『平浦ファミリズム』は第11回小学館ライトノベル大賞で最高賞であるガガガ大賞を受賞した。2017年7月19日にガガガ文庫より発売され、イラストはさかもと侑が担当した。2020年6月19日現在、直近6年間で唯一のガガガ大賞受賞作である。
第11回小学館ライトノベル大賞のゲスト審査員だった広江礼威からは、「多様性を尊重し個々の視点をとても大事にしているのが見て取れます[1]」と評されており、その通り登場人物には引き籠り、トランスジェンダー、コミュ障、外国人、優等生、家出少女、アニメオタクなど、様々な境遇の登場人物が登場する。また、タイトルの「ファミリズム」という言葉の通り、家族との信頼関係、他人との信頼関係がテーマとなっている作品である。
各章の章題は、有名な哲学者の著書の題名や言葉が元となっている。
章題 | 元ネタ |
家族のすゝめ | 福沢諭吉の著書『学問のすゝめ』 |
自国民の富 | アダム・スミスの著書『諸国民の富』 |
不自由からの逃走 | エーリッヒ・フロムの著書『自由からの逃走』 |
万有プラグマティズム | アイザック・ニュートンの唱えた万有引力と、C.S.パースらが創始した哲学思想のプラグマティズム |
シゼンガ苦 | アリストテレスの著書『自然学』、または哲学思想の自然哲学 |
全体性と、無限の | エマニュエル・レヴィナスの著書『全体性と無限』 |
実存主義はファミリズムである | ジャン=ポール・サルトルの講演「実存主義はヒューマニズムである」 |
母親の死から五年が経ち、その悲しみを乗り越えた平浦家。高校2年生の一慶は、トランスジェンダーの姉、引き籠りの妹、コミュ障でフリーターの父と共に平和な日常を過ごしていた。
とある事情による他人への不信。高校にまともに通わず、家でアプリ開発をして過ごす日々。一慶はそんな日々が変わらなくても良いと思っていたが、事態は徐々に変化していき…。
本作の主人公。平浦家の長男。高2。母親譲りのプログラムの才能で、アプリやWebサイトを作り収入を得ている。勉強も運動も何でもこなせるが、当人は興味がない。諸事情により、家族以外の他人を信頼していない。
平浦家の長女。20歳。腕っ節の強さには定評がある。トランスジェンダーであり、そのため周りの人間との間にいざこざがあった。現在はキャバクラで働いている。
平浦家の次女。11歳。他人と話せない体質により、幼いころから引き籠っている。アニメオタク。引き籠っている間ずっと絵を描いていたため、絵を描くのが上手い。
平浦家の父。45歳。コミュ障で不器用なフリーター。仕事を転々とし、現在は知人の経営している会計事務所でバイトしている。
平浦家の母。五年前に他界した。享年37。プログラミング技術を生かしてベンチャー企業ミリオンタイムズを起業し、その社長だった。
千条真理香(せんじょうまりか)
一慶のクラスメイト。学年1位で完璧主義者の優等生。真面目に高校生活を送らない一慶に対して、事あるごとに突っかかってくる。
楊浩轩(ヤンシュエン)
一慶のクラスメイト。中国生まれアメリカ育ち。他人と関わらない一慶に学校で唯一好意的に話しかけてくる。アニメオタク。
一慶のクラスの担任。体育教師でソフトボール部顧問。高校に碌に来ない一慶を気にかけている。
ひとみが大学時代に所属していた野球サークルの後輩であり、ミリオンタイムズ社の元社員。現在はバッティングセンターを経営。
その他多数登場
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最終更新:2024/04/25(木) 15:00
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