糸谷哲郎(いとだに てつろう)とは、将棋棋士である。1988年10月5日生まれ。広島県出身。森信雄七段門下。棋士番号260。
愛称は“ダニー”。関西所属の有力若手棋士、稲葉陽・豊島将之・村田顕弘と並ぶ“関西若手四天王”の一角と称される。
10歳で奨励会入会を果たし、2006年度には奨励会三段として第37回新人王戦に出場。勝ち進む途中で三段リーグ抜けも果たし(同時昇段は中村太地)、そのまま新人王戦も優勝。デビュー戦ではハッシーこと橋本崇載を破り、「強すぎる、怪物だ!」とハッシーに言わしめるなど鮮烈なデビューシーズンを飾る。
プロ入りから一年後の2007年には大阪大学文学部に合格。現役のプロ棋士が日本の国立大学に合格・進学したのは初である(ちなみに、国立大学入学後にプロ入りというケースは西尾明・片上大輔などの例があり、プロ棋士が国立大学大学院に進学したケースは飯田弘之(東京農工大学大学院博士課程修了)の例がある)。
阪大では将棋部に所属、卒業後は阪大大学院文学研究科に進学。2014年現在は休学しているがハイデガー研究などの哲学を専攻する異色の経歴を選択している。
第59回、第60回のNHK杯では決勝まで勝ち進むも、どちらも決勝戦で羽生善治に破れ準優勝に終わる。なお、第60回NHK杯戦の準決勝では丸山忠久と対戦し、NHK杯戦本戦の最短手数記録である39手で勝利している。
2014年、第27期竜王戦にて3組優勝を果たし、決勝トーナメントでは三浦弘行、屋敷伸之、行方尚史に勝利して挑戦者決定戦に進み、挑戦者決定戦では羽生善治に2-1で勝ち森内俊之竜王への挑戦権を獲得した。初のタイトル戦番勝負は色々な意味で糸谷の個性溢れるものとなったが、4勝1敗で森内を破って見事竜王位を獲得。広瀬章人以来、久々の20代のタイトル保持者誕生となった。竜王獲得により八段に昇段。
しかし翌年12月3日、渡辺明の挑戦を受け、1-4で竜王位を失冠した。同年度の順位戦ではB級1組への昇級を決める。
居飛車党で角換わりを特に得意とし、攻めも受けも力強い。たまに振り飛車も指す。
特に早指しで有名。加藤一二三によると、棋界の歴史上、早指しで有名な花村元司などの棋士たちよりも群を抜いて早いらしい。本人いわく「秒読みの将棋が得意ではないので、可能な限り時間を残しておきたい」とのこと。
その早指しの才は初のタイトル戦挑戦となった竜王戦七番勝負でも遺憾なく発揮され、竜王位奪取を果たした後のインタビューでは「悪い時には逆転しないといけないので、都合の悪い展開を枝刈りのように切り捨てていく過程で結果として早指しになる」と述べるなど、早指し(と、それに伴う時間攻め)を勝負術の一つとしても捉えているようだ。
やしk…itumonのTwitterでは彼の強さの一端を示すエピソードとして、「中盤でこちらが良くなったはずなのに終盤できっちり抜かされている」 「悪い時には局面を複雑化して混沌を呼び込み、トッププロさえ間違えさせる」などが挙げられ、中盤の粘り腰と終盤の勝負術はプロからも賞賛されている。入玉形も得意としている。
もうひとつの特徴として、対局中の頻繁な離席と散歩が挙げられる。哲学専攻らしく「歩いていたほうが思考がまとまる」とのことで、噂には聞いていてもどんなものか知らなかった将棋ファンも竜王戦での彼の振る舞いを初めて目撃し、大きな話題を呼んだ。
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最終更新:2024/05/05(日) 17:00
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