数学の分野で業績を上げた研究者に贈られる賞。国際数学者会議によって定められ、数学のノーベル賞ともいわれるが、肝心の会議自体が4年に一度、また対象が40歳以下の若手研究者に限られるなど、ノーベル賞に比べてもさらに狭き門である。
提唱者は1924年に会議の議長を務めたトロント大学数学科教授ジョン・チャールズ・フィールズであり、彼は会議運営資金の余剰金を基にしようとしたものの、のちにフィールズの遺産が寄贈されたことからこの名になった。
1936年に始まり、1966年からそれまでの2人から4人までに受賞者数が増やされた。
なお、1982年から始まった理論計算機科学の分野におけるネバンリンナ賞、2006年から始まった社会的影響力の強い数学者を表彰するガウス賞、に関しても同じく国際数学者会議が選定している。
受賞年 | 名前 | 授賞理由 | 備考 |
---|---|---|---|
1936 | ラース・ヴァレリアン・アールフォルス | 被覆空間の観点から逆関数のリーマン面を解析する方法を発展させたため | |
ジェス・ダグラス | プラトー問題の解決 | ||
1950 | ローラン・シュヴァルツ | 超関数の一般化 | |
アトル・セルバーク | 高度な定理を用いない初等的方法で素数定理を証明 | ||
1954 | 小平邦彦 | 調和積分論 | |
ジャン=ピエール・セール | 代数位相幾何学 | ||
1958 | ルネ・トム | トポロジーの研究で微分可能多様体の分類にコボルディズムの概念を導入 | |
クラウス・フリードリッヒ・ロス | 整数論 | ||
1962 | ラース・ヘルマンダー | 偏微分方程式 | |
ジョン・ウィラード・ミルナー | 微分位相幾何学 | ||
1966 | マイケル・フランシス・アティヤ | 位相幾何学と解析学 | |
アレクサンドル・グロタンディーク | 代数幾何学 | ||
ポール・コーエン | 集合論において連続体仮説がほかの公理から独立していることを証明 | ||
スティーヴン・スメイル | 位相幾何学 | ||
1970 | ジョン・グリッグス・トンプソン | 群論 | |
セルゲイ・ノヴィコフ | 位相幾何学 | ||
広中平祐 | 「特異点解消の問題」の解決 | ||
アラン・ベイカー | 整数論 | ||
1974 | エンリコ・ボンビエリ | 整数論 | |
デヴィッド・ブライアント・マンフォード | 代数幾何学 | ||
1978 | ダニエル・キレン | 代数的K理論 | |
ピエール・ルネ・ドリーニュ | 代数幾何学 | ||
チャールズ・ルイス・フェファーマン | 古典解析 | ||
グレゴリ・アレキサンドロヴィッチ・マルグリス | リー群論 | ||
1983 | アラン・コンヌ | 作用素理論 | |
ウィリアム・サーストン | 位相幾何学 | ||
丘成桐 | 大域的微分幾何学および楕円型偏微分方程式 | ||
1986 | サイモン・ドナルドソン | 位相幾何学 | |
ゲルト・ファルティングス | 数論的代数幾何学 | ||
マイケル・フリードマン | 4次元ポアンカレ予想の解決 | ||
1990 | エドワード・ウィッテン | 超弦理論 | |
ヴォーン・ジョーンズ | 作用素環論と結び目理論 | ||
ウラジーミル・ドリンフェルト | 代数幾何学および数理物理学 | ||
森重文 | 「極少モデル」空間の存在解明 | ||
1994 | エフィム・ゼルマノフ | リー代数理論を用いて制限バーンサイド問題を解決 | |
ジャン・ブルガン | バナッハ空間の部分空間に関する研究の発展、ルイス・アントニオ・サンタローの不等式の照明、エルゴード理論におけるいくつかの問題への新しいアプローチ、調和解析と古典的な作用素や非線形偏微分方程式における業績 | ||
ジャン=クリストフ・ヨッコス | 力学系の研究 | ||
ピエール=ルイ・リオン | 偏微分方程式 | ||
1998 | ウィリアム・ティモシー・ゴワーズ | バナッハ空間論 | |
マキシム・コンツェビッチ | 代数幾何学および代数的位相幾何学 | ||
リチャード・ボーチャーズ | 代数学 | ||
カーティス・マクマレン | 力学系 | ||
アンドリュー・ワイルズ(特別賞) | フェルマーの最終定理 | ||
2002 | ウラジーミル・ヴォエヴォドスキー | 代数幾何学 | |
ローラン・ラフォルグ | 整数論と解析学を結び付ける | ||
2006 | ウェンデリン・ウェルナー | 確率過程、ブラウン運動 | |
アンドレイ・オコンコフ | 確率論、表現論、代数幾何学を結び付ける | ||
陶哲軒 | 変微分方程式、組み合わせ論、調和解析、加法的整数論 | ||
グリゴリー・ペレルマン(辞退) | ポアンカレ予想 | ||
2010 | ゴ・バオ・チャウ | ラングランズ・プログラムにおける基本補題の新しい代数幾何的手法による証明 | |
スタニスラフ・スミルノフ | パーコレーションと統計物理学のイジング模型における共形不変性の証明 | ||
セドリック・ヴィラニ | ボルツマン方程式とランダウ減衰に関する研究 | ||
エロン・リンデンシュトラウス | エルゴード理論とその整数論への応用 | ||
2014 | アルトゥル・アビラ | 力学系理論 | |
マルティン・ハイラー | 確率偏微分方程式理論 | ||
マンジュル・バルガヴァ | 数的幾何学 | ||
マリアム・ミルザハニ | リーマン面とそのモジュライ空間の力学と幾何学 | 初の女性受賞者 | |
2018 | アクシェイ・ヴェンカテシュ | 解析的数論、等質力学系、トポロジー、表現論の統合 | |
ピーター・ショルツ | パーフェクトイド空間の導入、ガロア表現への応用、新しいコホモロジー理論の発展 | ||
コーチェル・ビルカー | ファノ多様体の有界性の証明、および極少モデルプログラム | ||
アレッシオ・フィガリ | 最適輸送の理論貢献、その偏微分方程式、距離空間の幾何学、確率論への応用 |
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