曖昧さ回避
概要
日本では青木ヶ原樹海(富士の樹海)が特に有名で、単に樹海と言えばこちらを表すことが多い。ただし富士の樹海だけが樹海ではなく、海のように深い森林は特に樹海と名が付けられていなくとも樹海と呼んで差し支えない。
青木ヶ原樹海
青木ヶ原樹海とは山梨県にある、富士山の北西に広がる森林地帯のことである。
冷え固まった溶岩流の上に出来た、世界的にもかなり珍しい森。地表のすぐ下が岩であるため根があまり深くまで張れず、一定の高さまでしか樹木が成長できない。そのため上から見渡すと同じ高さの森があたかも海のように見え、「樹海」の名が付いたという。
富士の裾野全体を被っているようなイメージがあるかもしれないが、別にそういうわけではない。富士山の北西部の裾野の一部だけである。以下樹海と書けば青木ヶ原樹海を表すこととする。
「自殺の名所」「入ったら二度と出られない」などのイメージから樹海に対し恐ろしい印象をもっている日本人は多い。しかし多様な動植物、綺麗な景観、首都圏から近いことなどから優れた観光地としての側面も持っている。特に複雑な形状で固まった溶岩流や火山ガスが抜けたあとに出来た風穴は圧巻であるし、溶岩の表面を一面に覆うコケ類は非常に美しい。
たしかに溶岩が固まった足場は悪く、深い森なので迷いやすいが、樹海内にはきちんと遊歩道が整備されているためそこから外れなければ安全に観光を楽しむことができる。他の観光地と同じく観光客によるゴミのポイ捨てや、マナーのない来訪者による自然破壊などが問題になっている。
自殺の名所
上記のように「入れば二度と出られない」という過度のマイナスイメージなどから自殺の名所となってしまっている。(因みに、自殺者の遺体は遊歩道からさほど離れていない場所でよく見つかるそう。また、自殺者の死因の多くは縊死(首をつって死ぬこと)である)その影響を大きく受けて、人口10万人あたりの自殺者数を表す「自殺率」において山梨県は近年の発表でワースト1位である(ちなみにそこに続くのは青森、岩手、秋田の東北地方)。もちろんそれを良しとしているわけではなく、ボランティアによる見回りなどでなんとか改善を図ろうとはしている。また、自殺率について警察庁が自殺地別でカウントしており、総務省が発表する出身地別の場合は山梨県は10位以内に入っていない。「山梨県での自殺者が多い」のであって「山梨県民の自殺者が多い」わけではないので。
身元が分からない遺体も多く、その遺体は官報に掲載され、行旅死亡人として税金で処理される。
またネット上では自殺の名所という樹海のイメージを受けて、自殺そのもののこと、もしくはそういったことになる状況を表すスラングとして用いられている。
間違った情報
よく「青木ヶ原樹海に入ると溶岩の磁場の影響で方位磁石が回ってしまうため役に立たない」や「生い茂る樹海に遮られて電波が届かないので携帯電話が通じない」という迷信が伝えられるが、これらはほぼデマである。
方位磁石については地面に置けば回ってしまう箇所も確かにあるが、人が手に持っていた場合(大体地面から1m離した状況)だと普通に機能する。そもそもそれだけ離していても地場の影響が出るようであれば靴の金属に反応してまともに歩けないし、樹海には国道が横切っているがそこを走行しただけで自動車は故障してしまう。溶岩に磁力があったとしてもせいぜい弱い永久磁石レベルで、1m離しても影響が出るのは産業用の電磁石クラスとなり、自然環境下ではまずありえない。
携帯電話についてもアンテナの数が少なかった時代の話で、現在の各携帯会社のサービスエリアを見ればわかるが、樹海の結構奥深くまで通話と通信が可能となっている。しかもエリア内は山梨県の要請によりアンテナの数を通常より多く設置している。
関連動画
関連項目
関連リンク
- 5
- 0pt