代行企画

株式会社代行企画とは、広告代理業を主としていた企業。2009年「宣伝くん」なるサービスにおいて、Wikipediaの広告利用を業務としていたことで物議を醸した。2012年に商号を「ギャラクシークラスター株式会社」に変更している。

概要

Wikipediaは、フリーのインターネット百科事典として、特定のフリーなライセンスに則り誰でも編集することが出来る。このため厳粛なルールが定められており、例えば取り扱う事柄が社会的に一定の地位を有するかという「特筆性」の証明がなかったり、宣伝目的が露骨な記事などは削除やアカウントブロックの対象となりうるのである。

逆に言えば、たとえ記事立項の動機に宣伝目的があったとしても、記事自体が徹頭徹尾ルールに則ったものであれば問題なかったのだが、特筆性の有無を基準とせず、無差別に受託した企業や個人を対象とした記事を次々と作成すれば問題となるのは必然であった。

そうした背景下のなか、2009年10月末より、「株式会社代行企画」という会社が10月の末から宣伝的記事を立て続けていることが熱心なウィキペディアンの調査により発覚。2009年11月5日、Wikipediaの井戸端会議ページに話題が提示され、多くのウィキペディアンが知ることとなった。

宣伝を目的とするユーザーや組織団体は以前から存在していたかもしれないがあまり大事とはなっておらず、あるいはそのような会社があったとしても表沙汰になることはなかった。それが上場企業により組織立って規約違反行為が行われていたことで、大きな問題として扱われた。WebメディアのGIGAZINEも本件を取り扱うニュース記事を発出した。

当時の企業概要

以下は、本問題が起きた時期の企業およびサービスの概要である。

その後の状況とは異なる過去の内容が含まれる点に注意されたい。

• 膨大な情報量を抱え、ググれば関連項目がトップに表示されるほどになったWikipedia。これを使い、顧客の会社を検索サイトで上位にヒットさせる宣伝手法を使う。
• 依頼費用は28,000円。即時削除^[1]された場合は半額返金で、依頼して宣伝効果がなかった場合でも14,000円は取られる。Wikipediaで即時削除でない削除が行われる場合、１週間の猶予時間がある。よって、即時削除でない削除の場合でも、14,000円を支払う必要があると推測される。
• 内容が書き換えられた場合には即座に差し戻す、とQ&Aに記載し、「編集合戦」を示唆。
• ボランティア達が時間を惜しまずに考えを出し合って作ったWikipediaのルールを根底から破壊する行為を行うとして、ウィキペディアンからは悪質企業の烙印を押されつつある。
• 本業は同窓会などのイベント企画運営の代行らしい。Wikipediaでも自分の会社の宣伝を忘れておらず、「同窓会」の項目に幾度となく編集を加えている。
• 代表取締役は小倉優（おぐら　ゆたか）氏。オフィスの住所は東京都渋谷区初台1-51-1初台センタービル3F。資本金は5,000,000円。

動向

代行企画による代行サービス名は「宣伝くん」という、わかりやすい名前であった。

そのサイトのＱ＆Ａに、次のようにあった。

ウィキペディアの性質上、御社様のページに第三者からの謝った内容などの書き込みがある場合がございます。その際宣伝くんが無料で修正致しますのでご安心ください。

誤字である。

さらにＱ＆Ａにはこうも書かれている。

Ｑ５．出来れば宣伝くんで代行してもらった事は内緒にしたいんだけど。
Ａ５．もちろん御社様のご都合に合わせたスタイルで守秘義務を守ります。

しかし、ウィキペディアンらの調査により「山一屋（個人企業のネット通販会社）」「オネスティ（個人経営風の雑貨店）」「汎企画（映像製作等）」「山田広野（汎企画所属の活弁士）」などが代行企画によって宣伝されていた可能性があることが明らかになっていた。バレバレである。

さらに、記事を削除されると、関係のない利用者の会話ページに

なぜ？

兼久公雄！を削除するのですか？ こちらはwikipediaに寄付もしていますしあなた方に邪魔されるいわれはありません。

と恩着せがましい文句を書き込む始末。その利用者がページ削除と関係なかった旨の返事をすると、

そうかもしれないがお前らよりはえらい。お前らに権限中なんかなんもないよ。

と誤字を交えての逆ギレ。

さらに、間違ってなのかワザとなのか、アンサイクロペディアに「代行企画」の記事を作成。案の定即時削除された後、「まさにWeb2.0新時代の画期的にして斬新な代行業、企画業を実現した企業である。」「実在する人物・事件・団体とは一切関係ありません」とネタにされるのであった。

本記事に対する削除要請について

未来検索ブラジル（大百科運営）に株式会社代行企画から内容証明郵便が届いた。内容はこの記事の削除を要請する通知書である。

これを受け、グニャラくんは2009年11月30日、この記事の「詐欺」「バカ」といった名誉毀損又は侮辱に該当しうる表現を削除し、当該部分を含む過去リビジョンを閲覧禁止とした。

なお、この通知書にも、

「ニコニコ大百科」（ＵＲＬ：ｈｔｔｐ：／／ｄtp://ｄｉｃ．ｎｉｃｏｖｉｄｅｏ．ｊｐ／。以下「本件サイト」といいます）

と、間違いが含まれていた。

結末

Wikipediaの方針に反することなどから、大部分のウィキペディアンはこの会社に対して否定的であった。

井戸端での議論のほか「コメント依頼」において情報がまとめられ、対応が進められた。

複数のIPユーザーの関与のほか、「ソックパペット」と呼ばれ禁止されている複数アカウントでの編集も確認されている。

関与の疑われた記事は全て削除され、不適切な編集や議論の撹乱のみられたアカウント、また複数アカウントの使用のみられた全てのアカウントに「無期限ローカルブロック」処分が行われた。

2010年3月以降、新たな報告は行われていない。サイトも閉鎖され、2012年には社名も変更されており、Wikipediaを用いた業務からは足を洗ったものとみられる。

関連リンク

• 生きる日記（代行企画社長小倉優氏のブログ）
• アンサイクロペディア「代行企画」
• Wikipedia:コメント依頼/受託宣伝記事
• 「代行企画」の記事について - ニコニコ大百科開発日記

脚注

1. *Wikipediaには、内容に乏しい・発展の見込みが無い・あからさまに宣伝目的で立てられた記事はすぐに削除されるルールがある。