レウコクロリディウム(Leucochloridium)とは、グロさに定評のある寄生虫である。
英語読みでロイコクロリディウムとよばれることも多い。
また、本記事では病人の活躍によりレウ子の愛称を用いることがある。
ニコニコ大百科:動物 レウコクロリディウム |
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分類? | 有襞吸虫目レウコクロリディウム科レウコクロリディウム属 | |
学名? | Leucochloridium paradoxum Leucochloridium→白+緑 paradoxum→奇妙な |
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このテンプレートについて |
この寄生虫は特殊な生態を持ち、寄生された側の悲惨な変貌が話題になるほか、寄生者が宿主の脳神経を支配して奇妙な行動を取らせる例としてよく知られている。詳しくは後述。
百聞は一見に如かずなので、初めての人はまず動画をご覧いただきたい。
タイトル通り並々ならぬキモさを持つため閲覧注意。
サムネの緑色のイモムシがLeucochloridium。既にこの時点でサムネバイバイである。
それでは、ここからはLeucochloridiumの驚くべき生態について詳しく見ていこう。
中間宿主→オカモノアラガイを初めとする、オカモノアラガイ科のSuccinea属およびOxyloma属の陸棲巻貝。本記事では便宜上カタツムリと呼称する。
終宿主→カラス・スズメ・ツグミなどの小鳥。本記事では便宜上鳥と呼称する。
日本でも北海道や沖縄県で発見されているらしい。ヒトに寄生したという報告はないのでご安心を。
※以前、「特命リサーチ200X」で、カタツムリを食べるとヒトに寄生して脳を侵す恐ろしい寄生虫の特集があったようで、それがLeucochloridiumだと思われているケースがあるが、「広東住血線虫」という別の寄生虫である。
この寄生虫は寄生している鳥の糞便に卵を産みつける。そして道端や森林に排出された鳥の糞便をカタツムリが摂食する事で卵がカタツムリ体内に侵入する。
体内でミランジウムを経てスポロシスト(「生活環」の項を参照)を形成したLeucochloridiumはカタツムリの体内で大きく膨らみ、"broodsac"とよばれる特殊な袋状の構造に成長する。"broodsac"には色のついた斑点と隆起した環状の縞模様があり、この縞はサムネのように非常に派手な見た目をしている。
"broodsac"の内部では多数の幼生が成長・増殖している。時が満ちると"broodsac"はまるで一本のイモムシのごとくカタツムリの触角部分に移動する。この時点で触角は巨大に膨らんで異様な風貌を呈する。
そしてここからがこの寄生虫の妙なる部分である。"broodsac"表面のカラフルな縞模様が派手に脈動するのである。このため、カタツムリの触角はまるでイモムシが葉の上を這っているように見える。鳥は普段はカタツムリを積極的に食べることはないが、"broodsac"が鳥の好物であるイモムシに「擬態」していることにより鳥の目を惹きつけるのである。
カタツムリは普段日なたを嫌い湿気と陰気の強い葉の陰などに隠れているが、Leucochloridiumに寄生されるとわざわざ鳥の目につきやすい昼間の日なたに出てくる。このため、この寄生虫は自殺を促しているともいわれるのである。神経系を支配して自殺や飢餓を促す寄生虫は、他にはカマキリに寄生するハリガネムシやハチに寄生するネジレバネがよく知られている。ところが、寄生されたカタツムリは養分を横取りされることなく、寄生されていないものよりも長生きするのだという。
鳥につつかれた"broodsac"はその体内ではじけ、無数の幼虫で鳥を満たす。感染した鳥の目は緑色に染まり、やがてカタツムリ同様伸び始める…ようなことはないが、鳥の体内で成長し、直腸で卵を産んで一生を終える。
「擬態」というと、ナナフシのように、敵の目を逃れるために周囲の環境に溶け込んだり(隠蔽擬態)、あるいはハナカマキリのように、敵の目を欺くためにそれを行う(攻撃擬態)などの例が思い浮かぶが、まさか「食べられるための擬態」があるとは前代未聞のことであり、生態学的にも興味深い行動だといえる。似たような行動としては、同じく寄生虫のアジギアの幼虫がボウフラに擬態することで積極的に食べられようとする例がある。
しかし、鳥の腸の中に入り込もうとする、ただそれだけのためにカタツムリを操るというあまりにもヘンテコな生態を持つ生物は他に例がない。コバンザメもびっくりだ。
特殊なのは、普通この類の吸虫は「セルカリア幼生」と「成体」の間で2番目の宿主(第2中間宿主)に移動するのに対して、レウコクロリディウムの場合はカタツムリが唯一の中間宿主であるという点である。
鳥(終宿主) | (外界) | カタツムリ(中間宿主) | |
虫卵は糞の中に排出される。 | → | ||
待機中… |
カタツムリ体内で孵化、成長開始。 |
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待機中… | |||
待機中… | |||
鳥が無数のレウ子ごと触角を捕食。この際に少数が鳥に感染する。 | ← | ||
鳥の体内で、粘質の袋に包まれてじっと耐える。 | 待機中… | ||
成体 Adult |
待機中… | ||
待機中… |
実は、鳥は肥大した触角部分のみを食べるので、カタツムリは生き残る。触角は程なく再生するが、すると体内に残ったLeucochloridiumがここに移動するのである。まさに無限ループ。
漫画「黒鷺死体宅配便」ではヒトに寄生するLeucochloridiumが登場する。篠田節子の小説「夏の災厄」ではレウコクロリディウムと同様の生態を持つウイルスが登場する。
また、ゲーム「バイオハザード4」に登場する寄生生物「プラーガ」とは宿主を操るという共通点があり、作中のメモではそれに対抗するためのヒントとなりうる寄生虫の一つとしてLeucochloridiumが紹介されている。
掲示板
172 ななしのよっしん
2022/10/15(土) 11:34:16 ID: VM+yBBZrZE
自己補足、wikipediaにしっかり書いてあったわ
>ブルードサックは1つの寄生虫ではなく、動かない粒状のセルカリア(幼虫)を多数内包した筋肉の袋にしか過ぎない
>袋であるブルードサックは激しく脈動するが、その運動方法や制御方法はまだ分かっていない。
という事なので現在の研究では袋が動くで間違いない模様
173 ななしのよっしん
2023/01/09(月) 10:49:38 ID: DezediomAd
イモムシ的なものではないと知った時の衝撃よ
174 ななしのよっしん
2023/01/09(月) 13:01:20 ID: SlylOKHf21
>>171
見てみたけど、確かに動く特性は袋のものみたいだね。栄養はカタツムリからくすねてるクサイけど。って事は>>154は間違いだったみたいで申し訳ない。
後の行動とかは、そういった事実があるかも含めてまだ不明みたいだね。
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最終更新:2024/12/19(木) 09:00
最終更新:2024/12/19(木) 09:00
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