タイヤゴム残存(MotoGP) 単語

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タイヤゴム残存(MotoGP)とは、MotoGPマシンが履いているタイヤゴムサーキット路面に残存することをいう。

以下の3つが知られている。

  1. ダンロップタイヤゴム残存(中量級のMoto2クラスや軽量級のMoto3クラスマシンが履いているダンロップタイヤタイヤが路面に残存すること。2000年代初頭から中量級と軽量級においてダンロップタイヤが独占に近い占有率を得ているので、そのときからずっと発生している現象
  2. ミシュランタイヤゴム残存MotoGPクラスマシンが履いているミシュランタイヤタイヤが路面に残存すること。ミシュランタイヤMotoGPに独占供給されている2016年以降の現象
  3. ブリヂストンタイヤゴム残存MotoGPクラスマシンが履いているブリヂストンタイヤタイヤが路面に残存すること。ブリヂストンタイヤMotoGPに独占供給されていた2009年2015年現象

本記事では、に1.と2.について解説する。
 

1.の概要

定義

MotoGPは排気量によって3つのクラスに分かれている。2016年以降において、使用するタイヤは次のようになっている。
 

メーカー タイヤの太さ 路面に残すタイヤの量
MotoGPクラス1000ccの重量級) ミシュラン 太い 多い
Moto2クラス765ccの中量級) ダンロップ やや太い やや多い
Moto3クラス250ccの軽量級) ダンロップ 細い 少ない

 
Moto2クラスMoto3クラスマシンが走り回った後の路面には、べったりとダンロップタイヤゴムが残存することになる。とくにMoto2クラスマシンが走った後の路面には、ダンロップタイヤゴムが多く残る。このことをダンロップタイヤゴム残存という。
 

土曜日や日曜日の日程

MotoGP土曜日午後以降の日程を表にすると、次のようになる。
 

土曜日 午後 Moto3クラス予選 合計30分
土曜日 午後 MotoGPクラスFP4 ※ 30分
土曜日 午後 MotoGPクラス予選 合計30分
土曜日 午後 Moto2クラス予選 合計30分

FP4は4番練習走行という意味。各チームがこの時間で予選や決勝に向けたマシン作りをする。

日曜日 午前 Moto3クラスWU ※ 20分
日曜日 午前 Moto2クラスWU ※ 20分
日曜日 午前 MotoGPクラスWU ※ 20分
日曜日 午前 Moto3クラス決勝 45分ほど
日曜日 午後 Moto2クラス決勝 45分ほど
日曜日 午前 MotoGPクラス決勝 45分ほど

※WUはウォームアップと読む。各チームが決勝に向けたマシンの最終調整を行う。
 

ダンロップのタイヤ痕のせいでMotoGPクラスのマシンが遅くなる

Moto2クラスの決勝で、ダンロップタイヤを履いたMoto2クラスマシンが路面にダンロップタイヤゴムを残していく。このダンロップタイヤゴムMotoGPクラスマシンの相性が非常に悪く、MotoGPクラスの走りに悪を与える。FP4で作り上げたMotoGPクラスマシンが、決勝で今ひとつ速く走らなくなる。

MotoGPクラスライダーが、土曜日の予選で速く走り、日曜日の決勝で遅く走り、日曜日の決勝の翌日に行われる月曜テストで速く走る、という現象がはっきりと観測されている(記事1exit記事2exit)。

ダンロップタイヤにより、グリップが落ちて速く走れなくなり、ライダーによってはブレーキングポイントを変える必要も出てくる(記事exit)。ただし、転倒を引き起こすほどのグリップ低下というわけではない。

なぜダンロップタイヤゴムが路面に付着しているとミシュランタイヤを履いたMotoGPクラスマシンが遅くなってしまうのか。その原因は全く不明である。

ミシュランタイヤ責任者であるピエロ・タラマッソexitが「Moto2クラスダンロップタイヤは、(ミシュランタイヤべて)硬いコンパウンドである可性がある」と語っている(記事exit)。ダンロップのゴムが硬く、ミシュランゴムが柔らかい、というのである。そのあたりに原因があるのかもしれないが、正確な原因は把握できていない。
 

ダンロップに罪はない

MotoGPクラスの関係者にとって、路面に付着したダンロップタイヤゴムは邪魔なものに感じられるので、「ダンロップのタイヤ々にとって頭の痛い問題だ」などという感じでニュースサイトに喋ることになる。

そのため、なにやらダンロップに問題があるかのようなイメージが増幅し、ダンロップの企業イメージに好ましくないを与えることになる。

実際のダンロップは、Moto2クラスMoto3クラスの独占タイヤメーカーとしてとても有能な働きをしている。タイヤの品質が良質で、トレッド剥離などの事故も起こしていない。ただ単に、MotoGPクラスマシンダンロップタイヤゴム相性が悪いだけである。
 

タイヤ痕が多くなるサーキット

路面がヤスリのようにギザギザしていてタイヤに対する攻撃性が高いサーキットや、暑いサーキットだと、Moto2クラスマシンが路面に残すタイヤの量が増えるので、MotoGPクラスの関係者にとって悩みが大きくなる(記事exit)。

ちなみに、一般的な傾向として、暑い地方サーキット路面はギザギザしており、寒い地方サーキット路面はツルツルしている。寒い地方サーキットは厳寒期に路面へが入って路面が割れることのないように路面のを細かくしてあり、そのため摩擦係数(ミュー)が低くてツルツルしている(青山博一さんの解説exit)。
 

1.についての発言集

2012年サンマリノGP アンドレア・ドヴィツィオーゾの発言

2012年Moto2クラスダンロップタイヤMotoGPクラスブリヂストンだった。

ブリヂストンタイヤにとってもダンロップタイヤゴム厄介なものだったようで、2012年9月に行われたサンマリノGPのあとに、アンドレア・ドヴィツィオーゾが次のように話していた。
 

マルコ・ルッキネリ:コースに問題があったと思いますか?多くのライダーが予選よりレースペースが遅くなっていました

アンドレア・ドヴィツィオーゾ:たぶんコースの問題だと思う セーフティコミッションでも議題になったんだ ほとんどのライダーがミサノではレースになるとペースが落ちることを疑問視してね もその理由を説明できなかったんだけど ひとつだけ信用できそうな推測があったんだ "ダンロップのタイヤレースまでに路面にり付くことでグリップが落ちるんだ"ってね 土曜までは普通グリップがあるのにレースになったらそれが全に消えるんだ ただ全員がそう言ってるわけでもなく問題ないライダーもいるんだけどね

-モトGP PRESS VOL.07exit_nicoichibaより引用-

 

2018年 不振のヤマハワークスからダンロップタイヤゴムの影響を指摘する声が相次ぐ

2018年ヤマハワークスは不振に喘いでいて、2017年6月25日の第8戦オランダGPで優勝した後、25連敗して、2018年10月28日の第17戦オーストラリアGPでやっと久々優勝する、という状況だった。

2018年8月12日の第11戦オーストリアGPでヤマハ勢が不振に終わった後、ヤマハが突如記者会見を開き、「ライダーに対して申し訳なく思う」という明を発したほどである(動画exit記事1exit記事2exit)。

そのさなかに、ヤマハワークスに所属するヴァレンティーノ・ロッシマーヴェリック・ヴィニャーレスダンロップタイヤゴムを口にしていた(記事1exit記事2exit)。

2018年5月には、ヤマハワークスに所属するラモン・フォルカダが、ダンロップタイヤゴム摘した。「日曜日の決勝レースMoto2クラス決勝の直後なので路面にミシュランタイヤのラバーが十分に乗っておらず、それによりヤマハは苦戦する。日曜日レースの翌日にテストが行われるときがあるが、そのときのヤマハは速い。日曜の最後に行われるMotoGPクラス決勝のあとでミシュランタイヤゴムが十分に残っているからだ」と語っている(記事exit)。
 

ライダーからポツポツと指摘される

ライダーたちも、ぽつりぽつりとダンロップタイヤゴムを口にする。

2020年フランスGPはF1と同日開催になったため、日曜の決勝がMoto3クラスMotoGPクラスMoto2クラスの順番になった。これについてマーヴェリック・ヴィニャーレスは歓迎の意を示していた(記事1exit記事2exit)。

ホルヘ・ロレンソは、ブリヂストン時代からダンロップタイヤゴムが存在していた、と語っている(記事exit)。

ジャック・ミラーは、「日曜日の決勝において、最初の5~6周のグリップが厳しい」と語っている(記事exit)。また、「日曜日決勝の最初は、ダンロップタイヤゴムのせいでグリップが悪い。ゆえに序盤はマッピングを弱いものにして、タイヤの温存に努める」と語っている(記事exit)。

ブラッド・ビンダーは「ダンロップタイヤゴムのせいでブレーキングポイントを変えなければならないほどだ」と語っている(記事exit)。

中上貴晶記事exit)、ポルエスパルガロ記事exit)、カル・クラッチロー記事exit)も、ダンロップタイヤゴムを認める発言をしている。
 

1.について考えられる対策

ダンロップタイヤゴムに対しては、いくつかの対策が考えられる。
 

Moto2クラスとMotoGPクラスのタイヤメーカーを同じにする

もっとも確実な対策は、Moto2クラスワンメイクタイヤを供給するメーカーMotoGPクラスワンメイクタイヤを供給するメーカーを同一のものにすることである。

ミシュランMoto2クラスMotoGPクラスを兼任するか、ダンロップがMoto2クラスMotoGPクラスを兼任するか、のどちらかである。

現実的にはこの解決策を採用するのは難しい。タイヤメーカードルナから金をもらわず、自で参戦している。

名物記者マット・オクスリーは、タイヤメーカーMotoGPクラスへ参戦するときの経費を1000ポンドから1500万ポンドと見積もっている(記事exit)。記事が書かれた当時のレートは1ポン150円程度なので、15億円~22億5千万円ということになる。

マット・オクスリーの推測が正しいとすると、「タイヤメーカーMoto2クラスへ参戦するときの経費」も、馬鹿にならないような大きな額であることを察することができる。

このため、タイヤメーカーに対して気軽に「Moto2クラスMotoGPクラスを兼任しませんか」と言い出せるものではない。
 

決勝の開催順をMoto3クラス~MotoGPクラス~Moto2クラスにする

手軽で実現しやすい対策は、日曜日の決勝の開催順をMoto3クラスMotoGPクラスMoto2クラスにするというものである。

Moto3クラスダンロップタイヤを履いているのだが、Moto2クラスほどはタイヤが太くなく、エンジンパワーも強くなく、路面に残すタイヤの量も多くない。

土曜日の日程と日曜日の日程を「Moto3クラスMotoGPクラスMoto2クラス」にえてしまえば、土曜日に作り上げたマシン日曜日にも完璧に通用するであろう。
 

予選の開催順をMoto2クラス~MotoGPクラス~Moto3クラスにする

もう1つの手軽で実現しやすい対策は、土曜日の予選の開催順をMoto2クラスMotoGPクラスMoto3クラスにするというものである。

土曜日の日程と日曜日の日程を「Moto2クラスMotoGPクラス」にえてしまう。

MotoGPクラスの各ライダー・各チームにとってMoto2クラスの後に走るのは嫌なのだが、「土曜日に作り上げたマシン日曜日にも同じように機する」ということだけは期待できる。
 

2018年9月 ヤマハワークスの提案

2018年9月ヤマハワークスを代表するリン・ジャーヴィスexitは、土曜日の日程を「Moto2クラスMotoGPクラスMoto3クラス」にするか、日曜日の日程を「Moto3クラスMotoGPクラスMoto2クラス」にするようにMotoGP運営へ提案するつもりだと発言した(記事1exit記事2exit)。
 

2.の概要

2016年以降のMotoGPクラスには、ミシュランタイヤを独占供給している。

MotoGPクラスマシンが走り回った後の路面には、べったりとミシュランタイヤゴムが残存することになる。このことをミシュランタイヤゴム残存という。
 

ミシュランのタイヤ痕のせいでMoto2クラスのマシンが速くなる

ダンロップタイヤを履いたMoto2クラスマシンにとって、路面のミシュランタイヤゴムタイムを向上させてくれる。

なぜミシュランタイヤがあるとダンロップを履いたMoto2クラスマシンが速く走れるようになるのかは、例によって、全く原因不明である。

土曜日において、MotoGPクラスライダーFP4と予選を走って路面にミシュランタイヤタイヤを大量に残した後、Moto2クラスの予選が行われる。

2018年までのMoto2クラス予選は、まだQ1・Q2の制度が導入されておらず、30人ほどのライダーが45分間走り続けてその45分の間に最も速いタイムを出したライダーポールポジションを得ていた。

2018年は、予選の開始の直後にミシュランタイヤの残存ゴムによって好タイムを出し、その好タイム更新できないまま予選が終わるということがあった。

ダンロップタイヤを履いたMoto2クラスマシンが走ることによって、ミシュランタイヤがどんどん削れて消えていく。予選の開始の直後にミシュランタイヤゴムの助けでかが最速タイム叩き出し、そのすぐ後には路面のミシュランタイヤゴム全に消えてしまう。

ニュースサイトでも「ミシュランタイヤによってMoto2クラス予選の最初のほうに好タイムが出る」という摘が相次いでいた(記事1exit記事2exit記事3exit記事4exit)。

G+のMoto2クラス解説者上田昇さんも2018年オーストラリアGP予選の残り41分頃に、「多くのMoto2クラス関係者から聞いたのだが、ミシュランタイヤの助けにより最初の数周だけではあるが速いラップタイムを刻むことができるようだ」と解説していた。

Moto2クラスの最初でポールポジションライダーが決まってしまう、というのは行的にもあまり望ましくない。このことは、2018年の最中に、MotoGP運営ドルナによって問題視された。
 

2019年からMoto2クラスにQ1・Q2の制度が導入された

MotoGP運営は、2019年からMoto2クラスにもQ1・Q2の予選方式を導入した(記事exit)。

この方式なら、「ミシュランタイヤの助けでポールポジションが決まる」という事態にはならず、Q1グループからQ2グループへ進出する事が可になるだけである。
 

3.の概要

2009年から2015年までのMotoGPクラスには、ブリヂストンタイヤを独占供給していた。

MotoGPクラスマシンが走り回った後の路面には、べったりとブリヂストンタイヤゴムが残存することになる。このことをブリヂストンタイヤゴム残存という。

ブリヂストンタイヤゴム残存は、2009年から2015年まで、全く話題にならなかった。
 

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