TS020とは、トヨタ自動車が開発したレースカーである。愛称は「GT-One」。
概要
TS020は1998年のル・マン24時間レースに出場するため、ドイツを拠点に活動するトヨタ直系のレーシングチームである「トヨタチームヨーロッパ」が開発したのがこのマシン。
車両デザインは、ルノーのF1カーやプジョーのラリーカーのデザインを手がけた実績のある、フランス人デザイナーの「アンドレ・デ・コルタンツ」氏が担当。
車体構造はイタリアのレースカー製造メーカーである「ダラーラ」のモノコックフレームを採用。エンジンとトランスミッションは自社製。ミッドシップマウントで後輪を駆動する。サスペンションは、フォーミュラカーの流れを汲むダブルウィッシュボーンを採用。
このマシンはGT1クラスに出場する目的で作られた。そのため、公道走行可能なバージョンが1台だけ存在する。
1998年当時のGT1クラスのルールでは、公道走行可能車として登録出来るクルマ1台以上を製作し、実際に公道にデビューさえすれば、市販の有無にかかわらずレースカーのベース車として採用可能だった。
そこで、トヨタは比較的規制の緩いイギリスで登録を行った。 ほかにも、ル・マンの当時のルールブック上では
GT1クラスの車両は、規定容量以上のトランクスペースが必須であったが、トヨタは運転席後方の僅かなスペースをトランクスペースとして書類記載をするゴリ押しをやってのけたほか、レース用燃料タンクはトランクスペースに置いてもよいというルールにもとづき、そこに燃料タンクを設置することになった。こうやってルールブックの隙を突くカタチで生まれたのがTS020である。
1992年のTS010、1994年の94C-VとグループC時代に2度に渡って2位に惜敗しているトヨタとしては、必勝を期したマシンだった。
しかしレースに出場してみると…
1998年のル・マン24時間レースでは、期待通りGT1クラスでブッチギリ優勝、するかに思われた。
しかし、トランスミッションの故障により後退。最初はトランスミッション交換でどうにか凌いだものの、
残り1時間時点でコース上で故障が再び発生し、ピットに戻れずリタイアとなる。その時既にトップだったので
もし故障していなければ確実に優勝出来たはずである。
結局、日本人3人組(片山右京、鈴木利男、土屋圭市)のチームが9位でフィニッシュするにとどまる。
翌年はGT1クラスが廃止されLMP(プロトタイプ)クラスで出場となる。LMPクラスの規定に合わせて改造されたバージョンが3台投入された。予選では上位に食い込み優勝候補となったが、1号車がトランスミッションの故障とタイヤバーストでリタイア、2号車は追突されリタイア。残った3号車がトップを走っていたBMWに猛追撃していたところ、320km/h超の猛スピードで走行中にタイヤバーストを起こす。かろうじてピットには戻れたものの、その後の追撃もむなしく
優勝を逃してしまう。しかし、どうにか総合2位には入賞することが出来た。
トヨタはこれを最後にF1参戦プロジェクトに注力することになり、ル・マン24時間レースからは実に2012年のTS030ハイブリッド開発まで遠ざかることになる。そして、トヨタが勝利を飾るまでは、2018年のTS050ハイブリッドまで待たなければならなかった。
登場作品
- グランツーリスモシリーズ
1,コンセプト2001東京,4プロローグ,5プロローグ以外の作品全てに登場。
ちなみに、グランツーリスモ3ではウィリーさせると速度計が無限に上昇する仕様となっており、
(下記関連動画参照)
バグ技ではあるが数千km/hを出せてしまう。そのバグ技が実行しやすく効果が最もあったのがこのGT-Oneである。 - Forza Motorsportシリーズ
関連動画
関連商品
関連項目
- トヨタ自動車
- ル・マン24時間レース
- TS030ハイブリッド(後継車種)
- WEC(世界耐久選手権)
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