糸谷哲郎(いとだに てつろう)とは、将棋棋士である。1988年10月5日生まれ。広島県出身。森信雄七段門下。棋士番号260。
愛称は“ダニー”、“怪物くん”。関西所属の有力若手棋士、稲葉陽・豊島将之・村田顕弘と並ぶ“関西若手四天王”の一角と称される。
10歳で奨励会入会を果たし、2006年度には奨励会三段として新人王戦に出場。勝ち進む途中で三段リーグ抜けも果たし(同時昇段は中村太地)、そのまま新人王戦も優勝。デビュー戦ではハッシーこと橋本崇載を破り、「強すぎる、怪物だ!」とハッシーに言わしめるなど鮮烈なデビューシーズンを飾る。
2009年度、2010年度のNHK杯では決勝まで勝ち進むも、どちらも決勝戦で羽生善治に破れ準優勝に終わる。なお、2010年度の準決勝の丸山忠久戦では、NHK杯戦本戦の最短手数記録である39手で勝利している。2011年の銀河戦でも準優勝。
2014年、第27期竜王戦にて3組優勝を果たし、決勝トーナメントでは三浦弘行、屋敷伸之、行方尚史に勝利して挑戦者決定戦に進む。挑戦者決定戦では羽生善治を2勝1敗で破り、森内俊之竜王への挑戦権を獲得した。初のタイトル戦番勝負は色々な意味で糸谷の個性溢れるものとなったが、4勝1敗で森内を破って初タイトルの竜王を獲得。広瀬章人以来、久々の20代のタイトル保持者誕生となった。竜王獲得により八段に昇段。
しかし翌年の竜王戦では渡辺明の挑戦を受け、1勝4敗で失冠した。同年度の順位戦ではB級1組への昇級を決める。2017年度の順位戦では8連勝で2局を残してA級順位戦へ昇級。2020年、銀河戦で決勝戦まで勝ち進むも、藤井聡太2冠に敗れ準優勝。2021年、棋王戦で挑戦権を獲得。竜王失冠の相手でもある渡辺明棋王に挑むも1勝3敗で獲得はならなかった。2019年より棋士会副会長。
居飛車党で角換わりを特に得意とし、攻めも受けも力強い。たまに振り飛車も指す。
特に早指しで有名。加藤一二三によると、棋界の歴史上、早指しで有名な花村元司などの棋士たちよりも群を抜いて早いらしい。本人いわく「秒読みの将棋が得意ではないので、可能な限り時間を残しておきたい」とのこと。
その早指しの才は初のタイトル戦挑戦となった竜王戦七番勝負でも遺憾なく発揮され、竜王位奪取を果たした後のインタビューでは「悪い時には逆転しないといけないので、都合の悪い展開を枝刈りのように切り捨てていく過程で結果として早指しになる」と述べるなど、早指し(と、それに伴う時間攻め)を勝負術の一つとしても捉えているようだ。
やしk…itumonのTwitterでは彼の強さの一端を示すエピソードとして、「中盤でこちらが良くなったはずなのに終盤できっちり抜かされている」 「悪い時には局面を複雑化して混沌を呼び込み、トッププロさえ間違えさせる」などが挙げられ、中盤の粘り腰と終盤の勝負術はプロからも賞賛されている。入玉形も得意としている。
もうひとつの特徴として、対局中の頻繁な離席と散歩が挙げられる。哲学専攻らしく「歩いていたほうが思考がまとまる」とのことで、噂には聞いていてもどんなものか知らなかった将棋ファンも竜王戦での彼の振る舞いを初めて目撃し、大きな話題を呼んだ。
プロ入りから一年後の2007年には大阪大学文学部に合格。現役のプロ棋士が日本の国立大学に合格・進学したのは初である[1]。
阪大では将棋部に所属、卒業後は阪大大学院文学研究科に進学。竜王戦などで休学を挟むも、ハイデガー研究などの哲学を専攻する異色の経歴を選択している。その後、2017年に大学院を卒業した。
思うことをはっきりと口に出すタイプ。新人王戦の優勝インタビューでは「将棋は斜陽産業、僕たちの世代で建てなおさなければ」と抱負を語り、第27期竜王戦・第1局の前夜祭では自身の専門である哲学に絡めたスピーチで会場をざわつかせるなど、非常にユニークな言動が持ち味。
「棋界を建てなおさなければ」との言葉を違えることなく、関西若手棋士による将棋普及プロジェクト、西遊棋の発起人となり、中心メンバーとしても活躍している。ニコニコ生放送の企画にも積極的に出演し、ラジオDJやらカラオケ詰将棋やら目隠し解説やらで将棋ファンの期待に応えている。本人いわく「同時に色々な要素を進行させるのは脳にもいい」とかなんとか。大学進学もその一環かも。
甘いものが大好き。何食わぬ顔で駄菓子バーでインタビューを受けたり、控室でおやつの解説をこなしたり、シフォンケーキも自分で焼くなどかなりのスイーツ男子。
棋士はゲームのプロ、と言うだけでもないのだろうが、彼もTCGのマジック:ザ・ギャザリングを嗜む。2010年の日本選手権(全国大会)ではベスト16に入賞している。2015年にはプロツアー『タルキール龍紀伝』(世界大会)に“竜王”つながりで特別招待で出場した。また、ポケモンカードゲームの大会にゲスト参加した際には、当日初めてポケカをやったのに優勝してしまい、世界に100枚しかないカードの1枚目の所有者となった。
奨励会時代には、当時の奨励会幹事である畠山鎮が「奨励会時代はコレ以上ないというくらい叱った」と語るほど、厳しく礼儀作法を教えこまれる。かと言って関係がぎこちないものになったわけではなく、畠山は折に触れて糸谷の才能を評価し、控室でとある対局の趨勢を記者に聞かれて「文句があるならかかってこい、糸谷!」と何故かその場にいない糸谷の名前を口にするなど、妙な縁の深さがあるようだ。棋士会副会長就任も畠山のご指名があったとも。
何故か番長香川愛生とイベントやら控室やら解説やらでコンビで扱われることが多い。舎弟は番長の近くにいるのが当然だからね、仕方ないね。特に他意はないです。
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最終更新:2025/01/20(月) 01:00
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