イザボー・ド・バヴィエール(Isabeau de Bavière)
本記事では1.について説明した後で、2.についても触れる。
1370年頃、神聖ローマ帝国はバイエルン公領にてバイエルン=インゴルシュタット公シュテファン3世の長女として生まれる。当時の名前はドイツ語でエリーザベト・フォン・バイエルン(Elisabeth von Bayern)。
1385年7月17日、14歳で当時16歳のフランス王シャルル6世と結婚するも、後に彼が発狂。元々彼の血筋には精神疾患を発症する傾向があったものの、1392年の夏に突如として剣を抜き、弟のオルレアン公ルイを含め誰彼かまわず斬りかかるという騒動を起こしている。以降も正常なときはまともだが、一度再発すれば自分の名前もイザボーのことも分からなくなる状態となっていた。
そんな事もあってか、イザボーはシャルル6世の摂政となり、王弟ルイと共に政務を司りつつ彼と不倫の関係にいたる。しかしルイとブルゴーニュ公フィリップ2世とは犬猿の仲。争いも絶えない中、最終的にはフィリップ2世の後を継いたジャン1世(ジャン無怖公)によってルイは暗殺される。オルレアン公はルイの子のシャルル・ド・ヴァロワが引き継ぎ、後見人としてアルマニャック伯ベルナール7世が付くことになるが、これが百年戦争をこじれさせる要因となるブルゴーニュ派とアルマニャック派の対立に繋がる。
イザボーは当初アルマニャック派と結びつきつつ、両派の和平を仲介しようとするが、ここで王位継承者が続けて早世するという異変が発生する。そこで残ったシャルルはアルマニャック派によってかくまわれ、イザボーは追放される。しかしイザボーは「敵の敵は味方」とばかりに、釈放に尽力したジャン無怖公と手を結び、さらにシャルルについても私生児であると公言。まさかの自らの子をおとしめることとなった。
やがてジャンも両派の和平を行おうとした際にアルマニャック派の襲撃に遭って殺害される。関係修復も不可能となったため、イザボーとブルゴーニュ派はイングランドと和平交渉に臨み、1420年、判断能力の無いシャルル6世に署名させる形でトロワ条約を締結させる。王太子の姉カトリーヌとイングランド王ヘンリー5世と結婚させフランス王位をイングランドに渡し、さらにロワーヌ川以北もイングランドに譲り渡すという、まさに国を売る内容だった。しかもその後にヘンリー5世とシャルル6世が相次いで亡くなる。カトリーヌは後のヘンリー6世を生んでおり、彼が王位を継承するはずだった。
こうして絶頂となったイザボーではあったが、アルマニャック派は反抗に乗り出し、さらに聖女ジャンヌ・ダルクの活躍もあって、ブルゴーニュ派とイングランドは徐々に劣勢に立たされる。1431年にヘンリー6世がフランス王として戴冠式を行うもブルゴーニュ公フィリップ3世は欠席。そしてイングランドと距離を取ったフィリップを始めとするブルゴーニュ派は、1435年のアラスの和約でシャルル7世及びアルマニャック派と和解し、フランスは一つにまとまった。その数日後の9月24日、イザボーはパリでその生涯を終えた。
こうした経緯もあり、フランス国民からは今も忌み嫌われており「売国妃」と呼ばれることになった。そもそもフランス語では「エリザベート・ド・バヴィエール」と呼ばれるのだが、蔑称として「イザボー」と言われてしまっている。また、先述のオルレアン公ルイだけでなく、ベルナール7世やジャン無怖公とも不貞の関係を持ったと噂されたことから、「淫乱王妃」とも呼ばれている。
ちなみに結婚して間もない1386年から1407年までの21年間にシャルル6世との間に12人の子女をもうけたとされているが、シャルル6世の病状から考えても「流石に1人では無理すぎねえか?」と言う話もあったりする。そりゃ自分の子を臆面も無く「不義によって産まれた子」とも言うだろうなあと。
「女によって戦争が始められ、乙女によって戦争が終わった」
後世の歴史家からはイザボーとジャンヌ・ダルクを対比するこのような言葉が言われている。
以下、『魔法少女たると☆マギカ』のネタバレ成分を多く含んでいます。 ここから下は自己責任で突っ走ってください。 |
「死を(モール)――――」
CV:たかはし智秋(マギアレコード)
前述のイザボーが魔法少女だったらという設定で登場。イングランド側の魔法少女が絶対的忠誠を誓う主であり、中でも実子であるラピヌ・コルボー・ミヌゥの仮面の3姉妹はその指示に忠実に従っている。
しかし、非常に口数が少なく、目もうつろで感情も乏しい。それもそのはず、彼女は既に人ならざる物となっていたのである。
彼女の願いの内容は「自らがキューブ(インキュベーター)になる」というもの。キューブと話しているうちにその目的や出自まで聞き出し、その能力に興味を示す。そして聡明な彼女は魔法少女となる際にこのような願いを行い、自らの手によってキューブに成り代わり、侍女達を半ば強引に次々に魔法少女へと変え、フランス統治のための手駒として使っていった。しかも実子以外は全て意志や心を奪っており、イザボーの操り人形と化したのである。イングランド側の魔法少女が本物のキューブを知らないのも無理はない。
しかしイザボーにも誤算があった。それは肉体はキューブであっても、実際は魔法少女であるということ。そして力を使えば使うほどソウルジェムは濁っていくということ。それに気づかなかったイザボーは遂に超弩級魔女「女王(ラ・レーヌ)の黄昏」へと変貌する。その因果のエネルギーはフランス全土を包む結界となり、国民の嘆き悲しみを取り込んで強大化する。
魔女化した際に長女のラピヌが「お母様を元に戻して」と願ったことで人間の姿に戻ったのだが、これが不完全であったため自我は保っていても、実際は邪悪な意志のみ残したままであるため、精神も野望も歪んでいってしまった。さらに末女ミヌゥが「母をいかなる魔法少女からも脅かされぬように」と願ったことで、イザボーに対する魔法少女からの攻撃は無効と化していた。
終盤において魔女の姿を現してフランス軍を襲撃。タルト達も立ち向かうがミヌゥの願いの影響もあり歯が立たない。しかし、限界を超え真に覚醒したタルトは魔女に近いイレギュラーとしての力を発揮。彼女によって倒された。イザボーは抜け殻と化し、その後は魔法少女の力が無くなったミヌゥに寄り添われたまま、生涯を終えたという。
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最終更新:2024/11/30(土) 12:00
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