外来種とは、もともとその地域にいなかった生物のうち、人為的に入ってきたものを指す言葉である。
それに対して、その地域にもともといた生物を在来種と呼ぶ。
概要
外来種というと一般的に排除しなければならないイメージが持たれているが、そもそも移ってきた時期をいつからのものとするかで異なる。
日本にたくさん生えているシロツメクサ(一般的には「クローバー」)は江戸時代ごろのヨーロッパからの外来種であるが、特に目立った害を引き起こしているわけではない。
また、日本で親しまれている「ニホンヤモリ」のように、「ニホン」という名がついていたとしても、実際はユーラシア大陸からの外来種と考えられているものもある。
このように、外来種が必ずしも排除されなければならないというわけではないし、その定義も人によってさまざまである。
しかし、外来種には生態系に影響を及ぼすものも多いため、日本の外来生物法では明治時代以降に入ってきたもののうち、生態系や人の生命・身体、農林水産業に危険を及ぼす可能性があるものについて、規制・防除の対象とするものを「特定外来生物」としている。
ペットとして持ち込まれたもの(例:アライグマ)や、他の動物の駆除用に持ち込まれたもの(マングース)、特に意図せずに持ち込まれたもの(セアカゴケグモ)など持ち込まれる原因は多様だが、人間によって持ち込まれたというところは共通する。
ゲンジボタルやメダカの川への放流などが地域によって行われているところがあるが、例え日本国内の移動であっても場合によっては外来種となる場合もあるので注意が必要である。
例えば、メダカはキタノメダカとミナミメダカに分かれており、さらに遺伝子グループで計15の種類に分かれている[1]。
ある種類の生物を、別の種類のいるところに放流した場合外来種となり得る。
生物を飼う時点からその生物についてよく調べておくこと、また旅行に行ったときに何も調べずに生物を持ち帰って育てるということがないようにすることが重要である。特に後者については、海外旅行などの際は法に触れる場合もあるのでさらなる注意が必要である。
危険な外来種を見つけた場合は、市役所や保健所などの行政機関に相談すると対応してくれることが多い。
特定外来生物一覧
太字はニコニコ大百科に記事があるもの。「×」は在来種との交雑種を示す。
哺乳類
- フクロギツネ
- ハリネズミ属
- タイワンザル
- カニクイザル
- アカゲザル
- タイワンザル×ニホンザル
- アカゲザル×ニホンザル
- ヌートリア
- クリハラリス(タイワンリス)
- フィンレイソンリス
- タイリクモモンガ(エゾモモンガを除く)
- トウブハイイロリス
- キタリス(エゾリスを除く)
- マスクラット
- アライグマ
- カニクイアライグマ
- アメリカミンク
- フイリマングース
- ジャワマングース
- シママングース
- アキシスジカ(アクシスジカ)属
- シカ属(タイワンジカ、マリアナジカなどで、ホンシュウジカなどは含まない)
- ダマシカ属
- シフゾウ
- キョン
鳥類
爬虫類
- カミツキガメ
- ハナガメ(タイワンハナガメ)
- ハナガメ×ニホンイシガメ
- ハナガメ×ミナミイシガメ
- ハナガメ×クサガメ
- スウィンホーキノボリトカゲ
- アノリス・アルログス
- アノリス・アルタケウス
- アノリス・アングスティケプス
- グリーンアノール
- ナイトアノール
- ガーマンアノール
- アノリス・ホモレキス
- ブラウンアノール
- ミドリオオガシラ
- イヌバオオガシラ
- マングローブヘビ
- ミナミオガシラ
- ボウシオオガシラ
- タイワンスジオ
- タイワンハブ
両生類
- コキーコヤスガエル
- ジョンストンコヤスガエル
- オンシツガエル
- アジアジムグリガエル
- プレーンズヒキガエル
- キンイロヒキガエル
- オオヒキガエル
- アカボシヒキガエル
- オークヒキガエル
- テキサスヒキガエル
- コノハヒキガエル
- ヘリグロヒキガエル
- キューバズツキガエル(キューバヒキガエル)
- ウシガエル
- シロアゴガエル
魚類
- ガー科(アリゲーターガーなど)
- ガー科との交雑により生じた生物
- オオタナゴ
- コウライギギ
- チャネルキャットフィッシュ
- ブラウンブルヘッド
- フラットヘッドキャットフィッシュ
- ヨーロッパナマズ(ヨーロッパオオナマズ)
- カワカマス科
- カワカマス科との交雑により生じた生物
- カダヤシ
- ガンブスィア・ホルブロオキ
- ブルーギル
- コクチバス(ブラックバスの一種)
- オオクチバス(ブラックバスの一種)
- ラウンドゴビー
- ナイルパーチ
- ホワイトパーチ
- ストライプトバス
- ホワイトバス
- ストライプトバス×ホワイトバス
- ラッフ
- ヨーロピアンパーチ
- パイクパーチ
- ケツギョ
- コウライケツギョ
昆虫類
- アカボシゴマダラ(奄美亜種を除く)
- クビアカツヤカミキリ
- アングラートゥスマルバネクワガタ
- バラデバマルバネクワガタ
- ギガンテウスマルバネクワガタ
- カツラマルバネクワガタ
- マエダマルバネクワガタ
- マキシムスマルバネクワガタ
- ペラルマトゥスマルバネクワガタ
- サンダースマルバネクワガタ
- タナカマルバネクワガタ
- ウォーターハウスマルバネクワガタ
- テナガコガネ属(ヤンバルテナガコガネを除く)
- クモテナガコガネ属
- ヒメテナガコガネ属
- セイヨウオオマルハナバチ
- ヒアリ
- アカカミアリ
- アルゼンチンアリ
- コカミアリ
- ツマアカスズメバチ
甲殻類
- ザリガニ科アスタクス属
- ウチダザリガニ/タンカイザリガニ(シグナルクレイフィッシュ)
- ラスティークレイフィッシュ
- ミナミザリガニ科ケラクス属
- モクズガニ属(モクズガニ(Eriocheir japonica)を除く)
クモ・サソリ類
- キョクトウサソリ科
- ジョウゴグモ科アトラクス属
- ジョウゴグモ科ハドロニュケ属
- Loxosceles reclusa(イトグモ科)
- Loxosceles laeta(イトグモ科)
- Loxosceles gaucho(イトグモ科)
- ゴケグモ属(セアカゴケグモ、ハイイロゴケグモなど)
軟体動物など
植物
- オオキンケイギク
- ミズヒマワリ
- ツルヒヨドリ
- オオハンゴンソウ(ルドベキア、ハナガサギク、ヤエザキハンゴンソウなど)
- ナルトサワギク
- オオカワヂシャ
- ナガエツルノゲイトウ
- ブラジルチドメグサ
- アレチウリ
- ナガエモウセンゴケ
- オオフサモ
- ルドウィギア・グランディフロラ(オオバナミズキンバイなど)
- ビーチグラス
- イネ科スパルティナ属
- ボタンウキクサ
- アゾラ・クリスタータ
(環境省「特定外来生物等一覧」から引用)
関連動画
関連項目
脚注
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