漢級潜水艦とは (ハンキュウセンスイカンとは) [単語記事]

概要　

　漢級潜水艦とは、中国人民解放軍海軍の攻撃型原子力潜水艦である。また同国初の原子力潜水艦でもある。ちなみに漢級とはNATO コードネームであるが、本来はアルファベットであるので、漢字はあくまで推測である。正式名称は091型および091G 型。

　また、2004年には石垣島沖で領海侵犯事件を起こしている。

　中国の原子力潜水艦研究は1958年から始まったが、その道程は順調なものではなかった。これは前述したように本級が同国初の原子力潜水艦であり、かつ外国の援助がなかったことが大きい。また資料からの直接的な確認はできないが、同時期に起こった大躍進政策や文化大革命が悪影響を及ぼしたことも考えられる。

　結局、一番艦が就役したのは1974年のことだった。しかも、これとて原子炉や戦闘システムに問題があり、1980年代半ばまでは実質的な就役状態になかったという。

　上記の問題が改善されるきっかけはフランスによる技術支援であった。フランスは原子炉、ソナーなどの技術を中国に提供した。

　また、091型のうち3番艦以降は、それ以前と船体の長さが違うことから、091G 型と呼ばれることもある。091G 型は就役後、複数回に渡り近代化改修を行っている。静粛性の向上やバウソナーの換装などがその具体的な内容としてあげられる。しかし、それでも騒音レベルはかなり高いと見られている。

　例えば、アメリカ海軍情報局(ONI)が20009年に出した報告書ではソ連、ロシアのヴィクター3型原潜及びデルタ3型原潜よりはるかに静粛性に劣ると評価されている。(同資料22ページ)ちなみに本級は、それら二つの原潜と就役時期が大差ない。

　さらに船体装備のアクティブ及びパッシブソナーしか探索装備がないので、探索能力は低いと考えられている。

　また、上述した2004年の際に中国側は故障が原因であると説明している。仮にこれが真実であるとするならば、(当時から14年が経過していることは考慮しなければならないが)091型の信頼性及び同級に対する中国海軍の運用能力には疑問符がつく。

　以上のように、本級の評価は芳しいものとは言えない。本級に敢えて肯定的な評価を与えるならば、中国海軍にとって原潜建造とその運用のノウハウを構築するきっかけを与えたということだろう。

　また2006年になると後継の093型原潜が就役した。さらに2017年末には093型の後継である095型原潜も就役を開始した。（新浪军事の記事を参照）既に091型の就役年数は30年前後になっており(2018年現在)、これから徐々に退役が進んでいくことが考えられる。

排水量	4572 トン(水上)　5639トン(水中)
全長	96メートル(3番艦まで)101 メートル(4,5番艦)
幅	10メートル
吃水	7.4メートル
主機	原子力ターボ・エレクトリック(原子炉)
出力	12000馬力
速力	12ノット(水上)25ノット(水中)
潜行深度	300 メートル
兵装	533m魚雷発射管6門(魚雷及び対艦ミサイル計20本または機雷36個)
乗員	75名