フロントエンジン・リアドライブ(後輪駆動)とは、車の駆動方式の一つである。通常はFRと略される。
車体前部にエンジンを置いて、シャフトを通して後輪を回す方式。
メリットとして、他の駆動形式に比べ構造が単純で大馬力に対応できる。また、操舵が前輪、駆動が後輪と役割が分離されているため操作性が素直である事が挙げられる。また、FFのように異常に前輪だけ早く摩耗してしまうようなことがない。
エンジンがフロント、トランスミッションが前よりの中央(トランスアクスルだと後ろより)、デファレンシャルギヤ&ドライブシャフトがリアと、主要な重量物が車体全体に分散しているため重量配分に優れ、ヨー慣性モーメントが大きいためヨーの発生が穏やか(ある意味欠点でもあるが)である。そのおかげで比較的簡単にオーバーステアをコントロールして車をスライドさせる事が出来るため、ドリフトしやすい。スポーツカーに多いのはこのため。
そのほかの利点としては、駆動系とエンジンが離れた位置にあるため整備性がよいこと、客席やラゲッジスペースはFFほどではないもののMRやRRよりは広く取れる場合が多いことも挙げられるだろう。
エンジンの搭載位置が前軸よりも後ろにあるFRをフロントミッドシップと呼ぶことがある。SA22C型RX-7が初めてこの呼称を用いた。エンジンが前軸より後ろにあればヨー慣性モーメントが低減されてコーナリングがシャープになる。要するにMR寄りの挙動になる。当然、フロントミッドシップの車は客席とラゲッジスペースが狭くなる。
FRの欠点としてはプロペラシャフトの分部品点数が多くなるので、重量が重くなって値段も高くなる事と、駆動輪(リア)の荷重が足りないため雨・雪・オフロードといった悪路に弱いことが挙げられる。
スポーツカーの場合は、ラフなアクセルワークで簡単にリアが空転してしまう事にも注意が必要である。
そのため現在では、各メーカーにて最先端の電子制御技術を用いられることが多い。(現在のスポーツカーには、本来のパワーを発揮できるように手元で電子制御のON/OFFスイッチがついている車種も多い)
かつて自動車が普及し始めたころは、フロントタイヤを駆動する技術がなかったために、大衆車(特にセダンタイプの車なんか)はほぼこの形式だった。ところが英国のminiに始まってVWゴルフ、アウディ80、ホンダシビックなど小型車からFF化の潮流が流れ込み、大衆車からFRは駆逐されていった。
ここからFRは全長の長くエンジンの重い高級車や、一部のスポーツカー向けの駆動方式として存続していくことになる。
日本国内においても80年代になるまで多くの車がFRを採用していた。しかしながら大半のFR車は80年代前半のうちにFF化の流れにのまれた。その背景があって、83年に新登場したAE86型カローラレビン・スプリンタートレノが若年のスポーツ志向の人々の注目を集めた。しかしながらそのカローラ系も次世代では全モデルFF化を果たす。
その後はマツダ・ユーノスロードスター(ロードスター)、日産・フェアレディZ、トヨタ・スープラといったスポーツカーやマツダ・ユーノスコスモ、トヨタ・ソアラなどのスペシャルティカーがFRを採用し続けたが、近年、そういった車はたいてい生産終了したり中止になってしまった。
しかし、2012年、久々にFRスポーツカーとして、86 / BRZ が発売開始となった。これにより、FR車が増えてくれればいいが…。日産・マツダは刺激を受けたのか、FRスポーツを開発中という噂がまことしやかにささやかれている。
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最終更新:2024/12/22(日) 15:00
最終更新:2024/12/22(日) 14:00
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