。

• ジェフ・トレーシー
  国際救助隊の総司令にしてトレーシー兄弟の父親。
  ZERO-X号の護衛任務を、人命救助とは異なると前置きした上で受諾した。
• スコット・トレーシー
  トレーシー兄弟の長男でサンダーバード１号のパイロット。
  現場にいち早く到着し、情報収集と現場指揮を行う。
• バージル・トレーシー
  トレーシー兄弟の次男でサンダーバード２号のパイロット。
  テレビ版では救助活動の最も危険な作業を担当していた。
  本作では２号でZERO-X号に随伴飛行、後半はZERO-X号の救助のため高高度でZERO-X号にぴったりつけて飛行を続けた。
• ジョン・トレーシー
  トレーシー兄弟の三男でサンダーバード５号のスペースモニター。
  普段は５号＝宇宙ステーションで、地球上の救助信号を監視している。
  本作ではZERO-X号の定時連絡を傍受し続け、地球への帰還で危機に陥ったZERO-X号の救難をいち早く察知した。
• ゴードン・トレーシー
  トレーシー兄弟の四男でサンダーバード４号の操縦士。
  終盤のZERO-X号救助では、アランが２号からZERO-X号に乗り込むためのワイヤー操作を担当した。
  なお本作では４号の出番はない。ラストシーンで姿が無いなど、やや不憫。
• アラン・トレーシー
  トレーシー兄弟の五男でサンダーバード３号のパイロット。
  前半の護衛任務では３号でZERO-X号に随伴飛行。後半はZERO-X号に乗り込み脱出装置の修理を行った。
  末っ子ゆえに子ども扱いされていることを不満に思っており、護衛任務後にペネロープとクラブに遊びに行ったスコットとバージルに嫉妬した。アランの葛藤シーンに割かれた時間が若干多めで、本作の準主役ともいえる。
• ミンミン
  トレーシー家の執事・キラノの娘。テレビ版ではブレインズの助手や救助活動の補助を行う。
  アランの彼女という設定があり、テレビ版では分かりやすくベタベタしていたが、本作ではイチャイチャ控えめ。
• ブレインズ
  メカニック担当。終盤のZERO-X号救助ではスコットに同伴し、配線修理の指揮を行った。
• ペネロープ
  イギリス支部のエージェント。ZERO-X号地球出発時の護衛任務にて、スパイのあぶり出しと始末を担当した。護衛任務後にスコットとバージルをクラブに誘った。

ZERO-X号

ZERO-X号に関しては別途記事があるので、そちらも参照。

• ポール・トレバーズ機長
  機長。終盤のZERO-X号墜落時は脱出ギリギリまで操縦室に残り、機体の高度を維持し続けた。
• グレッグ・マーティン大尉
• トニー・グラント博士
• レイ・ピアース博士
• ブラッド・ニューマン航空士

その他

• ザ・フッド
  テレビ版でもおなじみ、単独主義で変装が得意なスキンヘッドの悪党。
  テレビ版ではサンダーバード機の秘密を暴いて売りさばく目的で暗躍していたが、本作での行動原理は全く不明。ほとんど形だけの悪役と化している。ZERO-X号の出発を２度に渡り妨害しようとした。
• 火星生物
  岩肌をした一つ目の巨大な蛇のような生き物。火星の地上にとぐろを巻いて寝ている。
  火星探査チームが地表サンプルを採取しようと岩を攻撃したところ、それが岩ではなく火星生物の１体だった。攻撃されて目を覚ました火星生物は、仲間を呼んで探査チームに反撃した。口と思しき箇所から火の玉を吐いて攻撃する。
  本編では特に名前がないが、作品外だと原語では「Rock Snakes」（岩の蛇）、日本ではガンジャと呼ばれている。怪獣キャラと無縁な世界観のサンダーバードシリーズにあって、この火星生物が登場するシーンは非常に異世界感あふれるものとなっている（やや浮き気味とも）。
  （実は雑誌に掲載されたコミカライズ版サンダーバードに怪獣が２体も登場しているため、唯一の怪獣キャラというわけでもなかったりする。）

関連項目

• サンダーバード
• ZERO-X
• 特撮