京王6000系とは、かつて京王電鉄が保有・運行していた旅客用車両である。
概要
すでに当時具体化していた都営新宿線との相互乗り入れ仕様車として、1972年から導入された京王初の20m車。7000系が導入されて以降も必要に応じて当系列の増備が行われ、1991年までの20年間で304両が製造・入線した。
京王線の近代化・輸送力増強に大きく貢献し人気も高かった。7000系はステンレス車体になったとはいえ、デザイン・設計は当系列に準じたものであり、影響の大きさがうかがえる。
車体等
前述の通り20m車だが、結果的に京王の20m車で唯一の普通鋼製となった。5000系(初代)と似ても似つかぬ丸みの乏しい車体で、側面の裾絞りもないが、全幅自体は2800㎜である。前頭は三面折妻で中央に貫通扉を持つ3枚窓だが、向かって左の窓のみ小さい左右非対称のデザインである。前照灯が窓下に移り、行先表示器・種別表示器が窓上に移っている。登場時には先頭車にスカートは無かったが、後にほとんどの先頭車に装備されるようになった。
側面は1段下降窓を採用し妙に角張った窓になっている。扉も初めて1300㎜幅両開き式を採用、ドア窓・戸袋窓・下降窓の高さをすべて揃え、すっきりしたサイドビューはフロントビュー以上に評価が高い。また新製時から行先・種別表示器を装備している。
カラーも5000系(初代)譲りのアイボリー/エンジの帯であったが、2002年以降京王レッド・京王ブルーの帯に変更された。
車内の座席はロングシート、貫通路は狭幅で扉付になっている。後の更新修繕で、シートが区分の入った紫モケットのタイプに更新された。
走行機器等
主電動機出力は150kw。初期の車両こそ5000系(初代)より引き継ぐ抵抗制御車だが、その後は回生制動付界磁チョッパ制御を、井の頭線3000系に続いて採用した。ブレーキは電気指令式でT型ワンハンドルマスコンも合わせて採用されている。全車冷房車だが、初期の先頭車は分散式(集約分散式)である。なお7000系のようなVVVFインバータ制御車への更新はおこなわれなかった。
番台区分
0番台
基幹区分で、5両+3両の8両編成7本。1972年導入の5両編成6本が抵抗制御車で、1973年以降導入の3両編成7本と5両編成1本が界磁チョッパ制御車。都営新宿線乗り入れ非対応。
長年休日の京王八王子・高尾山口への特急に使用されてきた花形だが、2004年と早めに区分消滅してしまったので影が薄い存在などと言われてしまった。
10番台
全車両界磁チョッパ制御車で、8両編成10本と2両編成11本。乗り入れ非対応。
晩年、乗り入れ対応改造される編成が相次いだ。2010年に区分消滅。
20番台
1991年導入の5両編成4本。混雑対策にお隣の会社の車両のパクリで5扉車として製造された。20m車で6扉ではなく5扉なのも、また多扉車で普通鋼製というのも国内唯一。扉(開口部)が増えたことから剛性維持のため、京王で初めて戸袋窓が省略され、扉間の窓も1枚である。
ただ、他車との乗車位置の一貫性がないことから乗客からは不評で、結果的に4編成あったうち6721Fは相模原線の各停運用に使われた後廃車、6723F・6724Fは4扉化されて使われたものの廃車、6722Fは4両に短縮したうえで動物のラッピングが施され動物園線の専属車両となり、当系列の中で最後まで活躍していた。
クハ6722の先頭部は京王れーるランドで運転体験シミュレータの筐体として利用されている。また、クハ6772の先頭部は、京王れーるランドで車掌体験アトラクションの筐体として利用されている。
30番台
都営新宿線乗り入れ対応車両で8両編成と2両編成。0番台や10番台からの改造車と新造車が存在した。8両で6M2Tと電動車比率が少し高い。
9000系に置き換えられ2009年に区分消滅。このグループのデハ6438が2013年より京王れーるランドに保存されている。
引退
2011年に使用が開始されたATCの取付対象から外れ、同年3月までに全車引退となった。譲渡車は存在しないが、一部車両(6707F、6807F)が事業用車であるデワ600形に改造された他、運転台や行先表示器は3000系の他社譲渡時に、パンタグラフと冷房装置は高松琴平電気鉄道の600形・700形に使われているらしい。なお、デワ600形は2015年に登場したデヤ901・902形(9000系ベースの事業用車)に置き換えられて2016年に廃車された。
余談
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
京王線の車両 |
現用車両: 7000系 ─ 8000系 ─ 9000系 ─ 5000系(新) |
引退車両: 中型車 ─ グリーン車 ─ 5000系 ─ 6000系(今ここ) |
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