RPGツクールVXとは、エンターブレインから2007年12月27日に発売された、Windows用RPG作成ソフト。
2011年5月26日には和の世界をイメージした素材集「ツクールシリーズ素材集 和」を収録したうえで再販、さらに2011年12月15日には続編「RPGツクールVX Ace」が発売された。
概要
初めてWindowsの名称と名前が一致しなくなったシリーズ。
名前の由来は「VistaXP」、あるいは「15作目」から来ているのではないかと言われているが、憶測の域をでない。
簡単にいえば「RPGツクールXPをRPGツクール2000のイメージに近づけた」ツールで、ツクール2000を彷彿する部分が随所で見られるのが特徴。
RGSS自体もRGSS2としてパワーアップし、上級者の難しい要求にもっと対応出来るようになった。
本ソフトの登場により、RPGツクールXPなどを始めとした過去作がお払い箱になると思いきや、そうはならなかった。
上級者向けとしての地位を築き、かつValue版が登場してお求めやすくなった。RPGツクールXP。
無料なのにも関わらず自由度の高いゲーム制作を可能とするWOLF RPGエディター。
最も安価で入手することが出来、作りやすさではナンバー1と言っても過言ではないRPGツクール2000。
よって「最新作のVXを買えば自分の求めていることがすべて満たされる」とは限らないので、ツール選びは慎重に。
とは言え、後述の通りに改変素材が豊富でユーザー登録用として買うのも悪くない。
詳細
本作の特徴は、ツール全体のインターフェイスはRPGツクール2000に近いものにしつつ、中身は大きなバージョンアップが図られていることである。作りやすさの面も見直され、初心者に対する歩み寄りも考慮されている。
まず、XPで活用されていたバトラーグラフィックシステムは廃止され、戦闘画面はほとんど2000と同一のものになった。これは良く言えば「原点回帰」だが、悪く言えば「また地味になった」と言える点だろう。
くわえてSE素材のほとんどが2000時代からの流用なので、人によっては「外見は新しいのになんだか味気ない」と感じさせるかもしれない。
また、XPで廃止された顔グラフィックが復活、会話画面やステータスウィンドウにおいて標準機能として表示出来るようになった。オートタイル機能はさらに強化され、タイルごとの歩行の可不可の再設定も楽になった。
XPで大幅に削られ、RGSSを用いないと再現出来なかったイベントコマンドの数々は、VXにてその多くがデフォルトのコマンドとして復活した。
おかげでとっつきにくさ自体はかなり軽減されたが、それでも復活しなかったコマンドがあり、全体数はRPGツクール2003に劣っている。
全般的に機能面では相当な充実化が図られているが、全般的にデフォルトの素材が少なめなのが欠点。
VXはあくまでデフォルトではファンタジーものを作ることに注力されているので、現代風・未来風などの素材は一切ないと言って良いくらい不足している。
その批判を考慮してか和の素材集が登場したが、当然ファンタジー素材と世界観は合わないもで、既存の素材とゲーム内で併用するのはなかなか難しいだろう。
その一方でVX Aceよりも素材の規約が緩かったおかげで素材屋では人気でありデフォルトの改変素材が豊富である。
RPGツクールVX Ace
切り札(ACE)を、あなたに。
基本概要
2011年12月15日発売、発売当初は定価13,440円。
大々的に「極上の機能」を謳っており、VXの続編ではあるが、それとは名ばかりで中身は大改革されている。
ニコニコ自作GAMEフェスに合わせて、RPGツクールVX Ace Lite ニコニコエディションという無料のツールも提供されているが、これはデータが保存出来る体験版(これまでの体験版はゲームデータが保存出来なかった)であり、名前の通り機能はかなり制約されている。
続編とは付いているものの、RPGツクール2000→RPGツクール2003のように、前作RPGツクールVXのゲームデータをVX Aceのデータとしてはコンバート出来ない。
言うまでもないだろうが、自作したグラフィックや音声素材などは基本的にAceでも流用出来る。
特徴
発売当時において10000円越えという高額なだけあって、初心者支援のための機能や素材が充実している。
もちろん上級者のわがままにもRGSSの改良版であるRGSS3が対応してくれるので、上級者が購入しても損がない出来になっている。
「すべてのニーズに出来る限りお答えした」という意欲が見られるツールであり、RPGツクールMVが出た後も信頼性が高く、それなりに使われている。
素材面
前作に比べて発売当時の値段が爆発的にあがったおかげで歴代随一の素材数はもとより、機能も相当数追加されている。
特に顔グラフィックをモンタージュ方式で作成する機能がデフォルトで搭載されたことはかなり大きいだろう。つまり今までは別ソフトとして収録されていたキャラグラ製作ツクールが、標準搭載されているということである。
正面顔しか作れない+素材がイマイチなのがネックだが、モンタージュ用のオリジナルの素材を追加すればシステム自体は活用出来る。本末転倒だけど……。
デフォルトで用意されたグラフィックもあるので、モンタージュのデザインが気に入らないユーザーは、事前に用意されたものを活用出来る。
素材自体は前作VXのものをそのまま流用したものや、それらをクオリティアップしたものが採用されている。
マップ製作においては、影ペンという、「製作者の思い通りに影の有無を指定出来る」システムが追加されたことが大きな変更点としてあげられるだろう。マップチップの指定もさらに細かく指定出来るようになったので、よりオリジナリティを出しやすくなった。
しかしマップ作りとは面倒臭さが伴うものである……そこで今回はサンプルマップが用意されることとなった。
これらは選択した後で自由に編集可能なので、気に入らなければ自分好みにアレンジすることが出来る。
余談だが、エンターブレインが直営しているエビテンで購入すると、RPGツクール SUPER DANTEとRPGツクール2のBGM(デジタルリマスター版)収録されたCDが付いてくるという特典が過去に存在した。
今は表記がないので残念ながらサービスは終了しているようだ。
システム面
キャラクターの設定に「特徴」が追加された。これはその名の通り、戦闘におけるキャラクターの個性を設定するもので、長所や短所をかなり細かく指定することが可能。
これによって前衛要素を持つキャラでもより個性を持たせ、メンバー編成をプレイヤーに考慮させやすくなった。
これに合わせてか、以前から言われていたパーティメンバーの入れ替えシステムを実装。
パーティの最大人数はデフォルトでもほぼ無制限となり、5人目以降の参加アクターも、戦闘前に並べ替える事によって、戦闘メンバーへと簡単に編成できるようになった。これにより、自分でイベントなどを駆使してパーティメンバー入れ替えシステムを作る手間が、ある程度消滅した。
これによって、プレイヤーに「キャラクターを適材適所で変更し、用いてもらう」という製作者の思惑をより実現しやすくなったことは相当に大きいだろう。
さらに、これまではマップに表示されるキャラクターは1人だけだったが、今回はRPGツクール4のように戦闘パーティ全員をマップに表示させられることも出来るようになった。当然今まで通り1人歩きも可能である。
戦闘画面は、もはやお馴染みとなったフロントビューだが、今回は第3のゲージとして「TP」が追加された。
簡単に言えばこれは超必殺技を放つためのゲージで、攻撃する・ダメージを受けるなどしてゲージを蓄積し、溜まったところで強力なスキルを放つことが出来る……というものになっており、よりキャラクターの特徴付けがしやすくなった。
このゲージは、デフォルト設定だとどんなに溜めていても戦闘終了後に数値がリセットされるが、設定によって引き継ぎが可能で、しかも個人個人で調節出来る。
また、戦闘の背景設定を、空と陸で分けられるようになり、 同じようなマップでもより変化を魅せやすくなった。
これらの初心者補助システムは、フリーツールではなかなか実現出来ない類のものであることは疑いようがない。
ウディタとの数奇な運命
RPG製作ツールを選ぶ際、選択肢としてRPGツクールの他にフリーウェアのWOLF RPGエディターが存在する。
そしてVXは、何故かウディタのリリースと被るというジンクスを背負っている。
SmokingWolf氏もこのことを話題として取り上げているように、何かの因果を感じるものがこの二つにはある。
くわえて続編となるこれらのツールの目玉追加機能(顔グラ製作など)が若干被っていることもあげられる。
住み分けとしては……。
VX Aceはその初心者でも作りやすい内容と充実したデフォ素材であることが武器。
基本から高性能であるうえ、RGSSという上級者向けの機能も搭載され、幅広い層に対応しているのも美味しい。
ウディタ2は初心者にはちょっと敷居が高いが、同時に自由度が高いというのが武器。
おまけにフリーウェアなので随時バグが訂正されるうえ、お手軽に手に入るのも魅力である。
VX Aceと比較すると、ウディタとの住み分けがある程度の完成度に達したと言えよう。
今回のVX Aceには、当時の一万円という高額である分、ある程度見合った機能が十二分に搭載されている。
何より今回は、絵が描けない人間でもオリキャラが作れるというのはやはり魅力であろう。
よく先人の感想の多くに耳を傾け、総合的に考慮したうえで自分にあったツールを選ぼう。
とりあえず小難しいコマンドとかそういうのが嫌だという人は、迷わずVXをオススメする。
関連動画
関連商品
VX
VX Ace
VX Ace Lite ニコニコエディション
「ニコニコ自作ゲームフェス」とのコラボで公開された機能限定版。2013年に期間限定で無料公開されていた。
「RPGツクールVX Ace Lite ニコニコエディション」無料限定公開!ニコニコ自作ゲームフェスに応募しよう!‐ニコニコインフォ2013.2.7
http://web.archive.org/web/20130710031608/http://www.famitsu.com/freegame/lite/vxacelite.html
関連項目
- RPGツクール
- RPGツクールMV …2015年に発売された新作。
- WOLF RPGエディター
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