特撮(とくさつ)とは、特殊撮影の略。また、それを多用した映像作品の分野のこと。
特撮の元来の意味は映画業界用語の「特殊撮影」であり、今日では略した形の「特撮」が主に用いられる。旧来はなかった略式であり、昔の映画のスタッフロールに「特技監督」の肩書きを持った人の名(故・円谷英二氏など)が見られる。
特撮の定義はそれぞれ個人の受け取り方で異なるが、通常の実写映像に専門的な技術・効果・装置などをふんだんに取り入れ派手な映像を作り出す事が特撮と呼ばれやすい。しかし、CGやアニメーションが実写映像に比べ主体となっているような作品は特撮と呼ばれない傾向にある。
通常の方法では撮影、再現が困難であるシーンあるいは映画や作品そのものの題材(端的に言えば戦争、巨大生物と人間との物語である怪獣映画)を、実写映像との合成や、ミニチュアセットを組んだ舞台に着ぐるみを纏った役者が上がって怪獣の演技をする技法が映画に用いられたのが、日本特撮の夜明けであった。戦争映画においては、戦時中の海軍省の国民向け戦争宣伝映画『ハワイ・マレー沖海戦』が特に高名であるが、彼の作品は第2次世界大戦の敗戦という我が国の重き歴史の中に、あまり良い例えとは言えないが影となってその名を残している。その後、我が国の戦争映画はひとつの確固たるテーマとなって数々の作品が生まれ、今日に至っている。
怪獣映画については、人形を用いた、ストップモーション(こま撮り)アニメの技法で製作された米国の『キングコング』がその始祖と言える作品だが、役者が中に入って演技する着ぐるみを用いる手法は本邦独自のものであり(こちらの方が役者に負担を強いる代わりに制作期間と費用を格段に少なく済ませられるのである)、その始まりは昭和29年公開の『ゴジラ』であった(この作品には併用して先述の技法も用いられているが、重点は着ぐるみ特撮に置かれている)。その後は映画会社や題材を問わず数多くの作品が作られ、今日ではスーツアクターという職業役者も生まれるほどの興隆を見せている。
時代が推移しテレビの普及と隆盛の時を迎え、ヒーローや怪獣、怪人の着ぐるみをスーツアクターが着用してアクションパートの演技を行い、通常パートで(ヒーロー、ヒロイン、仲間たちや敵役の)役者が演技をする場面と合わせて物語を構成する映像作品が生まれるに至り(代表作に『ウルトラマン』『仮面ライダー』など)、子供たちのみならず数多くのファンを育み、現在ニコニコ動画においても根強い人気を持つ「特撮」という総合的なジャンルが生まれた。
その反面、放送時間においては1980年代頃にプライムタイムからの撤退が相次ぎ、ネットワーク局においては「超人機メタルダー」以来、実に25年もの間途絶えている(なお、独立UHF局を含めると2013年に放送された「ファイヤーレオン」が約25年ぶりのプライムタイム枠放送の特撮番組に該当することとなる。)。
技術の進歩に伴い、最近では映画・テレビ作品共にCG(コンピューター・グラフィックス)を多用する時代が訪れている。実写合成とミニチュア特撮技術の併用(CGは全てをつなぐ事ができる技術である。円谷英二氏もCGが欲しかったのではないだろうか)などの、従来の特撮を超えうる映像が未来に生まれ行くことであろう。
テレビ作品では、子供向けヒーローもの作品でも、役者に若いイケメン俳優を起用し(児童でない)女性ファンの取り込みを図ったり、かつては意図的に避けられてきた難解な設定や群像劇を取り入れるなど様々な試みが見られる。実際に特撮作品から売れっ子役者が生まれたり(例として『仮面ライダークウガ』のオダギリジョーなど)まだ見ぬ高みを目指して日々進み続ける事が「特撮」であることを身を以って示している。
なお、最近の作品を好むファンと、それに否定的なファンとの間でしばしば論争が巻き起こるのはよく在る話だが、まこと、特撮ファンを自称する者ならば自分の在る場と空気を弁えて、公共のマナーを守り、不毛な争いなど起こさず特撮を楽しむ心が肝要である。戦うのはヒーローと敵役で十分なのである。自重すべし。
平成以降は少女向けの特撮作品も作られるようになった。いわゆる「特撮ヒロイン作品」である(スーパー戦隊シリーズの紅一点役、特撮ヒロインとは別)。代表作として東映不思議コメディーシリーズの魔法少女ちゅうかなぱいぱい!(1989年)などがある。そのうち同シリーズの美少女仮面ポワトリン(1990年)は魔法少女アニメの戦闘少女化のきっかけになった美少女戦士セーラームーン(1992年)のベースの一つとなった。また同シリーズの有言実行三姉妹シュシュトリアン(1993年)では複数ヒロイン設定が試みられ、2000年代以降実写版美少女戦士セーラームーン(2003年)が作られ、これにより「ガールズ特撮」が成立。かつて円谷プロダクションの制作指導や支援を受けた中国制作会社2社が戦闘魔法少女特撮作品シリーズを1本ずつ(2008年、2016年)制作したのを経て、2017年に本邦初の本格ガールズ特撮、ガールズ×戦士シリーズが登場した。それは戦闘少女アニメのプリキュアシリーズ(2004年)を参考にした純粋な少女向け作品である。
特撮作品に関する動画のタグとしてジャンルを問わず広く登録される事が多い。
そのカテゴリは本編、MAD、作業用BGM,歌ってみた、描いてみた、ネタバレ画像集等……多岐に渡る。
※ハリウッド映画の一部作品のメイキング集に「特撮」タグが書き込まれている事もあり。
本編もとにかく、その映像を用いたMADの存在すら許さないと言った、削除基準が厳しい権利者が多い為、頻繁に動画が削除される事が多いので動画投稿、視聴や検索の際には注意が必要である。
なお、現在円谷プロと東映が公式チャンネルを設けて配信を行っている。以前はニコニコチャンネルに特撮のカテゴリが存在しなかったのでアニメカテゴリに分類されていたが、2012年10月に特撮チャンネルが新設された。
掲示板
912 ななしのよっしん
2024/10/26(土) 17:49:21 ID: vEasVCq0qY
「親子で楽しんでます!」と言う輩を見る度に、特撮を心の拠り所として依存してた生涯独身であろう孤独な自分と比較してとても嫌な気分になる
本来子どものためのモノであろうけど
913 ななしのよっしん
2024/10/27(日) 16:37:31 ID: S0r0kKUNOC
914 ななしのよっしん
2024/11/16(土) 11:53:23 ID: Pmbc5JfnSV
「○○見たこともないくせに"特撮好き"を名乗るな」系の論調、まあまあ納得できる時もあるにはあるんだけど「それ言いだしたら際限がなくなるよな…?」って気分にもなる
「レッドマン全話見たこともないくせに名乗るな」とか「放射能X見たこともないくせに(ry」とか「ガンヘッド(ry」「超星神シリー(ry」みたくね…
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最終更新:2024/12/22(日) 23:00
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