ポスト・ヒューマニティーズとは、1990年代末から2000年代より勃興しつつある哲学の領域である。
20世紀後半に接見したポスト構造主義、ポストモダンが古典と化しつつ衰退していき、ソーカル事件などで大打撃を与えられた大陸哲学。フランクフルト学派を中心としたドイツ人文主義といった、なおも影響力を維持していた分流はあったものの、すでに世界は分析哲学、プラグマティズムを中心とした英米哲学が席巻していた。
そんな中、ポストモダンの哲学を古典とした新しい世代が活動をはじめ、2000年代後半から多数の分流と化していった。そうした哲学の一領域をポスト・ヒューマニティーズと呼ぶ。
日本でも2010年代後半から、青土社の雑誌「現代思想」を中心に特集が組まれ、首都圏では大型書店でフェアが開催されるなど、次第に知られるようになり、カンタン・メイヤスー、マルクス・ガブリエルといった、ある程度市民権を得た人物も登場するようになった。
2007年4月27日にロンドン大学ゴールドスミス校で行われたワークショップに端を発する潮流。哲学は思考と実在(あるいは人間と世界)の相関関係だけを扱えるという「相関主義」を克服することをスローガンにしており、ポスト・ヒューマニティーズのきっかけとなったものである。
しかし、それ以外ではグレアム・ハーマン、カンタン・メイヤスー、レイ・ブラシエ、イアン・ハミルトン・グラントら4人のオリジナルメンバーの立場はほとんど不一致に近く、次第にほかの陣営にバトンタッチしつつある。
object-oriented ontology、略してOOOとも呼ばれる、グレアム・ハーマンによって思弁的実在論から派生した潮流。「相関主義」を乗り越える点では一致しているが、さらに個体的対象(オブジェクト)を還元不可能な究極的要素とみなす。
メンバーとしてはグレアム・ハーマン、レヴィ・ブライアント、イアン・ボゴスト、ティモシー・モートンらが属する。
マヌエル・デランダ、ロージ・ブライドッティがそれぞれ用いた「新唯物論」という表現を源流として誕生した潮流。思弁的実在論などのようにワークショップを通じた相互交流が行われておらず、それぞれの論者が個別に展開しているなど、だれが属するのかも実際ははっきりしていない。
他のメンバーとして、カレン・バラード、ジェーン・ベネットなどが属するとされる。
マルクス・ガブリエルとマウリツィオ・フェラーリスが2011年6月23日にナポリで行われた国際会議の名称として命名したことで誕生した潮流。両者では微妙に立場が異なるが、ポストモダンを構築主義とし、その克服を目指している点で共通している。
会議自体にはジョン・サールやポール・ボゴシアンも参加している。
アミリア・ヘナレ、マル. ティン・ホルブラード、サリ・ワステルらによって、論文集『事物を通して考える』の序論で導入されたことで成立した潮流。人類学の「自然/文化」といった西洋的前提を、事物に着目して相対化しようとする試みを存在論的展開と定義する。
他に属する人物として、ブルーノ・ラトゥール、アルフレッド・ジェル、マリリン・ストラザーン、エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロ、ロイ・ワーグナー、フィリップ・デスコラなどがあげられる。
1980年代より科学技術社会において展開されている議論で、ポスト・ヒューマニティーズというよりはその影響元とも考えることができる。ブルーノ・ラトゥール、ミッシェル・カロン、ジョン・ロウらが属している。
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最終更新:2025/12/10(水) 18:00
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