蒲田行進曲単語

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カマタコウシンキョク
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蒲田行進曲とは、松竹株式会社蒲田所の所歌であり、同名の演劇小説映画ドラマタイトルでもある。

概要

同曲は京浜東北線蒲田駅の発ベルとして有名であるが、同曲が採用されたのは以下のような事情がある。

1892年、チェコ出身の作曲ルドルフ・フリムルが発表したオペレッタ「放浪の王者」(The Vagabond King)の劇中歌に「放浪者の歌」(Song of the Vagabonds)がある。これが蒲田行進曲の原曲であるが、原曲からしてまさに王道を往く行進曲である。
(参考:ようつべに上がっている1959年版exit

時に1920年大正9年)、松竹(当時は松竹キネマ)は蒲田映画スタジオを開くこととなる。
同地は当時の歌舞伎役者の流れをんで「女形(男の娘)」を女性役として使用していた旧日本映画から脱却し、映画女優即ち女性俳優を起用するようになり、同撮所が川田芳子等のいわゆる「幕の(女優)スター」のデビュー作を飾るという日本映画刷新の端緒となった地であった。また東海道に位置し「モダニズム」をめていた東京にも近かった同地では、当時の映画事情にまつわる様々な逸話が発生した。

その後の1929年映画親父とその子」の主題歌として上述「放浪の王者」の旋日本語歌詞がつけられたレコードが発売された。同曲は好評を博し、その後に「希望路」などの模倣曲が多数出され、まさに当時の流行歌となったのである。後にこの曲が同撮所の所歌としても唄われることとなった。

の都 の港 キネマの
の姿 の匂い あふるるところ
キャメラの眼に映る かりそめのにさえ
青春もゆる 生命(いのち)はおどる キネマの

しかし当時の蒲田一帯には騒音を出す町工場が非常に多く存在し、また当時の防音技術が発達していないこともあって、後に流行したトーキー(発映画)の撮には向かなくなっていた。そこで松竹は同じ東海道に位置していた大に全撮機器を移転し、36年(昭和11年)に蒲田所を閉館。(なお移転先の大所も2000年6月に閉館、松竹直営の撮所はこれで全て閉館した。)
閉館までの16年の間に同地では1200本もの映画が撮された。当時の映画の盛況ぶりがばれるであろう。この歌のように、燈に生命が躍る時代は確実にあったのである。

かくして、この曲と蒲田、そして松竹蒲田所の縁は分かち難い物となっており、まさしく「ご当地メロディー」の名に負けない曲として、同曲は蒲田駅発車メロディーに採用されたのである。
また、同じような縁から大洋ホエールズ(現横浜ベイスターズ)の加藤博一応援歌にも使用されている。

演劇ファンにも野球ファンにも鉄道ファンにも染み深く懐かしみを覚えさせる、口ずさみやすいあのメロディーにも色々な歴史ドラマを織りなしているのである。

 

また、この歌詞映画のみならず、ニコニコ動画ひいてはネットエンターテイメント全般にも通じるものがあるとも言えるだろう。

胸を去らぬ 想い出ゆかし キネマの世界
セットと スター ほほえむところ
瞳のふかく 焼き付けた面
消えて結ぶ 国 キネマの世

つかこうへいの戯曲『蒲田行進曲』

作家つかこうへいの、『熱海殺人事件』と並ぶ代表作であり、氏の前期作品群を代表する傑作

新撰組を題材とした“キネマ”の撮中の東映京都所を舞台に、土方歳三を演じる倉四郎という俳優と、彼を慕う“大部屋役者ヤス、そして彼らの間を揺れ動く女優・小の3人の悲喜劇をダイナミックに描き上げた活劇。
舞台はあくまで京都であり、蒲田行進曲に歌われたかしきキネマの時代をモチーフにした物語というだけで原題も「銀ちゃんの話」だった。後に改題し、後述の映画版のヒットによって、蒲田行進曲自体にもこの戯曲のイメージを強く植えつけた。 

続編として、『蒲田行進曲完結編・銀ちゃんが逝く』があるが、初作とこれに厳密につながりがあるわけではなく、多くのバージョンがある『熱海殺人事件シリーズと同様の形態をとっている。
どちらかというと男性が多く登場するつか作品にはしく、『銀ちゃん』というタイトル宝塚歌劇団によっても演じられてもいる。 

映画

1982年開。深作欣二監督
出演松坂慶子、平田満、風杜夫、他。

つかの戯曲を原作とした映画作品。
松竹映画だが、東映京都所で東映出身の監督(=深作)が撮る、という妙な状況下で製作された。
これには諸説あり、東映が「ヒットしそうにない」として製作を断られたことは共通しているが、

というものがある。いずれにせよ、映画化後に再演された際の舞台版では舞台地を東映京都所だと明言している。

出演は、つか直々の導を受け、舞台版にも出演した風間夫と平田満を銀ちゃんヤスに当て、当時の松竹看板女優っていた坂慶子を小に据えるというな面々をえた。

しかし、途中で予算が不足し、角川春樹の交渉によってノンクレジットTBSスポンサーとなった。その為、テレビ放映権はTBSが保有している他、翌年に制作されたドラマ版も同局によって放送された(1991年には、とんねるず演で続編もドラマ化されている)。

約17億円の行収入を記録する大ヒットを飛ばした、80年代邦画を代表する作品。つか作品の中では、一まともな映像化作品である(その他の映画作品、『熱海殺人事件』『幕末純情伝』などはいずれも惨憺たる出来であった)。 また、当時の角川映画も大量の宣伝によってヒットしたものの肝心の映画が……と言われていたが、それを本作によって挽回した。

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蒲田行進曲

13 ななしのよっしん
2016/09/03(土) 19:13:07 ID: 1bI7gcm+q1
理やりネタをねじ込む信者は嫌われるで
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14 ななしのよっしん
2016/09/03(土) 20:39:35 ID: XgstXB38u8
>>11
松竹かせめて東映映画ならともかく、それ東宝映画でしょ
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15 ななしのよっしん
2016/10/02(日) 19:19:57 ID: 6J82UhltL6
シンゴジラテーマの通称が被ってるせいで素で勘違いしてる人いるんだろうな
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16 ななしのよっしん
2017/05/21(日) 04:58:20 ID: h+KlvYVDjP
何でこの曲で「どこかの劇団のカーテンコール」が出て来るんだろ…
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17 ななしのよっしん
2017/08/23(水) 22:21:57 ID: CZtS9iT8kl
当時風間夫も平田満も三十路なのか

仁義なき戦いを撮り続けてきた深作欣二監督とは思えないほどの喜劇。大好きです。
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18 ななしのよっしん
2017/10/07(土) 18:56:31 ID: NeDVZ55i+v
なんか、池田屋階段落ちぐらいしか知らない…あととんえるずがそれをパロディしてたことぐらいしかわからない
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19 ななしのよっしん
2019/02/16(土) 03:37:53 ID: 58UMseagUf
主題歌の「人も濡れる」の舞台蒲田じゃなくて横浜なのはどういうことなの…
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20 ななしのよっしん
2021/02/27(土) 10:03:17 ID: SWyS1NdzNG
好きな映画だけど、最後の劇中劇オチだけはいかんわ
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21 sho
2022/07/17(日) 10:11:23 ID: jH000NWatB
そもそも舞台蒲田じゃくて京都だから、別に横浜でも良いんじゃねぇ
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22 ななしのよっしん
2023/10/14(土) 02:10:00 ID: ksugJy+wKA
>>18
トリビアの泉池田ネタを2つ続けてやったときにこの映画のあのシーンが続けて流れたのが印深い
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