まんばのけんちゃん(マンバのけんちゃん、万葉のけんちゃん)とは、香川県の郷土料理である。
ゆでてからさらにアク抜きをした「まんば」を、豆腐や油揚げと一緒に出し汁で煮たもの。煮る前に炒めるレシピもある。
「友達の呼び方みたい」であるかのように感じられるとのことで、ユーモラスな名前の郷土料理として知られる。
「まんば」とは香川県の中でも高松市など東側の地域(東讃地方)において、農家でも家庭菜園でも作られている野菜。葉が多く、外側の葉を収穫しても内側に残った葉が成長して何度も収穫できることから「万の葉」という意味で「万葉」(まんば)と呼ばれるようになったと推測されている。冬が旬で、霜が降りるたびに葉が紫色に変わって柔らかくなり甘みが増して味もよくなるため、数回霜が降りて十分柔らかくなったものをこの料理に使うのがよいとのこと。
「高菜の一種」と説明されることが多く、品種的には「三池高菜」や「かつお菜」であることが多いらしい。江戸時代にはこの地域には「讃岐高菜」が存在していて「まんば」と呼ばれていたがアクが強くアク抜きが大変だったとのことで、既に途絶えている。一方三池高菜は数十分でアク抜きが終わる。
「けんちゃん」については、野菜や豆腐を油で炒めてから湯葉で巻いて油で揚げた「ケンチェン」という料理が存在した[1]ので、ここから転じたのではないかと思われる。これは「けんちん汁」の名にも関連したとも言われる。
なお「ケンチェン」は中国からもたらされた精進料理である普茶料理の中の「巻繊」であろうと推測されている。普茶料理は長崎の卓袱料理に影響を与えたために卓袱料理には「けんちん」(長崎けんちん)という「巻繊」に似た料理もある。そのためか「卓袱料理のけんちんが訛ったもの」といった説明がされることもある。
「万葉のけんちゃん」や「マンバのケンチャン」といった名称で1950年代の書籍・雑誌などに掲載されている[2]ので、少なくとも1950年代には存在した料理である。それ以前のいつ頃から存在したのかは定かでない。1960年代の書籍[3]ではすでに「ユーモラスな名前である」と記されている。
また、明治41年(1908年)の書籍『各地特殊料理百珍』[4]には「尾道市 花葉女報[5]」の投稿として「筍のケンチャン」という「タケノコを炒めて豆腐を入れて混ぜて調味料で味を調える」という手順の料理が掲載されており、この時代には瀬戸内海を挟んだ対岸にある広島県尾道市にも「ケンチャン」というほぼ同じ手法の料理が残っていたことがわかる。さらに、この書籍では評として「これはケンチエンの下拵であります。」「此料理法は普通けんちえんの仕方で、」などとあるため、ケンチェンから転じたという仮説を補強する。
食生活の欧米化などもあって、徐々に作られることは減っているという。「アク抜きをする手順が面倒」という声もあるという。しかし郷土料理として学校給食には取り入れられているため、他の都道府県出身の親などが給食のメニュー表を見て「なにこれ?」と首をかしげることもあるという。
なお、「まんば」は香川県の西の方(西讃地方)では「ひゃっか」と呼ばれる。これは「百貫(ひゃっかん)がなまったもの」とも、上記のように何度も葉が採れることから「百花」と呼んだものとも言われる。また「けんちゃん」ではなく「雪花」(せっか)や「雪花煮」(せっかに)という美しい呼び方で呼ばれているそう。これは白い豆腐が雪のように見えるからであると推定されている。つまり香川県の東では「まんばのけんちゃん」と呼んでいる同じ料理が、西では「ひゃっかの雪花」(百花の雪花煮)と呼ばれているのである。
作り方の一例[6]:
この他にも、炒めずに煮る場合もあるなど、作り方は家庭によって千差万別であるようだ。以下の「関連リンク」のリンク先各所に様々なレシピが載っているため参照されたい。
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最終更新:2025/12/08(月) 16:00
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