ギルド(英:guild)とは、中世からの西欧における商工業の職業ごとの組合のこと。
またそこから転じて、「~組合」「同業者団体」「~協会」のような意味でも使われる。
概要
ギルドとは、中世ヨーロッパに存在していた商工業者の同業者組合。商人のためのギルドは11世紀に誕生。手工業ギルドは12世紀に誕生した。羊毛の商人たちが集まって羊毛商人ギルドを、刃物職人たちが集まって刃物職人ギルドを形成するもので、この点、下記のファンタジーのなかのギルドが「冒険者ギルド」「盗賊ギルド」など職業別に分かれているのは、元ネタに近いといえる。
ギルドによる統制で利権を得るなど独占的な面があり、自由競争を阻害していた。16世紀以降、近代産業が発展するとともに衰退を迎えている。
上の画像のように、自由競争大好きアダム・スミスによってボコボコに言われているが、そもそも彼は18世紀、ギルドの全盛期から数百年は後の時代を生きた人間である。もちろんギルド制は良い側面も山ほどあった。組合員のギルドへの納入金を資本として開業したばかりの若手に運転資金を貸し付けたり、引退したベテランに年金を支給したりと、ギルドは同業者内での相互扶助のための団体という側面が強かったのである。職人になるには、まず親方の下で住み込み無給で修業を重ねなければならないが、徒弟を卒業しても技術はあるが金がない。今までの親方の下で雇われとして働くか、開業するかということになるが、どちらにせよ金銭援助が必要で、そこをギルドという形で支援していたのだ。そしてこの開業した駆け出しの職人も、慣れてくれば親方として徒弟を受け入れて……以下無限ループというわけ。一方、このエリア内で営業したかったらギルドに参加しなければならない、など、域内で独占を行っていたのも事実ではある。これは独占というと聞こえが悪いが、生産や品質をコントロールすることで、粗悪品の流通や価格競争を避けるための仕組み。
近代に入って産業や社会の発展にあわせ衰退していったのも事実だが、これもただ淘汰されたと考えるべきではない(と書いてる人は思う)。16世紀はプロテスタント台頭の時期であり、カルヴァンによる予定説(死後救済されるかどうかは神があらかじめ決めており、現世でいくら善行を積もうが救済には関係ないのでぶっちゃけ善行は無意味)が西ヨーロッパを席巻した時期である。これは互助という概念と徹底的に相性が悪く、豊かな人が近隣の困窮した人を助けるという住民間の救貧が廃れ、貧富の差が明確に表れ始める時期でもある。ロンドンを例に挙げれば、1598年の救貧法制定により公的救貧の制度が生まれたことや、1666年のロンドン大火でギルドの資金源が打撃を受け相互扶助が縮小したことなどにより、みんなで助け合うという考え方自体が衰退していき、ギルドの時代から自由競争の、資本主義の時代へと移り変わっていくのである。
ゲームに登場するギルド
ギルドは多くのファンタジー系のTRPG(テーブルトークRPG)において採用されている組織でもある。盗賊が所属する盗賊ギルド、冒険者が所属する冒険者ギルドなどがあり、上納金を納める代わりに仕事を斡旋してもらったり、何かあったときに情報を提供してくれるというのが一般的である。
また、TRPG以外にもTVやPCなどのコンピュータ系ゲーム、マンガ、アニメなど様々な媒体でもギルドが使われている。共通の目的を持った仲間が集まったチームのようなものをギルドと呼び、時に「クラン」と呼ばれることもある。行動を共にするパーティーとはまた少し違った意味合いを持つ。
ゲームによって異なるが、MMOなどのオンラインゲームでは個性や所属を明示するためキャラクター名の上にギルド名が表示されることが多い。
関連静画
MMDモデル
関連項目
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