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セミ

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セミ（数学術師セミ、세미）は、韓国の教育専門テレビ放送局「韓国教育放送公社（EBS）」の数学教育コンテンツ「EBS Math」の登場キャラクターである。

この記事は、大百科グランプリシーズン大会「シーズン2022上半期6月」において優秀賞記事に認定されました！
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概要

紺色髪の、前髪の一部をブレイズヘアに編み込み、後ろ髪は三つ編みで一つにまとめた「テンギモリ（댕기머리）^[1]」の、400歳の女の子。伝統的な赤い韓服をアレンジして、現代的なファッションを融合させたような衣装なども特徴的。

数学魔法学校のエリート卒業生で、一級(上級)数学術師という肩書き。数学の力で事件を解決する魔法数学解決所を運営しており、数学ができずに天界から地上の魔法数学解決所に左遷されてきた王子ラオンやその執事チウに、事件解決を通じて数学を教える。名前の由来は「算」を指す「셈（sem）」。後ろに「이（i）」を付けて「셈이（sem-i）」とし、発音はそのままに字を「세미（se-mi）」と置き換えている。蝉でもなければ半（英語のSemi）でもない。

彼女は韓国のEBSによる数学学習サイトで2014年 3月末、中学生向けのアニメコンテンツ「数学術師セミ」に初めて登場した。その内容は少ない数のイラストを様々な差分でFlash アニメのように動かすという低予算省エネ事情がうかがえるものではあったが、キャラクターの純粋な可愛さによって大きいお友達の間でも大変話題となり、多方面に影響を及ぼした。日本でもまさにベネッセの「ゼミママ」が話題沸騰中の時期である。驚くべきことにEBSやアニメ制作会社もブームには乗り気で、その後多数の続編コンテンツをリリースすることとなった。

声優は当初柳宝邏（ユ・ボラ）（유보라、当時EBS所属で2015年よりフリーランス）が、2018年からの作品では朴志胤（パク・チユン）（박지윤、元EBS所属で当時既にフリーランス）が演じている。中国語吹き替え版では陳皓宜（チェン・ハオイ）が演じる。

沿革

韓国教育放送公社（以下EBS）は、国策による教育放送院を背景に持つ、日本で言うところのNHK・Eテレ的な立ち位置の教育専門テレビ局である。

このEBSは2013年下半期に行われた改編に際し、「楽しい数学」というキャッチフレーズと共に数学専門のウェブコンテンツ「EBS Math」を発表した。小中高生向けにアニメ、コミック、ゲームなどのコンテンツによって数学が学べるというもので、同年秋に中学 1年生向けのものが公開されると、早い段階から評判を集めていた。元々EBSでは国内外のアニメ市場を積極的に取り上げて追求しており、その見識には定評があった。EBS Mathでは、EBS発注のもと制作会社ヤンスマイルピクチャーズが請けてアニメーションの制作を行った。

その中で、2014年 3月末に中学2年生向けのコンテンツが公開開始となったのだが、いくつかの単元の中で「文字と式」のナビゲーションキャラクターとして登場したのがセミであった。2014年 4月14日、彼女の存在が韓国の大きいお友達の間で転載される^[2]などして明るみとなるや否や、絶妙で奇跡的な可愛さとか絶対領域などによってあっという間にブームに火がついて日夜大量の二次創作が生産される事態となったのである。

ファンアート、マイリトルポニーやねんどろいどなどのパロディ、ゼミママなど他教育キャラとのカップリング、3D モデル、UTAU音源化による人力VOCALOID、ゲーム、デスクトップマスコットなど多岐に渡り、小学・高校生向け版という設定の派生二次創作キャラクターまで生み出された。

ブームを受けて公式に制作スタッフへのインタビュー企画が行われたり、EBSで学習アニメ・トゥーンコミックなどの拡充の際にセミや周辺設定を掘り下げたりなど、寛容どころかかなり好意的にブームを取り扱った。さらに声優のユ・ボラはセミ役を演じたのを受けてこの年の韓国放送大賞において声優・ナレーション賞を受賞。この賞を局専属の声優が受賞するのは初であり、反響の大きさがうかがえる一件となった。

一方で、EBSは教育コンテンツのパブリッシャーとして成年向けの二次創作について禁止を通告しており、その影響か、元々一過性の大ブームであったのもあってか、2015年以降には二次創作の圧倒的なブームは沈静化したものの、2015年に小学生向けの続編コンテンツ「LEGACY OF MATH -黄金の書-」としてアニメ・ウェブトゥーン・ゲームが公開されたり、2016年にフィギュアを発売したり、2018年にアニメ・ウェブトゥーン「セミとマジックキューブ」を発表して魔法数学学校時代のストーリーを掘り下げるなどし、また二次創作にも寛容な姿勢を示し続けている。そのおかげか人気は持続しており、二次創作の潮流も現在まで続いているようである。

作品

数学術師セミ(2014年)

ここは魔法数学解決所。舞い込んでくる事件を数学の力で解決するのが仕事です。

数学がニガテで天界から地上に左遷されてきた王子「ラオン」は、上級数学術師「セミ」の助言を聞いて事件を解決することができるでしょうか。

セミの初登場作であり出世作で、アニメーションはEBS監修・ヤンスマイルピクチャーズ制作。韓国の中学校で習う数学の内容のうち、「文字と式（代数）」を取り上げている。関数はドクターY、幾何はミスM、確率は数学博士というキャラクターが担当。

少ないイラストをLive2Dのような感じで動かすという、低予算そうな簡素な作りでありキャラクターのタッチが統一されていないが、世界観設定は割と丁寧で、デザインもそれに準じているためか非常に噛み合っており、意外とごく自然に観ることができる。

ブーム時、1つのカットにトレパクの疑惑が浮上して制作会社が謝罪して修正する事態に追い込まれたという事件があった。

LEGACY OF MATH -黄金の書-(2015年〜2017年)

セミたちも4年生が過ぎ、今や5年生となった。しかし、魔法数学学校を卒業するためには試験を受けなければならず、彼女たちは一生懸命取り組んでいく。

一方、セミを狙う怪しい人物たちが接近していた……。

小学生向けのカリキュラムに合わせ制作された。制作は引き続きヤンスマイルだが、予算が増えたのかアニメーションのパターンも豊富になり、より自然でクオリティの高い仕上がりとなった。ウェブトゥーン版やFlashゲームも公開。

ブームを受けたものともいわれ、キャラクターデザインが整理されているほか、2014年のもので他単元に登場していたキャラクターの一部が同級生として登場している。2017年にかけシーズン2（前作から数えてシーズン3）まで制作が行われた。

その後、EBSとヤンスマイルの契約が終了したところ、キャラクターの権利をめぐってヤンスマイル側が対立。挙句ヤンスマイル側が倒産してしまい、続きが出るか不明なまま途絶えた状態となっている。

セミとマジックキューブ(2018年〜2020年)

천년이 지나도(千年が過ぎても)
MPP(kari)
闇魔法を覚醒させたエックスを防げ！

マジックキューブに選ばれた初級数学術師セミは、数学魔法学校の担任ワイ、ゴハらと共に、タイムスリップして様々な数学の試練をクリアしていく。

2018年 8月より公開された作品で、2020年 3月30日からは第二期が公開された。もちろん数学をメインとした作品ではあるが、シーズン2では化学も取り扱うこととなっている。前々作、前作と続いて更に16歳ほどの年齢設定まで遡ったためか、演じている声優も異なる。

セミは「マジックキューブ」に選ばれて時を超えながら、数学の力で試練を進めていく。……ただしイノシシを殴りつけるなどパワーで解決する場面も多く、異名を恐怖の赤いスカートと名乗ったり、ネットでは数学（物理）とか言われていた。

また12話では、セミの中の邪悪な人格が分離した「ブラックセミ」が登場しし攻防を繰り広げた。ネットではセミオルタなどと呼ばれて人気を博したりしている。

前述の問題を受けてか制作会社が以前と異なり、ドゥルフィックスによるものとなっている。また、前々作、前作と続いて更に16歳ほどの年齢設定まで遡ったためか、声優がパク・ジユンに変更となった。

テレビはEBSおよびJTBCで放送され、YouTubeなどでも配信された。「精算小魔女」というタイトルで中国語吹き替えも製作され、香港では翡翠台から、中国本土では金鷹卡通からテレビ放送された。

余談

原案時点では衣装の胸元が開けていたが、教育用コンテンツのキャラクターであったためか露出は抑えられることになった。はてなようせいのスカートが次年度からキュロットに変更されたのに似ている。
韓服は胸部を結構圧迫するものであるので、それを着用して尚も主張する彼女のそれは”かなりのレベル”であるとする噂が囁かれている。
「数学術師セミ」の時代設定は、世界観を共有すると言われるドクターYの作中の発言から約2250年ごろと推測されている。
数学術師1級資格の証書が「数学術師セミ」第一話に描写されており、資格の認定番号まで設定されていることが判明している。それによれば番号は「마법수학학교（魔法数学学校）-06-0210」だという。
「セミとマジックキューブ」の中国語版である精算小魔女では「小半（シャオバン）」という名前に変更されている。