ジンダー・マハルとは、WWEに所属するプロレスラーである。人生何があるか分からない(大人の事情ともいう)故にWWEの最高峰までに上り詰めてしまった、凄いんだか凄くないんだか良く分からない存在。
ギミック上はインド人となっているが、カナダ人である。まあWWEでは時にジャマイカ人がガーナ人になったりするので小さなことである。
概要
キャリア初期
新日本のLA道場で下積みの後、2009年にトライアウトでWWEに合格、ECW所属となる。当時は『平和をもたらす男』とか呼ばれてたとかないとか。まあこの通り、いてもいなくても大差ないジョバーだった。2012年頃には3MBという余りもの寄せ集めロックバンドユニットを結成。本業ヴォーカルのクリス・ジェリコを引き込もうとするなど色々画策するがジョバーの域を抜け出すことはならず、忘れられたころにひっそり解雇される。その後インディー団体で破壊王の息子・橋本大地と試合したりしてたらしい。
2016年夏にWWEに復帰するが、その存在は相変わらずいるかいないか良く分からないまま。なんせ復帰の扱いは3MB時代の盟友(?)ヒース・スレーターが契約を獲得するために奔走するストーリーで、時のGMミック・フォーリーから契約を賭けて戦うよう言われ、『俺たちは親友だぞ!戦えるわけないじゃないか!』とスレーターが言う裏でひっそりとゴングを鳴らさせて勝つという逆噛ませ犬とでもいうべきポジションである。案の定その後はいるんだかいないんだか忘れられた元通りの存在となった。PPVどころかRAWで試合をしたかどうかさえ覚えていない。
この時点で1年後彼があんなことになるなど誰が想像しただろうか…。
まさかの飛躍
時は移ろい17年春のWrestleMania33、キックオフショーで開催された『アンドレ・ザ・ジャイアントバトルロイヤル』、少々厳しい言葉を使えば『C級ジョバーの皆さんを祭典に出してあげるお情け試合』に出場し、一応ラスト2まで残るというそれなりの活躍を見せる。更に祭典後にSDにトレードされた直後、ランディ・オートンが持つWWE王座への挑戦権争奪戦に出場する。正直、彼のこれまでの実績を想えば言うまでもなく最大のチャンスである。
ただしこの試合、6人が6人揃いも揃って燻ってた選手達である。マハル以外の5人を列記すると、
- サミ・ゼイン…中邑真輔のWWEデビュー戦の相手であり、日本でもDDTなどインディー団体で活躍した、飯伏幸太並みのプロレス狂人。そういうわけで技術面は評価されているがビンスには冷遇されているようで、NXTからの昇格後は未だタイトル歴がない。いきなり最高王者は時期尚早。
- ドルフ・ジグラー…WWE王座をはじめとする数々の戴冠歴を持ち実績はトップ、かつハードバンプは屈指のものを持つ選手なのだが、脳震盪を起こしてからというもの、訴訟に敏感なWWE社内では軒並み冷遇され、近年はかつての栄光から考えると悲しいほどの境遇におかれている。とはいえ、実績を考えれば消去法的に彼しかいないという見方も成り立つ。
- ルーク・ハーパー…昨年のSDでは教祖ワイアットの忠実な僕として、突如加わるとか言い出したランディ・オートンの魂胆を見抜き警告こそしていたが、それを見抜けなかった無能教祖様より破門された不憫な立ち位置。大柄ながら高い技術を持っておりマニアの間では評価の高い一人だったが、シングルでの実績は皆無。今日もハーパーで(ry
- エリック・ローワン…同じく教祖ワイアットの忠実な僕。こちらは怪我で長期欠場のためストーリーには殆ど絡まなかった。なおその間に教祖様はRAWに移動した模様。
- モジョ・ローリー…通称『やる気のある塩』。一応マハルに勝ってアンドレ杯に優勝したのだが、いかんせん技術は拙すぎるとしか言いようがなく、勢いだけが取り柄の人。NXTではベビーフェースなのにブーイングされるという一幕も。
と、『誰が勝っても王者とか無理だろ』としか言いようがない、1番人気に二桁のオッズがつく穴馬しかいない争いであった。そんな中、どういうコネクションか知らないがシン・ブラザーズなるインド人兄弟を突如介入させ、まんまと挑戦権を奪取した。
誰が勝っても大穴のような戦いだったが、いざカードが決まってみると、『14度の世界王者にしてWWEの誇る天才サラブレッド』VS『1か月前までいてもいなくても大差なかった見た目の汚い奴』というカードに。『こんなのに最高王座を巻かせたらWWEも終わりだな』とはユニバースの総意だったろうが……案の定と言うべきか、大して綺麗でもないコブラクラッチスラム(ザ・クハラス)でとうとう彼は最高王座にまで到達してしまった。当然こんな扱いのオートンは内心煮えくり返っていたのか、酒に酔った勢いでインディー選手Disに走り、それがヤングバックスのおもちゃになったのだがそれは別の話。
何がどうしてこうなった?-インド進出という『事情』-
少々大人の事情に触れておくと、前年(2016年)よりWWEは本格的に世界戦略を加速させ始めた。この1年半の動きを整理すると、
- これまでさほど手をつけてこなかった日本から中邑真輔、AJスタイルズという新日本の二大スターを一気に引き抜く。両者のその後の活躍は説明不要。
- オンデマンドサービス『WWEネットワーク』のサービスを世界展開。2017年7月現在全世界で160万を超える会員数を誇る。新日本プロレスがこれにならって始めた『新日本プロレスワールド』の会員数が5万弱と言えば規模の違いは分かっていただけるだろう。
- 世界各国からクルーザー級(日本でいうジュニアヘビー級)の有望選手を集め『WWEクルーザー級トーナメント』を開催。その裏でこの階級の選手と大量に契約を結ぶ。なお、トーナメントの眼玉だった飯伏幸太とザックセイバーJr.との契約を逃した模様。
- 更に2017年1月にはWWE・UK王座を設立し、欧州本格展開への足掛かりとしている。というわけで新日にもそのうちIWGP・UK王座ができるだろう。他にもドイツ王座を設立するという話も。また夏には『メイ・ヤング・クラシック』なる女性スーパースター発掘トーナメントを実施。日本からはスターダムの宝城カイリ改めカイリ・セインが参戦。
といった具合。そして彼らが次に目を付けたのは、近い将来中国を追い抜き、世界最大の人口を誇るとされるインドである。プロレス未開のこの地にWWEを広める――その広告塔として使われたのが彼だったのだ。実際インド人ヒールとして活動しているが、ヒンディー語実況では『手段を択ばず王座を奪いに来るアメリカ人・オートンを迎え撃つヒーロー』として扱われているらしい。なにがなんだか。
『立場が人を作る』という期待もあったがまあそうでもなく、正直技術面も向上してるかと言われたら微妙なところだが、なんにせよ広告塔にされてしまった以上は今後の彼の成長に期待するしかないだろう。
問題はインド市場を重視した効果が思った以上に薄く、加えて他のユニバースから軒並みダメ出しをされているという状況で、ビンスが短気になってしまいあっさりとジョバー落ちという可能性が多少なりとも考えられることだ。
シン・ブラザーズ
シン・ブラザーズとは、オートンのストレス解消サンドバッグ、投げ捨てて遊ぶものである。
どう考えてもマハルよりこいつらの方が頑張ってる。詳しくは関連動画を参照されたし。
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関連項目
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