早川書房とは、東京に本社を構える出版社。翻訳ミステリとSFに強いとされる。
概要
1945年8月設立。当初は演劇に関する出版物を多く出していたが、'50年代にミステリとSFに参入。現在は主にSF・ミステリの出版社として知られるが、演劇関係の出版も続けている。他には科学系を中心としたノンフィクションなど。
特に1956年創刊の『エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン』 (後の『ミステリマガジン』) と1959年創刊の『S-Fマガジン』は日本に両ジャンルを定着させる上で多大な貢献を果たした。
とりわけSFに関しては、『S-Fマガジン』創刊から半世紀以上、現在に至るまで「SFといえばハヤカワ、ハヤカワといえばSF」と言っていいほどの、日本のSF出版の中核的存在であり続けている。
現在、SFの新人賞としてハヤカワ・SFコンテスト、ミステリの新人賞としてアガサ・クリスティー賞を主催している。
主な出版物
定期刊行物
- S-Fマガジン
1959年創刊。月刊のSF専門誌。2015年から隔月刊になった。「SFマガジン」と書かれることが多いが、正式名称はSとFの間にハイフンが入る。通巻700号を越え、現在まで続く日本唯一のSF専門誌である。100号ごとに特大号が出て、オールタイムベスト投票が行われる。 - ミステリマガジン
1956年、「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン」(「EQMM」)の日本版として創刊。1966年にEQMMとの契約が光文社に移ったため、「ハヤカワ・ミステリマガジン」に改称(これが現在も正式名称)。こちらも2015年から隔月刊化され、2025年からは季刊化。2008年から2012年までムックとして出ていた『ミステリが読みたい!』は、2013年以降はミステリマガジンの誌上企画として続いている。 - SFが読みたい!
2000年に「S-Fマガジン」増刊として創刊、翌年から書籍として毎年2月に出ている、SFの年間ランキングを扱うムック。要するに『このミステリーがすごい!』のSF版だが、ミステリーランキングと違い、小説以外の評論やエッセイがランキングに入ってくるのが特徴。もともとはS-Fマガジンで行われていた投票企画をムックとして独立させたもの。 - 悲劇喜劇
1947年創刊の演劇専門誌。1928年に岸田國士が立ち上げた同名の演劇専門誌がルーツ。最初は季刊で1950年から月刊化、60年代に一時休刊したが復活し、2015年に隔月刊化して現在も刊行中。
叢書
- ハヤカワ文庫
海外SF、翻訳ミステリ、国内作品、海外ファンタジー、ノンフィクションなどを収録する文庫。収録する作品のジャンルごとに文庫内レーベルがいろいろある。詳しくは当該記事参照。 - ハヤカワ・ポケット・ミステリ
1953年創刊。現在も刊行され続けている、翻訳ミステリを収録する叢書。通称「ポケミス」。新書判で天地が小口染めされておりビニールカバー付きという特徴的な装丁をしている。この叢書の刊行で早川書房は第2回江戸川乱歩賞を貰っている。ごく稀に日本人作家の作品が収録されることも。 - ハヤカワ・ミステリワールド
1992年創刊。四六判。国内ミステリーの新作を不定期に刊行する叢書。たまにミステリーには分類しにくい作品も出る(小池真理子の直木賞受賞作『恋』とか)。 - ハヤカワ・SF・シリーズ
翻訳SFを刊行する叢書。1957年「ハヤカワ・ファンタジイ」として創刊。1962年「ハヤカワ・SF・シリーズ」に改称。1974年刊行終了。ポケミスと同じ装丁の新書判で、銀色の背表紙から「銀背」と呼ばれる。『S-Fマガジン』とともに日本にSFというジャンルを定着させた立役者。 - 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ
2011年創刊。「銀背」を同じ装丁で37年ぶりに復活させた翻訳SF叢書。叢書名の☆がどこから出てきたのかは謎。 - ハヤカワSFシリーズJコレクション
2002年創刊。四六判変形ソフトカバー。通称「Jコレ」。国内SFの新作を刊行する叢書。90年代「冬の時代」といわれた日本SFを21世紀に入って復活させた立役者。2015年で刊行終了。詳しくは当該項目参照。 - 想像力の文学
2009年創刊。四六判。SFの枠に収まりきらないスリップストリームや前衛文学系の国内作品を刊行する叢書。2010年までに10冊を刊行して以来音沙汰がない。 - ハヤカワ新書
2023年創刊。早川書房初の教養新書レーベル。日本人著者による書き下ろしがメインだが、たまに翻訳ものも出る。
関連項目
親記事
子記事
兄弟記事
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