YouTube転載とは、以下の2つの意味およびその略語である。
- YouTubeに投稿されている動画を投稿者ではない第三者がニコニコ動画に投稿する行為。およびニコニコ動画に投稿されたその動画のこと。
- ニコニコ動画に投稿されている動画を投稿者ではない第三者がYouTubeに投稿する行為。およびYouTubeに投稿されたその動画のこと。
※1.と2.の両方の場合共にYouTubeまたはニコニコ動画の元動画の投稿者自身が同じ動画をニコニコ動画またはYouTubeに投稿する行為は含まない。その場合は転載ではなく普通の投稿、もしくは強いて言うなら同時投稿である。
1.のYouTube→ニコニコ動画の場合
概要
ニコニコ動画初期にはよく使われた表現だが、最近では”YouTubeからの輸入(YouTube輸入)”という風に表現が多くなっている。動画サイトYouTubeに投稿されている動画をFLV、MP4形式などでパソコンに保存し、そのままニコニコ動画にアップロードする行為である。
逆に、ニコニコ動画の投稿動画がyoutubeに転載されることもある。これを逆輸入という(実際、YouTubeには自動で作成された「ニコニコ動画チャンネル」が存在している)。しかし、無断で転載されることも多くしばしば問題になる。
経緯
元々のニコニコ動画(仮)のシステムは、YouTube等に投稿されている動画に対してコメントを付ける機能だったのでYouTubeの動画IDをいれるだけで簡単にニコニコ動画で視聴することができた。
つまりYouTubeに投稿され、公開状態になっている動画のすべてをニコニコ動画で視聴しコメントを付けることが可能だったのである。こういう経緯もあってか、(y)以降のニコニコ動画がSMILEVIDEOに投稿形式になって以降もYouTubeの動画をニコ動上に転載・公開する行為が頻繁に行なわれている。その為、現在もニコニコ動画とYouTubeとの関係は、お互いに濃くなっている。
ちなみに、現在ニコニコ動画に転載されるYouTube動画の大半は、北米などの海外の動画やかご猫動画が多い。また、ニコニコ動画内でうp主自身が削除した動画についても、第三者がYouTubeに転載した動画をそこから再転載する事も多い。
2.のニコニコ動画→YouTubeの場合
概要
現在様々な問題(後述)が生じているのはこちらの場合である。
ニコニコ動画がサービスを開始して年月が経ち、利用者の増加と共に自作の動画を投稿する場としても広く認知され、投稿される動画も日に日に増加している。
これに伴いニコニコ動画に投稿された動画を投稿者以外の第三者がYouTubeにそのまま再投稿(転載)する行為も同時に増加している。このような転載行為を指してYouTube転載と呼び、以降はこの呼称を継続する(YouTube「より」「からの」転載、或いは或いは渾名の「つべ」を記すなどの表記ゆれもある)。
YouTube転載しているのは日本人と外国人の両方であり、特にどちらかに限ったことではない。
日本人の場合は主にニコニコ動画で人気の動画や人気の出そうな動画を片っ端から無分別に転載する傾向があり、特に有名ボカロPのボカロオリジナル曲やMMD杯参加作品の動画などは同一動画が大量に溢れていることも珍しくない。中には「問題があれば削除します。」という一文を記載している場合もあるが、記載しているだけでそれ以上は何もない。
外国人の場合は主にそのまま、もしくは動画タイトルのみ自国語や英語に翻訳あるいは勝手なものを付けて転載するだけでなく、元動画の作者に無断で内容に字幕を付ける事例※1も多く見られる。どちらの場合も往々にして転載者自身の作品であるかのように振る舞う・偽る傾向がある。
もっとも、これはあくまで傾向であり、その逆もあれば両方という場合もある。さらに言えばYouTubeユーザーの国籍も自己申告なので厳密には不明ということもある。
※1:翻訳字幕を付けるだけでなく、動画内に自分(YouTube転載者)の名前を作者であるかのようにクレジットを入れる事例も多い。その反面、本来の元動画作者の名前は翻訳しなかったりクレジットしないことや、元動画作者の名前に上書きしたり勝手に併記するような事例も珍しくない。
YouTube転載の問題点
- ニコニコ動画に投稿されたオリジナルの動画(一次創作作品や権利者の使用許諾に従った二次創作作品)について、多くの場合、動画作者や(関係する著作権の)権利者から許諾を得ること無く無断でYouTubeに投稿している。
例:MMD動画、歌ってみた・演奏してみた※2、ボカロオリジナル曲、(二次創作ガイドラインに従った)東方アレンジ、(ボカロ・東方以外の)オリジナル曲(ニコニコインディーズ・NNIオリジナル曲など)、投稿者自身の撮影した自作の画像・映像作品など。
- ニコニコ動画から元動画の投稿者や権利者に無断でYouTube転載し、自分(YouTube転載者)の著作物であると偽っている。
さらにYouTube転載した動画から自分(YouTube転載者)の外部Webサイトに誘導するような事例もある。 - 自分(YouTube転載者)の著作物であると偽り、YouTubeの「収益受け取りプログラム」に登録して金銭の収入を得ている。
元動画の作者自身がYouTubeに投稿しても著作物に対して正当な評価や収益を得られないという状況がある。
※2:JASRACに著作権が信託されている楽曲の歌唱や演奏については、ニコニコ動画がJASRACと包括契約を締結しているため「ニコニコ動画への投稿に限って」は権利侵害にならない。当然YouTubeに転載するのは契約の範囲外であり権利侵害となる。また、現在はniconicoサービス(ニコニコ動画やニコニコ生放送等)において「レコード会社から利用が許諾された音楽原盤」として登録されている楽曲についても同様である。
話が逸れるが、このJASRAC信託曲や利用許諾された音楽原盤の楽曲をニコニコ動画への投稿動画等で利用した際、ニコニコ動画が投稿者に代わって支払ったお金が分配され、楽曲の権利者やアーティストにきちんと届くようにするためには、動画投稿時の設定画面で使用楽曲として登録しておかなければならないので注意が必要である。
ニコニコ動画への自作動画投稿者のYouTube転載対策
- ニコニコ動画に自作動画を投稿する際にYouTube(および他の動画投稿サイトや個人Webサイトなど)への転載禁止の旨の注意書きを動画説明文に記載する。日本語だけでなく英語でも記載するのが望ましい。
ただし、YouTube転載している人は無断であることも権利侵害であることも承知でやっている(故意犯)ため効果は薄いが、意思表示と証拠を残す目的で意味はある。(YouTubeに対して自分の著作物であることを伝える際など) - YouTubeに無断転載されている自作動画を発見した場合、YouTubeに対して動画の権利者として削除等の対処を要請する。
- 自作動画を最初からニコニコ動画とYoutubeの両方に自ら投稿し、動画説明文にその旨とURLアドレスを記載するようにする。
ボカロPなど自作動画を多数投稿している場合はYouTubeの自分のチャンネルを利用して作者本人による投稿動画であることを積極的にアピールする。 - YouTubeのコンテンツIDプログラムを利用して予め自作の動画や音楽を権利者として登録しておき転載をブロックする。
これは企業のようにパートナー契約を結ばない個人の場合、対応の選択肢が限定されたり、動画に他者の著作物が含まれていないなど条件があるため、通常の権利侵害の対処要請をする方が敷居は低い。 - 初音ミクなどを用いたボカロオリジナル曲の動画の場合は、クリプトン・フューチャー・メディアの運営する楽曲配信レーベルKarenTを利用することにより、上記のYouTubeのコンテンツIDプログラムによる管理をクリプトン社が初音ミク公式チャンネルを通じて一括して登録から収益の分配まで代行してくれるのでこちらを利用する。この方法は対価と引き換えに一定の利用を認める場合の選択肢であり、YouTube転載を一切認めたくない場合には対応できない。
また、この方法はKarenTにも登録することが前提のため、YouTubeの動画からiTunes Store等に誘導されて曲のダウンロード販売にも繋がるというメリットもある。
しかし、実際のところ注意書きも機械翻訳や「転載」を直訳した「Reprint~」など意図が伝わり難かったり、YouTube転載動画のコメントに苦情を書き込んだ結果自分がブロックされたりと対処は容易ではないのが実情である。
そこで、経験談や注意書きの英文や英語でのやり取りについて説明しているサイトやblogなどを参考に下記「YouTubeへの無断転載対策と対処についての参考」にいくつか紹介する。
なお、YouTube転載を望まない場合は、削除依頼の手続きや正当な権利者であることの証明が面倒・難しい・どうせ無理と泣き寝入りすることなく行動を起こすことを推奨する。過去にYouTube転載のボカロオリジナル曲が「作者でも権利者でもない全く無関係の人物」によって、権利侵害として大量に削除された事件があったようにYouTube側の確認は杜撰であり複数アカウントから同一動画に対して複数の権利侵害申告があるだけで正当性の確認もろくに行われず削除する程である。
残念ながらYouTubeでは、ニコニコ動画のコンテンツツリーや親作品登録のように簡単で明快な制度は整備されていないため対策は易しくないが、権利者として転載を一切認めない以外にも自分の希望を満たす条件付きで認めるといった選択肢も有り得るので状況に合わせて検討することも解決策のひとつである。
YouTubeへの無断転載対策と対処についての参考
- ニコ動の動画をYouTubeに無断転載されたので削除依頼した(togetter)
Animelo Summer Live(アニメロサマーライブ:アニサマ)での初音ミクのライブを取材した動画をニコニコ動画からYouTube転載されたライターの広田稔氏がYouTubeに転載動画の削除依頼をした際の経緯や対処のまとめ。 - ニコニコ動画のYouTube転載(togetter)
ニコニコ動画に投稿した動画をYouTube転載されているボカロPの経験や考察についてのまとめ。 - 哀愁と情熱のあいだ 無断転載に関する今後の対策と方針(ブロマガ)
ニコニコ動画に投稿したボカロオリジナル曲がYouTube転載され、動画収益化プログラムで第三者が金銭を得ていることについて、てとてと(情熱P)氏の解説と対策について。 - 無断転載について(水晶宮)
英語メール例文集(ニカ国語サイトの作り方)
動画・画像などの海外サイトへの無断転載対策の英文注意書きや無断転載者との英文でのやり取りについて、水沢晶氏による解説と英文実例集。転載拒否の事例だけでなく、翻訳字幕を付けた再投稿を許可する場合の解説もあり。 - 当記事掲示板の>>34にも動画説明文に記載する英文注意書きの例があるので参考にされたい。
関連項目
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