"And the darkness comprehended it not."
「そして闇は光を理解できず」
――Burned Manの拳銃に彫られた言葉
「Honest Hearts」とは、Obsidian Entertainment開発、Bethesda Softworks監修、販売のRPG「Fallout: New Vegas」の第二弾ダウンロードコンテンツである。
Xbox360北米版、PC北米版が2011年5月17日に、PS3北米版が2011年6月2日に、PS3欧州版が2011年6月5日に配信された。
日本語ローカライズ版はXbox360版並びにPS3版が2011年8月31日に配信された。
概要
運び屋はキャラバン隊の一員として、旧ユタ州・ザイオン国立公園に足を踏み入れる。
そこは2077年の核戦争の被害を免れ、戦前の自然を多く残す土地であるが、2281年現在、北方の街ニュー・カナーンからやってきたモルモン・キリスト教宣教師らとザイオン原住の部族達のあいだで、何かしら争いが起こっているようである。
そしてひっそりと洞窟に棲む謎多き男「バーンドマン」は一体何を想うのか。
今回の物語は、運び屋のキャラバン隊が襲われるところから始まる……。
運び屋にケンカを売ったらどうなるか、ユタ州の連中はまだ知らん様である。可哀想に……
その名を口にすることさえリージョンでは禁忌とされる「バーンドマン」、そしてNew Vegas本編でもところどころで語られてきた旧ユタ州について触れられることになる。
ザイオン国立公園はユタ州に実在する国立公園で、その名は古代ヘブライ語で避難所または聖域を意味するらしい。
・主な登場人物
ジェド・マスターソン
ハッピー・トレイル・キャラバンを運営する商人。アップダウンが多く、細い山道が続くザイオンを無事に通り抜けるためにPip-Boyを持つ人物=運び屋を隊商に加える。ザイオンに到着した際にホワイトレッグスに襲撃されて死亡。
ステラ
ハッピー・トレイル・キャラバンの随行員。ジェドとはかなり深い関係だったようである。ジェドと同じく、ザイオン到着時にホワイトレッグに襲撃されて死亡。
リッキー
ハッピー・トレイル・キャラバンの随行員。Vault22ジャンプスーツとPip-Boyを身につけているが、それらはザイオンから来たスカベンジャーの遺体からはぎ取ったもので、Pip-Boyに至っては故障している。
また、サイコ中毒の上に嘘で塗り固めた経歴を語っており、充分なスキルやPerkを持っているとそれらを論破することができる。その際の反応が面白い。ジェドやステラと同じく、ザイオン到着時にホワイトレッグスの襲撃を受けて死亡。
バーンドマン=ジョシュア・グラハム
元シーザーの右腕でシーザーリージョンの指揮官。フーバーダムを巡るNCRとの戦闘で敗北し、シーザーに松ヤニを塗られた上で火を放たれ、グランドキャニオンに投げ落とされた。
シーザーリージョンに加わる前はニュー・カナーンからザイオンに派遣されたモルモン教の宣教師だった。
生還後はザイオンに戻り、部族デッドホースの族長として彼らにホワイトレッグスとの戦い方などを教えていたが、運び屋がザイオンを訪れたことで、その助力を得てホワイトレッグスを一掃しようと考えている。
フォローズ・チョーク
ジョシュアからの伝令として運び屋の元にやってくるデッドホースの見習いスカウト。
ジョシュアから聞かされた外の世界=文明世界に強い興味を抱いており、いつかはザイオンを出てそれらを見聞したいと考えている。
デッドホースでは、一人前のスカウトは獲物の多い場所にチョークで印を残す。しかし彼はまだ見習いなので、先輩スカウトが残したチョークの印を追うことしかできない。「フォローズ・チョーク」とはそこから付けられた名前である。
ゲーム中盤までコンパニオンとなる。
ちなみに初期装備は.45オートピストルとウォークラブだが、銃のスキルがほぼ無いに等しいので、活躍させたいならいい接近戦武器と防具を用意してやる必要がある。
ダニエル
ザイオンに暮らすもう一つの部族「ソローズ」の医療相談役。ジョシュアと同じくニュー・カナーンから派遣されたモルモン教の宣教師。
しかし、デッドホースをまとめてホワイトレッグスに対抗しようと考えるジョシュアとは違い、彼はあくまで平和的に部族をまとめ、ザイオンから避難しようとしている。
終盤で、ダニエルにつくか、ジョシュアにつくか、運び屋は選択を迫られることとなる。
ウェーキング・クラウド
ソローズの助産婦。第三子の出産の際にダニエルに母子とも命を救われたことから助産技術を学び、部族の助産婦となった。
ゲーム中盤でフォローズ・チョークと入れ替わる形でコンパニオンとなる。
フォローズ・チョークと同じく、銃のスキルが無いに等しいので、活躍させたいならせめて防具だけはいいものを支給してやる必要がある。
ソルト・アポン・ウーンズ
凶暴な部族ホワイトレッグスの族長。冷酷で残忍な性格と言われている。
部族をシーザーリージョンに加入させたいらしく、シーザーからザイオンに住む他の部族を殲滅するように命令されているらしい。
シーザーとしてはジョシュアを始末できればめっけもの、程度に思っているのだろう。
しかし、その後、自分と自分の部族がシーザーリージョン内でどんな扱いを受けるかに思い至らない辺りを見ると、頭が切れる方ではないようである。
.45オートピストル(銃)
.45オート(.45ACP弾)を使用する自動拳銃。どう見てもコルト・ガバメント(M1911A1)。
詳しくはニコニコ大百科の同項目か、Wikipediaを参照のこと。
modとして45 AP HDスライド(耐久力50%上昇)とサプレッサー(消音)が用意されている。
これらのmodはどれも、ジョシュアから、もしくはザイオンから帰還した後のガンランナー店頭で購入可能。
闇に輝く光(銃)
ジョシュアが所持している.45オートピストルのユニーク。
蛇皮仕上げのグリップを持ち、通常の.45オートピストルよりも全長が短い(オフィサーズもしくディフェンダーに類する銃身短縮タイプと思われる)。
また、そのスライドには冒頭にある言葉がギリシャ文字で刻まれている。modの適用はできない。
なお、ジョシュアがコンパニオンになった際、近接攻撃を指示すると、彼はこの拳銃をハンマーのように持って使用する。
.45オートサブマシンガン(銃)
.45オートを使用するサブマシンガン。これもどう見てもトンプソン・サブマシンガン。
やはり、詳しくはニコニコ大百科かWikipediaを参照のこと。
modとしてドラムマガジン(装弾数上昇)とコンペンセイター(拡散度抑制)が用意されている。
これらのmodも、ジョシュアやザイオンから帰還した後のガンランナー店頭で購入可能。
サバイバリストのライフル(銃)
モハビ・ウェイストランドでよくNCRが装備しているサービスライフルのユニーク。
通常品との見た目の大きな違いは応急手当的に作られた木製のフォアグリップ、ストック部分に彫られた「Arrêt!(仏語で「止まれ!」)」の文字、曲がってしまって役に立たないフロントサイトであるが、一番の大きな違いは通常のサービスライフルが5.56mm弾を使用するのに対し、こちらは12.7mm弾を使用することである。
なお、前の持ち主の整備が悪かったのか、それとも使用弾薬を変更したためなのか不明だが、サービスライフルのmodは適用できない。
ファイアボム(投擲用爆発物)
サンセット・サルサパリラの瓶に可燃性の液体を詰め込んだもの。いわゆる火炎瓶。
クリティカル攻撃で敵を倒すと、なぜか敵がプラズマ兵器で倒されたかのように緑色の粘液になってしまう。
ウォークラブ(接近戦用武器)
ザイオン国立公園に暮らす部族達が持ち歩いている木製の棍棒。
接近戦用武器にしては珍しくmodが用意されている。
ウォークラブケーシング(棍棒の先端に空薬莢を埋め込むもの。ダメージ+5)とウォークラブオナー(新しい飾りがつき、攻撃速度25%上昇)である(しかし実際にmodを適用してみると攻撃速度の上昇が著しすぎる。内部指定値が250%くらいになっているのでは?)。
なお、いずれもザイオンから帰還後のガンランナーや188交易所などで購入が可能。まれに、ジョシュアも在庫を持っている。
ヤオグアイ・ガントレット(格闘用武器)
Fallout3に登場したデスクローガントレットのように、ヤオ・グアイの手をくくりつけた格闘用武器。
残念ながら、カスタムメイド武器として作ることはできない。ただし、ユニークバージョンである「シーズ・エンブレイス」はイベントで入手可能。
通常品は死んだソローズの死体からはぎ取るか、ザイオンから帰還後のガンランナーで購入可能。
コンプライアンス・レギュレーター(エネルギー武器)
Honest Heartsで初登場した新しいエネルギー武器。
通常のレーザーピストルに似たサイズで、実際、レーザーピストルでの修理が可能だが、普通の赤いレーザーと異なり、青いレーザーを放つ。
そのレーザーがクリティカルヒットした場合、命中した敵が死ななくとも10秒間気絶するという特性を持つ。
なお、命中した敵が死んだ際に『メルトダウン』のPerkを持っていて自分もそのメルトダウンに巻き込まれると、自分も麻痺してしまうので注意が必要。
残念ながら、modは用意されていない。 ギャークマサーン!
・主な敵
ホワイトレッグス
ソルト・アポン・ウーンズに率いられたザイオンの攻撃的な原住民。
軍の保管庫にモスボールされていた.45オートサブマシンガンを主な武器として、運び屋の前に立ちふさがる……とは言うものの、主人公のレベルが高いと12.7mmサブマシンガンやブラッシュガン、アンチマテリアルライフルなどを装備している。
また、接近戦用武器としてシシケバブや消火斧なども所持しているため、なめてかかると痛い目に遭う。
ヤオ・グアイ
キャピタルウェイストランドで一般的だったあのヤオ・グアイである。
モハビウェイストランドでは一切見かけなかったが、ザイオンではそこそこの数が生息している。
グリーンゲッコー
ザイオン特有の緑色の体色を持ったゲッコー。口から放射能を帯びた粘液を飛ばしてくる。敵としてはあまり強くはない。
その他、モハビでも見かけるカサドレスやラッドスコーピオン、バークスコーピオン、ジャイアントアントなども登場する。
余談
ちなみにDLCの題名である「「Honest Hearts(正しき心)」は実在のモルモン教宗教家ブリガム・ヤングの「正しき心は、正しき行動を生む」という言葉から来ているとのこと。
宣教師である「ジョシュア・グラハム」が物語に大きく関わるためと思われる。
また、各実績/トロフィーのタイトルは聖書の『詩篇』の文言の一部が用いられている。興味のある人は調べて
みて欲しい。
更に、この「Honest Hearts」を導入すると、様々なレシピが解放される。それらは「Dead Money」のものと違い、ゲーム開始時から普通にモハビ・ウェイストランドで手に入るアイテムで作成可能なものである。
サンセット・サルサパリラやヌカ・コーラまで作成可能となる。
なおDLC第三弾「Old World Blues(オールド・ワールド・ブルース)」、第四弾「Lonesome Road(ローンサム・ロード)」を含め「今後のDLCでは装備の剥奪は無い」との事である。 やったぜオブシディアン!
ただし今回は隊商に参加するという事で、装備には重量制限が課せられるとの事。 どうしたオブシディアン!
また、これはゲーム本編に関係の無い余談だが、2011年3月、ユタ州でコルト・ガバメント(M1911)を『州の銃』と認定する法案が制定された。
これは、コルト・ガバメントの設計者であるジョン・ブローニングが同州のオグデンの生まれだったこと並びに、M1911が米軍に採用されてから100周年を迎えたことにちなむとのこと。
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