「沈黙!! それが正しい答えなんだ」とは、漫画『HUNTER×HUNTER』内の台詞である。
概要
冨樫義博による漫画作品『HUNTER×HUNTER』のNo.003(第3話)「究極の選択」にて登場した台詞。
人生を賭けた試験の関門として、明確な「正解」を出せないような2択クイズを出された主人公「ゴン」ら。結局は解答できないままに制限時間の5秒が過ぎてしまう。ゴンの連れの「レオリオ」はそんな問題を出されて不当に失格させられたと思い激昂、出題者を撲殺しようとする。だが、別の連れ「クラピカ」は「自分たちは正解したのだ」としてレオリオを制止し、「沈黙!! それが正しい答えなんだ」と発言するのだった。
その「クイズ」とは要するに「自分にとって大事な二人のうち、片方しか助けられない状況になったらどちらを助ける?」といったもの。ちなみに「①か②で答えること」「それ以外のあいまいな返事は全て間違いとみなす」という条件が提示されている。
ゴン・レオリオ・クラピカの3人の中で明確に「沈黙が正解だと見抜いたから言葉で答えなかった」描写があるのはクラピカのみで、見抜いたきっかけも「自分たちの直前にこの問題に言葉で答えて先行した男が参考になった」という偶発的なものであった。レオリオはこのクイズに納得できず「タイムリミットが過ぎてから出題者を殴り殺そう」と思っていたので解答しなかった。ゴンは答えを出せずに考え込んでいた。
『HUNTER×HUNTER』は有名な人気作であり、なおかつこの「究極の選択」は初期の話数でもあり、このエピソード自体の知名度は高い。そのためかニコニコ動画などでも、何らかの選択肢が動画に登場した際などに「沈黙!! それが正しい答えなんだ」または「答えは沈黙」(これについては後述)といったコメントが書き込まれることがあるようだ。
このNo.003「究極の選択」の回は、『HUNTER×HUNTER』のコミックス第1巻に収録されている。
この台詞への流れの詳細
このNo.003「究極の選択」は、「ハンター」という職業に就くための資格試験「ハンター試験」に挑む目的で、本作の主人公「ゴン」が試験会場に向かう道中が描かれた回の一つである。
前話であるNo.002「嵐の出会い」にて親しくなった同じくハンター試験に挑戦する連れの2名「クラピカ」「レオリオ」とともに、ゴンは「山の上の一本杉」を目指して移動を始める。そこがハンター試験会場への近道となると人から教わったためだ。
だがその道中である寂れた町を通っていると、突然老婆が彼らの前に立ちふさがり、ガスマスクを付けた多数の人間も彼らの周囲を取り囲んだ。
緊迫した雰囲気の中で、老婆は口を開く……
緊迫した雰囲気が台無しになったが、老婆は説明を続ける。
これから1問だけクイズを出題する
考える時間は5秒間だけ
もし間違えたら
それを聞いて、3人はこのクイズもハンター試験の関門の一つらしいと納得する。そして老婆は追加で
①か②で答えること!!
それ以外のあいまいな返事は全て間違いとみなす
という条件も告げた。
これを聞いた3人が「3人で1問だけだと、自分以外が間違えた時に損ではないか」という意見や「誰か1人だけ答えを知っていればよいのだからむしろ楽」などと話し合っていると、彼ら3人を尾行してきた別のハンター志望者の男が彼らを急かし「何ならオレが 先に答えるぜ」とも告げる。
それを受けて、「問題の傾向が分かる」という理由から3人は彼に先にクイズを受ける権利をゆずることにした。
そして老婆が出した問題は……
という、どう考えても明確な「正解」は無いはずのものであった。
男の本音の答えは②であったが、老婆の好みの答えを予想して「①!!」と答える。「なぜそう思う」と老婆に問われると、「そりゃあ~~母親は この世にたった一人だぜ 恋人はまた見つけりゃいい」と話した。すると老婆とガスマスクの人々はボソボソと相談し、「通りな」と男を通してしまった。
このやり取りを目にしたレオリオは激昂し、こんなクイズは認めないとして別のルートで行くと啖呵を切る。しかし老婆はそれを許可せず、クイズを受けないなら失格にするとも告げる。
そこで何かに気づいたクラピカはレオリオを制止しようとするが、老婆は先回りして「ここからは余計な発言をしたら即失格とする!!」と告げ、クラピカの発言も封じてしまう。
老婆が次に出した問題は、
といったもの。レオリオはとうとうブチ切れてしまい、老婆が5秒間のカウントダウンをしている間に、近くにあった棒を武器として手にする。そしてカウントダウンを終えた老婆を撲殺しようとしてレオリオはその棒で殴りかかったが、クラピカはレオリオと老婆の間に割って入って止めた。
レオリオを落ち着かせるため、クラピカは彼に「せっかくの合格を棒にふる気か?」と問いかける。
沈黙!!
それが正しい答えなんだ
この後、なぜ「沈黙」が正解であるのか、そしてクラピカがそう見抜いた理由などが解説されていく。
このクイズの真の意図
ちなみに、老婆はゴンたち3人と別れる際に自分の心中にて、「このクイズの真の意図」を以下のように告げている。
あらゆる残酷な空想に耐えておけ
いつか来る
別れ道に備えて
この「いつか来る 別れ道に備えて」のコマではゴン・レオリオ・クラピカの3人の後ろ姿が描かれており、彼らの「別れ」を予感させる不穏な描写となっている。
本当に「沈黙」だけが正しい答えなのか
作品内では「時間切れになるまで沈黙すること」が正解と設定されているようだ。「2択クイズ」と題してはいるが、「沈黙」が想定された正解選択肢であるなら正確には「2択」ではなく「3択」と言えるかもしれない。
だが「時間切れだから失格」または「沈黙もあいまいな返事だから不正解」と設定して「時間切れになるまで沈黙した」者を弾くこともできてしまうことを考えると、出題者の裁量次第で正解/不正解を変えられるタイプの問題であると言えよう。
ゴンたちより先にこのクイズに答えた男は、提示された2択の中から「出題者の好みに合った答えをしよう」という発想に沿って答え、そしてどうやら不遇な扱いを受けたようだ。ただし出題者はこの男に「なぜそう思う」と聞き、男は自分の心中とは異なる虚偽の理由を告げている。その上で出題者らが何やらボソボソと相談してから処遇を決めたらしい描写もある。
よって実は「その答えに至るまでに真剣に考えた様子があるかどうかを評価していて、真剣に考えていた様子がある者は答えの如何に問わず正解扱いにされる」という可能性もある。「沈黙以外の答えは自動的に全て不正解」であるならば相談する必要はないだろうし、前述の「このクイズの真の意図」から考えても、真剣に考えてから答えた者は「真の意図」を達成していると言えなくもない。
「答えは沈黙」
なお、なぜかネット上では「答えは沈黙」という表現で言及している例が少なくないようだ。
どこかの時点で誰かが「沈黙!! それが正しい答えなんだ」という元の台詞を要約して「答えは沈黙」と表現し、それが広まったものなのだろうか。
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