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「アルビノ」とは、
- 遺伝子疾患のひとつ。先天性白皮症、白子とも呼ばれる。
- buzzGによる初音ミクオリジナル曲 → アルビノ(buzzG)
- 涼風PによるMEIKOオリジナル曲 → 【MEIKO】 オリジナル曲 『アルビノ』
本稿では1について説明する。
概要
突然変異や劣性遺伝によりメラニン色素が先天的に欠乏することによって起きる疾患。原因はメラニン色素の生合成に関わる遺伝情報の欠損。限局性と汎発性が存在する。汎発性のものが俗に言う白子に該当し、毛髪は白あるいは金・銀、肌は乳白色、脈絡膜の色素を欠くために瞳孔は淡い紅色になる。
同時に爪や歯の奇形といった発育障害を伴うこともある。また、羞明、紫外線への耐性が極めて低いなどの症状があり、これらの症状は全て先天性のもので、非進行性。
詳細は割愛するが、一口にアルビノといってもメラニンの生成段階のどの部分にどのような異常があるかによって症状に違いが生じてくる。また、この違いからメラニン量に差が生まれ、同じアルビノでも毛髪・肌・瞳などの色調にも違いが発生する。
しばしば誤解されがちだが、劣性遺伝(優性遺伝)というのは遺伝の仕方・性質の発現のしやすさにおいての優劣、いわば優先度であり、その遺伝する性質が生き物として優れているかどうかの優劣ではない。ここでの劣性遺伝も「アルビノが生物的に虚弱である」ということを示すわけではないことに注意していただきたい。
人間だけでなく、動物にも見られる疾患であり、シロウサギ、ダイコクネズミ、シロヘビなどが代表的。それぞれ、アナウサギ、ドブネズミ、アオダイショウの白化型(アルビノ)。視力が弱い、保護色を持たない、紫外線への耐性が低いといった要因を併せ持つため、自然界で生存する例は非常に珍しい。種類によっては、見た目の美しさと希少性から、高値で取引されることもある。
結果的に白色になることが多いが、メラニン以外の色素は無関係であるため、アルビノのアマガエルのように色のついたアルビノは存在する。
非常に特徴的な容姿を症状として呈するため、ハイカルチャー・サブカルチャーを問わず、アルビノあるいはアルビノに似た容姿の人物はフィクションの中で特別な存在として描かれる傾向がある。
これについて、アルビノへの偏見を助長するとして物言いがつくこともある。ただし、サブカルチャーにおいては、単に髪と瞳の配色が白系と赤系なだけで他意はないという場合も多い。
白変種(≠アルビノ)
白い皮膚や体毛を持つゾウやウマ(ユキチャンが有名)、ホワイトタイガー、シロクジャクなどは基本的にはアルビノではない。もちろんこれらの動物のアルビノも存在はするが、一般的に言われるこれらの白い生きもの(ホワイトタイガーなど)は白変種と呼ばれるものであることが多い。
白変種は色素細胞の分化や移行における問題に起因するものであり、根本的にアルビノと異なる。そのため、必ずしも全身が白色になるという訳ではないし、逆にアルビノと違って(メラニン以外の色素まで欠落して)完全に白色になるということも可能性としてはある。なお、白変種にまつわる遺伝子もアルビノ同様劣性遺伝する。
以前は突然変異によるものと思われていたが、現在では白変種の原因となる遺伝情報は脊椎動物が一般的に持っている基本的な遺伝子であり、氷河期と間氷期を繰り返した結果、自然淘汰により環境に応じて白色が保護色となる場合は白変種が中心となるのではないかと考えられている。
なおホッキョクグマやホッキョクギツネなどの寒冷地の白色の生き物は白変種が安定して存在している状態であるという意見もある。余談だがホワイトタイガーは多くの場合ベンガルトラに生まれるもので寒冷地トラのデフォルトカラーではない。
白変種は脈絡膜にメラニンを持っているため、瞳孔が紅色になることはないという点でアルビノと異なる。ただし、前述の通り同じアルビノでも瞳孔の色には差が生まれることがあり、アルビノが必ずしも紅い瞳孔を持つわけではないということに注意していただきたい。
※多くの資料を精査したつもりではあるが、誤解や誤用の多い用語・分野であるため、更なる情報と考察に期待する。
診断と治療
診断法は、病理検査、電子顕微鏡検査、ドーパ・チロシン反応など。出生前の診断も可能。
治療法は現在のところ存在しない。
対症療法として、皮膚科による紫外線防御と、眼科による視力障害のケアが必須。
アルビノと社会問題
タンザニアなどのアフリカ南東部の国ではアルビノに呪術的な効果があるという迷信が流布しており、アルビノ狩りが行われ多くのアルビノの人達が犠牲となっている。
アルビノの人の骨や肉が高値で取引されており、このような地域でアルビノとして生まれてくると命を狙われまともに生活ができない。国により保護されているようだが呪術師や取引の取り締まりは十分とは言えず、また保護政策自体もしっかりとした見通しが立っていない。
また、アルビノの出生率も世界平均よりも大分高くなっており、上記のような事情からアルビノ同士で結婚するケースが多く子供がアルビノになりやすいという悪循環を生んでいる。
日本などの先進国においては、「何か神秘的」ということで、創作世界におけるちょっとしたプラスイメージが付く(人によっては萌え要素にも)アルビノであるが、ガチで呪術が信じられていて、法がしっかりと行き届いていないような国々では大変なことになっているということも覚えておこう。
関連項目
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