ダイオメド(Diomed)とは、1777年生まれのイギリスの競走馬である。
通算成績20戦11勝[11-5-3-1]
父Florizel、母Sister to Juno、母父Spectatorという血統。
父フロリゼルはニューマーケットで20戦12勝を挙げた、Herod産駒の中でHighflyerに次ぐ名馬。種牡馬としてもダイオメドの他にEager(1791年ダービー)、Tartar(1792年セントレジャー)、Ninety-Three(1793年セントレジャー)を送り出した。
母父スペクテイターはオルコックアラビアン系の馬でダイオメドの他にMiss Rose(1799年オークス)、Serjeant(1784年ダービー)などの血統に名が見られる。
ダイオメドはニューマーケットのリチャード・ヴァーノン氏が生産し、ジョッキークラブ会長でダービーステークス設立にも関わったチャールズ・バンベリー卿に購入された。
体高は15ハンド3インチ(約160cm)と中型の均整の取れた栗毛の馬だった。
主戦騎手のサミュエル・アルヌルは元は障害の騎手だったが要望されて平地の騎手に転向し、バンベリー卿またはダービー伯爵の主戦騎手として活躍した。温厚でストイックな人格者であったと言われている。
ダイオメドは4月17日にニューマーケットでの500ギニーという高額のスウィープステークスに出走し優勝した。
そして5月4日のエプソムでのダービーステークス、当時は1マイルで行われ50ギニーという前走の1/10の賞金のレースだったが、バンベリー卿はレースを盛り上げるために自慢のダイオメドをこのレースに送り出した。9頭立てで6:4(1.6倍)という1番人気に支持されたダイオメドはこのレースの初の勝者となった。
その後は当時の競馬の中心地であるニューマーケットに活動を戻し、7月の100ギニーのスウィープステークスに単走で優勝、10月のミーティングは4連勝をし、この年のレースを7戦7勝で終えた。
この時はEclipse以来の大物と噂されるようになっていた。
この年は4月のマッチレース相手の棄権によって勝利、30ギニーのステークスに優勝し、200ギニーの高額ステークス競走にも優勝し連勝を10に伸ばした。
この頃ノッティンガム競馬場でも新たなステークス競走が立ち上がることになり、ジョッキークラブ会長のバンベリー卿はこのレースを盛り上げるためにダイオメドを出走させることになったが、FortitudeというHerod産の馬相手に初敗北を喫した。また、10月のニューマーケットでのマッチレースでもBoudrooという馬に敗北しシーズンを終えた。
復帰後は以前の輝きは失われ、ニューマーケットでの競走では着外に敗れ、続く50ギニーの競走でも敗北した。
6月10日のキングスプレートでは168ポンド(約76.2kg)の斤量を背負わされて勝利したが、その後また勝利に見放され5連敗した後引退し種牡馬入りした。
通算20戦11勝。
種牡馬となったダイオメドは当初種付け料5ギニーという低評価となったが、産駒の一頭Grey Diomedはロシアで成功したとGSBには記されている。他にYoung Giantessはオークスとダービーを制したEleanorの母となり、Fannyはセントレジャー馬Fyldernerの母となった。
しかし直の産駒には大物が現れず、繁殖能力が落ちたこともあって種付け料は2ギニーまで落ち、1798年にバンベリー卿は50ギニーでダイオメドを売却、悪い言い方をすれば厄介払いとなった。同じころアメリカの要望でGSBの設立者としても知られるジェームズ・ウェザビーの仲介の元に「あまりお薦めはしない」と注意されながらもアメリカに送られることになった。21歳の老馬の運命はこれで終わったかに思われた。
しかし彼にはまだ続きがあった。
ダイオメドはアメリカでは第1回ダービー馬として珍しがられ、重宝された。
アメリカ競馬初期の名馬Sir Archyを出し、その直系子孫からアメリカ競馬史上最高の種牡馬とも言われるLexingtonを出した。Durocからもアメリカ競馬初期の名馬American Eclipseを出した。30歳に種付けした馬からはアメリカ競馬最初の名牝と言われるHaynie's Mariaを出した。
ダイオメドは1808年にボウリンググリーンで31歳の大往生を遂げた。アメリカでは国民的英雄の扱いを受け、その死は広く哀悼された。
| Florizel I 1768 鹿毛 |
Herod 1758 鹿毛 |
Tartar | (Croft's) Partner |
| Meliora | |||
| Cypron | Blaze | ||
| Salone | |||
| Cygnet Mare 1761 芦毛 |
Cygnet | Godolphin Arabian | |
| Godolphin Blossom | |||
| Young Cartouch Mare | Young Cartouch | ||
| Ebony | |||
| Sister to Juno 2007 鹿毛 FNo.6-b |
Specutator 1749 鹿毛 |
Crab | Alcock Arabian |
| Sister to Soreheels | |||
| Partner Mare | (Croft's) Partner | ||
| Bobby Lass | |||
| Horratia 1758 鹿毛 |
Blank | Godolphin Arabian | |
| Amorett | |||
| Sister one to Steady | Flying Childers | ||
| Miss Belvoir |
クロス: Crab 3×5(15.63%)、(Croft's) Partner 4×4(12.50%)、Godolphin Arabian 4×4(12.50%)、Flying Childers 4×5×5(12.50%)、Sister one to Micbury 5×5×5(9.38%)
Diomed 1777
|Young Giantess 1790 →Eleanor 1798
|Sir Archy 1805
||Timoleon 1814
|||Boston 1833
||||Lexington 1850
|||||Norfolk 1861
||||||*ブラドレー 1872
|Duroc 1806
||American Eclipse 1814
|Haynie's Maria 1808
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