「止めに来たんだよ、二人を!!!」
ガンダム・キャリバーンとは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に登場するモビルスーツである。
※当記事はSeason2後半部のネタバレを含むので注意してください※
概要
ガンダム・キャリバーン GUNDAM CALIBARN |
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開発・製造 | オックス・アースコーポレーション ヴァナディース機関 |
型式番号 | X-EX01 |
操縦系統 | GUNDフォーマット |
頭頂高 | 18.2m |
重量 | 44.7t |
固定武装 | 頭部ビームバルカン×2 ビームサーベル |
オプション武装 | バリアブルロッドライフル |
パイロット | スレッタ・マーキュリー |
初登場は第22話「紡がれる道」。第21話「今、出来ることを」にて『「化け物」の名を与えられたGUND-ARM』として存在が語られ、第22話でお披露目と相成った。「終盤まで情報が徹底して伏せられ、終盤にいきなり登場するガンダム」というと、20年前の『機動戦士ガンダムSEED』におけるプロヴィデンスガンダムあたりを思い出す古のガノタも多いのではなかろうか。
ガンダム・ルブリスと同時期に、オックス・アース・コーポレーションとヴァナディース機関が共同開発した数多の試作GUND-ARMの内の一機である。本機のGUNDフォーマットにはデータストームのフィルターが無く、パイロットに非常に大きな負荷がかかるために量産は行われず、長く日の目を見ることのない機体であった(詳しくは後述)。
機体カラーは純白を基調に灰のアクセントが入り、頭部ブレードアンテナは漆黒、腰とつま先は赤、スラスター周りに黄の差し色が入る。カメラアイの色はガンダム・エアリアルと同様に黄緑色。
各部のシェルユニットの配置も含めてルブリスと同じ「実験機」らしいカラーリングだが、曲面主体のルブリスに対して、こちらの外装は直線主体。他ガンダムで例えるなら『機動戦士ガンダムNT』のナラティブガンダムC装備が近い。ロボットアニメに慣れていない人だとパッと見で区別がつかないレベル。
肩部を盛って背中がすっきりしがちなGUND-ARMとしては珍しく、しっかりしたバックパックを装備している。更に足の甲を伸ばし、踵を引き込むことで、踵のスラスターを脚下に向けるハイマニューバモードに切り替わる。機動力なら21年後の現行機にも引けを取らない。
クワイエット・ゼロの中核としてプロスペラに持ち去られたガンダム・エアリアル(エリクト)の元へ赴くため、スレッタはデータストームのリスクを負いながらも、新たな乗機として搭乗することになる。
装備
- ビーム・バルカン
いつもの。頭部に2門搭載。 - ビーム・サーベル
これまたいつもの。背中に2基搭載。 - バリアブルロッドライフル
右手で保持する長大なビーム砲。見た目通り高火力で、並のMSなら一撃で粉砕する。持続照射で広範囲を薙ぎ払う、ガンダムシリーズで言う「ギロチンバースト」も可能。
また、尾部には展開式の「クアドラ・スラスター」が内蔵され、追加の推進器として機能する。
どことなくガンダムエックスのサテライトキャノンがちっちゃくなったような形状だが、これを携えたキャリバーンを側面から見ると、さながら空飛ぶ箒に乗った魔女にも見える。まさに「水星の魔女」と呼ぶにふさわしい。
…以上である。大型ビーム・ライフルに火力と機動力の多くが集約されており、砲がメインで機体は付属物という開き直りすぎた構成となっている。
一応、機体各部にはガンビットや追加装備を接続できそうなガンプラの共通ジョイントハードポイントが設けられているのだが、それらの装備は流石に保管されていなかったようだ。ルブリスやエアリアルのようなビットオンフォームも見られたかもしれないだけに惜しまれるところである。
後に明かされたキャリバーン・ビットオンフォームについて(クリックでネタバレ事項を展開します)
最終話にてスレッタと和解したエリクト=エアリアルは、大破した自分の代わりに、残存するガンビットをキャリバーンに装着させた。そして、スレッタによってエリクトのパーメット・スコアは限界を超えて上昇し、キャリバーンのシェルユニットは赤→青→白を超えて虹色に輝く。これこそが「新商品B(仮)」として長く伏せられていた姿そのものであった。
GUNDフォーマット
キャリバーンはルブリスと同時期に建造された、すなわちGUND-ARMとしては最初期の機体の一つであるわけだが、ルブリスと決定的に違う点があった。パイロットに流入するデータストームのフィルターが非搭載なのだ。
フィルター有りのGUND-ARMと同量のパーメットで、より高いスコアを発揮することができる(=同じスコアでもパイロットへの総流入量自体は少ない)という利点こそあるが、パイロットの生命保護を一切担保しない設計であることには変わりない。このため本機はルブリスとのコンペティションに敗北し、その後は研究開発の全記録を抹消、封印されることとなる。
『PROLOGUE』で描かれたヴァナディース事変の際、経緯は不明ながら、キャリバーンは宇宙議会連合に押収され、極秘裏に保管されることとなった。それから21年が過ぎた本編時代では、最早キャリバーンの存在を知る者はごく一部の議会連合関係者と、ベルメリア・ウィンストンやプロスペラ・マーキュリーら、ヴァナディース機関の数少ない生き残りのみである。
名前の由来
「CALIBARN」の綴りから2つの元ネタが推察されている。
一つはウィリアム・シェイクスピアの戯曲『テンペスト』の「キャリバン(Caliban)」 。魔女シコラクスの息子である「怪物」である。
魔女と怪物の間に生まれ、その生まれから故郷を追放され孤島で生きていたところ、弟の策略により流刑されて孤島に来た主人公・プロスペローとその娘に襲い掛かったが退治され、そのまま彼らの奴隷として雌伏の期間を過ごしていた。プロスペローが自分を流刑にした弟への報復の開始によって監視が手薄になったことを機に、キャリバンもまた自身を奴隷としたプロスペローへの復讐を開始するという役どころ。
『水星の魔女』は『テンペスト』を作中設定の原案にしている作品ではあるが、当の『テンペスト』劇中でのキャリバンの復讐劇は失敗に終わる。
もう一つは最早説明不要、『アーサー王伝説』に登場する王者選定の聖剣エクスカリバーの異名の1つ「キャリバーン(Caliburn)」。伝説の作成当初はカリブルヌスやカリバーンと呼ばれていたが、翻訳(誤訳)を繰り返すうちに頭に「ex」が付いてエクスカリバーと呼ばれるようになったとされるが、本機の形式番号も「X-EX01」である点からも、少なからず意識されていると思われる。
余談だが、エクスカリバーはアーサー王2本目の剣と解釈される場合もある。ここも『ゆりかごの星』にてガンダム・エアリアルが「スレッタの剣」と表現されている点とダブる(キャリバーンはスレッタ2本目の剣というわけである)。1stOP「祝福」の歌詞「いつかその胸に秘めた 『刃』が鎖を断ち切るまで」や2ndOPの題名「slash」もこの解釈を後押ししているとの声もある。
またキャリバンは作中で「魚」との関りがあり、エクスカリバーはアーサー王が「湖の乙女」から受取った伝説がある。どちらも「水」に関わる要素を持っており、「水星」の性を持つスレッタと連なる面を持ち合わせている。
余談
- ガンダムシリーズでは定番となっている主役機の交代だが、TVシリーズで後者のパターンにおいて登場がラスト4話というのは(2クール放映ということを考えても)かなり遅い時期と言っていい。ガンダム・シュバルゼッテがスレッタの乗り換え候補として挙がっていた事と併せて、視聴者を驚かせた。
完全な交代ではなく強化改修のケースを含めても、前作『SDガンダムワールドヒーローズ』の斉天大聖悟空インパルスガンダム(最終話)、『ガンダムビルドダイバーズRe:RISE』のリライジングガンダム(ラスト2話)、『SDガンダム三国伝』の翔烈帝龍装劉備ガンダム(同じくラスト2話)くらいなので、その遅さがよくわかる。 - 『魔女モチーフのモビルスーツ』と聞いて、2015年に行われた「Gのレコンギスタ ガンプラコンテスト」のある一幕を思い出した超コアなガンダムファンもいるのではなかろうか。
バンダイホビー事業部から参考出品された「G-アルケインの魔女風改造」に対し、ガンダムの生みの親・富野由悠季が「良い発想だが、発想だけに囚われて制作アイデアがなく、まとまらなかった感じ」「理屈はいくらでもつけられるが製作者が納得しても第三者は評価しない」(意訳)という、クリエイターに対する非常に耳の痛い助言を出した一幕である。
キャリバーンはこの時の富野氏の指摘を受け止め、上手く翻案したようなデザインになった。バンダイホビーの面目躍如というところか。
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関連リンク
関連項目
- 機動戦士ガンダム 水星の魔女
- スレッタ・マーキュリー
- モビルスーツ / ガンダムシリーズのMS・MAの一覧
- ガンダム
- ガンダム・エアリアル、
- ガンダム・ルブリス - コンペティション相手
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