ATACSとは、JR東日本が使用している保安装置である。
概要
簡単に言えば、信号が無くなった保安装置である。ATCとは違い、閉塞は常に移動する移動閉塞方式を採用している。
先行列車との距離は地上設備との通信により、列車に搭載されている装置が判断し、制限速度を表示する。
地上設備は線路に地上子を設置するのではなく、無線基地局を設置することになるため、コストの削減にもつながる。
緊急停止スイッチを押せば他の保安装置と同じように非常ブレーキで停止するが、それ以外にも踏切で自動車が立ち往生し、遮断器が完全に閉まらなかったときでも非常ブレーキが作動し、緊急停止するようになっている。
また、ATACS非対応車がATACS区間に誤進入した場合は、区間内の走行列車が緊急停止する。
そんなATSやATCより高機能でかつ低コストな保安装置であるが、実験に首都圏の路線を使うわけにもいかず、トンネルや高架橋、カーブなどいろいろな条件が揃った仙石線で実験を行うことになる。
1997年から走行実験が行われ、2010年までに使用する用件を満たしているとして、2011年3月27日に仙石線(あおば通駅~東塩釜駅)で本格的な使用を開始することとなった。
しかし、東北地方太平洋沖地震の影響で延期となり、9月30日に使用開始となった。ところが、台風で再び延期し、10月10日にようやく使用を開始したのであった。
こうした実験を経て、2017年11月4日より埼京線で正式に運用を開始した。これまで埼京線はATC-6型と呼ばれる古いシステムを運用していたため、無駄な減速や乗り心地の悪さが問題視されていた。ATACS導入後からは進入速度の向上、乗り心地の向上を実現させた。この他小海線にも導入されている模様。
今後2028年~2031年までに山手線・京浜東北線にも導入する予定である。
なお仙石線では前の電車に対し200mまで詰められる仕様だったのを埼京線では100mに、山手線・京浜東北線では50mまで詰められる仕様になる模様である。
海外では似たような装置として、ヨーロッパでETCS Level3が開発中であるが、実用化には至っていない。
将来的には2018年までにATACSを国際規格化することを目標としている。
実際、鉄道の国際規格の殆どはヨーロッパ発のもので、日本発のものは非常に少なく、信号保安関係以外からも注目が集まっている。
関連動画
関連リンク
- 埼京線への無線式列車制御システム(ATACS)の導入について - JR東日本(PDF)(ニュースリリース/2013.10.08)
- 埼京線への無線式列車制御システム(ATACS)の使用開始について - JR東日本(PDF)(ニュースリリース/2017.10.03)
関連項目
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