フラワー長井線とは (フラワーナガイセンとは) [単語記事]

フラワー長井線とは、山形県南部の置賜地方にあるローカル線である。

概要

フラワー長井線は、山形県南陽市から川西町と長井市を経由して白鷹町に至る鉄道路線である。1988年 10月に旧JR長井線から転用された。2016年 12月より上下分離方式が採用され、運用は引き続き山形鉄道株式会社が行い、路線保有は沿線自治体が行うこととなった。2023年 4月に長井線全線開通100周年を迎えた。

春から秋にかけて長閑な田園風景の中を、冬は一面の雪景色の中を走る。沿線の住民の足として利用されており、とくに近隣の高校生の通学には欠かせない存在。

車両外装には春、夏、秋をイメージしたピンク、グリーン、オレンジの3色のラインが引かれている。また、2004年公開の映画『スウィングガールズ』のロケで使用されたことから、スウィングガールの絵が描かれた「スウィングガールズ列車」が運行された。沿線自治体に花の名所が多いため、名所や各自治体の花が描かれた色鮮やかな列車も運行されている。

2010年には宮内駅にうさぎの駅長「もっちぃ」が就任し、もっちぃたちのイラストが描かれた「もっちぃ列車」も運行された。ほかにうさぎの駅員として「ぴーたー」「てん」もいた。彼らはそれぞれ、2023年 6月、2016年 12月、2017年 4月に天国へと旅立った。

鉄道むすめとして「鮎貝りんご」がいる。山形鉄道駅務係。駅長のもっちぃが大好き。学生時代は吹奏楽部に所属しており、ジャズ演奏が得意。名前は鮎貝駅と梨郷（りんごう）駅が由来。

山形鉄道の本社は「長井駅」に所在する。2021年、長井市役所庁舎と一体化した駅舎としてリニューアルオープンした。鉄道の駅舎と市庁舎が一体となった例は国内初で、市民の利便性向上や街の活性化に期待がもたれている。

長井市にある「あやめ公園駅」は沿線にある山形県立長井工業高等学校の請願によって2002年に設置された駅で、駅舎待合室は同校の生徒、学校職員、PTAらによって制作された。清掃や冬季の除雪作業も同校の生徒によってなされている。

白鷹町の「四季の郷駅」と「荒砥駅」の間にある「最上川橋梁（荒砥鉄道橋）」は国内最古かつ現役の鉄道橋で、日本近代の貴重な土木建造物である。錬鉄製のダブルワーレントラス橋であり、一級河川である最上川に架かる。同様の橋がJR 左沢線にもあり、いずれも2008年に土木学会選奨土木遺産に選奨され、2009年には近代化産業遺産に認定された。

大正時代に設置された「西大塚駅」と「羽前成田駅」は、その木造の駅舎が国の登録有形文化財に登録された（西大塚駅はプラットホームも含む）。創建当時の建築様式が見られる貴重な文化財である。とくに、羽前成田駅が昔懐かしい駅舎の姿を取り戻したのは、地域住民の尽力によるものが大きい。

駅名	乗り換え路線	所在地	備考
赤湯駅あかゆ	山形新幹線奥羽本線（山形線）	南陽市	有人駅。山形鉄道は西口を管理。
南陽市役所駅なんようしやくしょ			1988年に新設。
宮内駅みやうち			有人駅。 1988年に宮内町駅から改称。
おりはた駅おりはた			1954年に西宮内駅として新設。 1988年に改称。
梨郷駅りんごう			1913～1914年の終着駅。
西大塚駅にしおおつか		東置賜郡川西町
今泉駅いまいずみ	米坂線	長井市	有人駅だが駅員はJR東日本社員。
時庭駅ときにわ
南長井駅みなみながい			1960年に新設。
長井駅ながい			有人駅。山形鉄道本社所在。 1914～1922年の終着駅。
あやめ公園駅あやめこうえん			2002年に新設。
羽前成田駅うぜんなりた
白兎駅しろうさぎ			1989年に新設。
蚕桑駅こぐわ		西置賜郡白鷹町
鮎貝駅あゆかい			1922～1923年の終着駅。
四季の郷駅しきのさと			2007年に新設。
荒砥駅あらと			有人駅。 1923年に全線開通し終着駅となる。