ベクレてる 単語

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ベクレテル

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ベクレてるとは、食品・物体などが放射能汚染されている状態を示すスラングである。レッテル蔑称の意味合いを持つ。
ここでは単位の「ベクレル」についても取り扱う。 

概要

福島第一原子力発電所原発事故により、食品中に含まれる放射性物質が注されることとなった。特に、100ミリシーベルト未満の低線量被曝では、健康被害があるかどうか科学的に結論付けてられていないことも相まって、できるだけ被曝量を減らすよう、注意が向けられてきた。

その中で、ヨウ素セシウムなど放射性物質が広く降下した東日本食品を、汚染量にかかわらず、ベクレルをもじって「ベクレてる」と揶揄する人達[1]が現れた。特に、1ベクレルでも許さない、いは放射線による健康被害を重く見る場合に使われる。

だが、量を考慮しないこと、また「ピカのが移る」に代表されるような偏見風評被害を生む危険があり、さらには放射線によるリスクを重視し過ぎるあまり、他のリスクを生む可性もある。

……どんなに立な人でも汚い言葉を使ってたりスラングを連発してたら、ちょっと引いちゃうよね。

ベクレルとは

ベクレてるの由来となったベクレル(Bq)だが、これは「放射性物質が放射線を出す力」を示す単位。放射性物質に含まれる原子核は、崩壊して放射線を出そうとする。このとき、1間に1個崩壊することを 1Bq と表す。崩壊すると、原子核は別の核種、つまり他の元素に変化し放射線を出さなくなる。放射性物質に含まれる原子核の半分が崩壊するまでの期間を「半減期」と呼ぶ。

2012年4月から、一般食品に含まれる放射性物質の基準値は1キロあたり100ベクレル(100Bq/Kg)となっている。

なお、100Bq/Kgは「放射性廃棄物クリアランス基準」でもあるが、これは原発を解体した際に出た金属コンクリートでも、100Bq/kgであれば十分小さい値であり、建材などに再利用してもよい、という基準であり、食品基準値とべるには理がある[2]。ちなみに、国会議事堂に使われている崗岩は約1,200Bq/Kg。

シーベルトとの違い

放射能関係の単位で、ベクレル以外によく聴くシーベルト(Sv)だが、こちらは「放射線生物に与える」を示す単位。

単位が2つもあって混乱しそうだが、ファーストガンダムで例えると次のようになる。

総統閣下「第一部隊ジム旧ザクの2機
第二部隊ガンダムドムの2機とするだろ

第一部隊と第二部隊戦闘したら、どっちが勝つんだよ!

モビルスーツは2機ずつだけど戦闘力は全然違うだろ?
当然、ガンダムドムが強い

モビルスーツの台数がベクレル
戦力の差を勘案したのがシーベルト

―― ベクレルとシーベルトの関係を解説しますexit_nicovideo削除済み)

なおガンダム以外で例えるなら、財布Aに100円硬貨が2枚、財布Bに500円硬貨が2枚、それぞれあった仮定してみる。財布AとBにそれぞれ入っている硬貨の枚数(量)は同じだが、合計金額(力)は異なる。大雑把に言えば、これがベクレルとシーベルトにそれぞれ該当する。つまり、同量のベクレルを持つ放射性物質でも、人体に与えるは違う、ということになる。

一方で、内部被曝も外部被曝も、人体が受けるシーベルトで表される。内部被曝は、体内に取り込んだ放射性物質のベクレルの値を、それぞれ物質ごとにシーベルトで換算される。換算方法はICRP(放射線防護委員会)によって定められている。ちょっとややこしいね。

だれでも「ベクレてる」? 食品や人体に含まれる放射性物質

上の基準値で取り上げられているのは、放射性セシウムストロンチウムなどの人工の放射性物質だが、崗岩の例のように、天然の放射性物質も論存在し、空気食品に含まれている。論、物質によって線量や半減期に差はあるが、人工も天然も、同じシーベルト量なら人体が受けるも同じである。

例えば、人体に必要なミネラルであるカリウム天然カリウムには放射性同位体であるカリウム40が微量に含まれており、カリウム1gあたり30.4Bqの放射能が含まれる。バナナには109Bq/kg、には33Bq/kg含まれている。

論人体も例外ではなく、60kgの成人男性であれば、体内に約4,000Bqのカリウム40を含んでいる。年間の内部被曝量に換算すれば0.17ミリシーベルト(0.17mSv/y)となる。ただ、カリウムは人体に一定量含まれるよう調整されているので、バナナを食べ過ぎたからといってガンにかかりやすくなる、ということはない。

体内に含まれる放射性物質は、カリウム40の他には炭素14、ルビジウム87、ポロニウム210210などがあり、それら全てを加えると、60kgの成人男性あたり約7,000Bqの放射能が含まれる。

自然放射線による被曝

人工放射性物質(レントゲン写真を撮るときの被曝など)を除き、日本人が1年間に自然放射線からうける被曝量の均は2.1ミリシーベルト(2.1mSv/y)[3]と言われている。また世界均は2.4mSv/y。日本均の内訳は以下のとおり。

論これらは均値なので、建物や地域によっては多かったり少なかったりする。日本でも、関東ローム層に覆われた関東地方よりも、崗岩の多い関西地方の方が大地から受ける放射線量が高いとされているし、ラドン温泉地などで多く発生[4]している。だから、この2.1mSv/yは安として考えよう。これより少しでも上だから危険、少しでも下だから安全とは必ずしも言えないけれども、住む場所によってはだいたい12mSv/yのばら付きがある。

放射線により細胞の中の遺伝子が傷つけられることでがん細胞は発生するが、日々これらの放射線を浴びてもすぐにがんにならないのは、その修復機が人体には備わっているため。またがん細胞が発生しても、ナチュラルキラー細胞リンパ球によって攻撃されている。

ただし、これらの防御機は体調によって左右される。震災直後、「ニコニコ笑っている人に放射能はきません」と発言し物議をかもした教授さんがいるけど、「放射能を過度に心配してストレスをためる方が体に良くない」と言いたかったのであれば、そういう意味では正しいといえる。

ICRP勧告とは

(ここではICRPが出している勧告について、その考え方をざっくりと(本当にざっくりと)書く。だから、少しでも疑問があれば下の関連リンクからもっと詳しくて正確な情報を読んで欲しいし、間違っていれば摘してもらえると助かる。)

概要にも書いたとおり、自然以外からの生涯100mSv未満での低線量被曝において、科学的に健康被害があるかどうかは結論付けられていない。そこで、ICRPは「勧告」で、いくつかの考え方を示している。その中でも重要なのが以下の2つだ。

  • 100mSv未満でも、100mSv以上の時と同じように健康被害リスクがあると考える(線形しきい値なし仮説
  • 自然被曝と医療被曝以外から受ける被曝量は、「合理的に達成できる範囲で、できるだけ低くする」(ALARA原則[5]

100mSvの低線量被曝で0.5%ガン死亡率上昇[6]リスクがあるという考えは、1000mSv(=1Sv)で5%のガン死亡率上昇のリスク、という考えから来ていて、このリスクは(自然以外からの)被曝量に例していると考えられている。これを100mSv未満でもがあると考えられたのが線形しきい値なし仮説で、たとえ僅かな被曝であってもがある、という考えだ。

かしこれでは、飛行機にも乗れなければレントゲンを受けることさえできない。そこで重要なのがもう一つの考えになる。ICRPは、自然被曝と医療被曝以外から受ける被曝量を、以下のとおりにすべきだとしている。

  • 常時の場合、年間1mSv以内
  • 現存被曝状況の場合、年間120mSv以内
  • 緊急時被曝状況の場合、年間20100mSv以内

現在日本は現存被曝状況、つまり低線量の被曝は受けつつも日常生活を行っている、といえる。被曝量はできるだけ抑えるべきだけど、仮に1mSv/yをえる地域の住人は他の地域に移住しなければならない場合、1mSv/yから受けるデメリットと移住のデメリットべてみて、移住のデメリットが大きければ移住の基準を20mSv/y以内で調整する、といった考え方だ。

日本政府もこの考え方に沿っていて、例えば、食品の基準値は「食品からの年間被曝量を1mSv以下に抑える」ように設定されているし、現在避難指示が出されている地域を、個人線量での年間被曝量が20mSv以下、長期的には1mSv/y以下を標に数十年かけて対策することを条件に、解除・帰還の支援を行う[7]としている。

安全かそうでないかの線引は、当事者である住民と自治体の間で議論し、納得の行く結論が付けられなければならない。論、被曝量は少ないに越したことはないし、個人だけでなく全体が一丸となって取り組む必要があるのは確かだ。

けれども、リスクデメリットとどう向き合いどう判断するか。それは個人個人に委ねられている。それを他人に押し付けてはいけないし、任せっきりにしてもいけない。この考えを尊重していくことは、これから数十年続く放射能との付き合いの中で、重要になっていくはずだ。

「ベクレてる」と決めつける前に

どの食品を食べ、どうやって健康管理をするか。その判断は消費者の個々人に委ねられている。論、内部被曝を避けようとするのは当然だし、納得したなら食べて応援も大いに結構。

だが、その判断は正しい知識と情報によって下されるべきである。間違った知識を広めたり、出本不明の情報に踊らされるのは、消費者・生産者双方に不利益しか産まない。

過度に怖がることも過小に見積もることも、同じくらい危ないことなのだ。

ではどうやって判断すればいいだろう? 例えば玄米の全袋検を行っている福島県は、その結果をweb上で公開exitしている。個体識別番号を辿れば、自分が買った玄米[8]の産地や放射線量を知ることも可だ。 こうした自治体の他、企業やーパーマーケットなどで自主行い、webで公開いる場合もある。これらも指標のとつとなるはずだ。

放射能恐怖に怯え将来を憂うだけでなく、基準値はどうやって決められたのか、どれくらいまでなら過度に心配せずに済むか、検はどうやって行われているか、気の済むまで調べてみるのもいいだろう。

そうして納得し、または折り合いを付けることが、自分や家族の身を守ることにつながるはずだ。

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関連項目(参考ページ)

脚注

  1. *「ベクれてる」が日常会話になっている人たち - Togetterexit
  2. *あんまり間違った情報を広めないでほしい - Togetterexit
  3. *やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識exit2013年1月17日版)58ページより
  4. *日本全国ラジウム温泉ラドン温泉一覧表 効能 日本四大ラジウム温泉exit
  5. *"As Low As Reasonably Achievable"の頭文字から
  6. *ガン発生率上昇、ではない
  7. *被曝基準を実質緩和 住民帰還へ「個人の線量」に  :日本経済新聞exit
  8. *ここで測られているのは玄米であり、に精されるとセシウム濃度は4割程度になるとも言われている。参考:玄米、白米、炊飯米の放射性セシウム濃度の解析exit
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掲示板

  • 38 ななしのよっしん

    2023/08/29(火) 11:10:05 ID: ceO2md7JNq

    山本太郎の言及が本文にないのは何なの?

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    2
    👎
    0
  • 39 ななしのよっしん

    2023/08/29(火) 12:14:14 ID: fDFb4xSim4

    >>38
    意図的に名前を出していません。
    あの議員がこの言葉を広めたのは事実ですが、氏が創出した言葉ではありません。
    当記事はこの言葉を遣う層を批判するのではなく、ベクレルとは何か、どう使われているのか、を解説することを的にしています。
    あわせて、当時あの議員がしていた「食品の安全基準値は低レベル放射性廃棄物と同等」がなぜ適切でないのか、についての解説でもあります。
    あえて抽的にして名前を出さないことで、この言葉を単にあの議員に紐づけるだけにするのではなく、低線量被ばくへの向き合い方や、イデオロギーや党えた気持ちを伝えられればな、というのが狙いです。

    > ……どんなに立な人でも汚い言葉を使ってたりスラングを連発してたら、ちょっと引いちゃうよね。

    とはそういう意味が込められています。

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  • 40 ななしのよっしん

    2024/02/29(木) 22:24:14 ID: BSwPzu49Ox

    あの人が考えた言葉じゃなかったのか
    初めて知った

    (立な人なのだろうか…?)

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