JR東日本の車両「E721系」とは異なります。 |
721系とは、JR北海道(北海道旅客鉄道)が所有、運用している近郊形電車である。
国鉄分割民営化以後、それまでの都市間輸送だけではなく札幌圏の中・短距離輸送にも力を入れだしたJR北海道ではあったが、列車の増発に伴い増え続ける乗客、さらには、民営化直前やJR化後に設置された駅の増加により、頻繁に列車の加減速を行うこととなり、それまで普通列車の運用に就いていた711系やED75牽引の50系客車では乗客を完全に捌き切れなくり、遅延が常態化していた。
そこで、新たな接客サービスと首都圏を走る電車並みの加減速性能、乗客の乗降をスムーズにするための設備を持った車輌を開発する事となった。
これが721系である。
実に、711系以来20年ぶりの北海道向け近郊型電車の開発となった。
国鉄211系近郊形電車を参考に設計され、1988年に1次車(0番台)が落成したのち2003年落成の8次車(4000・5000番台)の増備まで15年の長きに渡り、増備が続けられる事となった。
のべ135輌が生産され、かつては全車が札幌運転所に配置されていた。
運用範囲は函館本線(小樽駅~滝川駅)、千歳線・室蘭本線(札幌駅~苫小牧駅)、札沼線(学園都市線/札幌駅~北海道医療大学駅)の普通列車と、快速「エアポート」の主力車輌として小樽駅~新千歳空港駅で運転されている。
なお、快速「エアポート」は最高速度130km/h対応の3000番台・4000番台・5000番台の6両貫通編成でのみ運転される(ただし、現在は全列車120km/hで運転)。そのため、最高速度120km/h仕様の初期型(第14編成まで)や、最高速度130km/hに対応する編成でも、3両編成は全て普通列車のみの運用となっている。
製造年代や車両の番台で動力方式や最高速度性能、車両の内装に差異がある。
特に1次車は車内の壁が青、デッキの仕切り板が黄色、座席の色が赤と、目に優しくない奇抜な内装で話題となった。
経年劣化により座席は茶色の落ち着いた色の物に交換されたが、肘掛けは元の色の赤のままである。もう少しなんとかならなかったのだろうか。
731系などの後継形式とともに札幌圏の旅客輸送の主力として現在も活躍しているが、函館本線(岩見沢駅~旭川駅)への737系導入に伴うワンマン化による本形式の撤退、733系の増備などにより2023年から一部廃車が発生しており、2030年度までに全車が「高効率機器を採用した電車」に置き換えられる事が、JR北海道から発表されている。
製造年次ごとにグループ分けされ、基本的に1年ごとに「n次車」と呼ばれる。
1988年から1992年にかけて1~5次車として登場した。最高速度は120km/hで、制御装置はサイリスタ位相制御である。1~4次車は全て3両編成として合計22本66両が製造された。これらは2M1Tの組成であり、編成は以下のようになっている。
↑小樽・北海道医療大学 | |
クモハ721-0 | 雪切室(客室部)、発電ブレーキ用の屋根上抵抗器搭載 |
モハ721-0 | |
クハ721-0 | 小樽方にトイレあり・一部車両は一時期半室uシート化 |
↓滝川・新千歳空港・苫小牧 |
5次車は快速エアポート用の車両として6両編成が3本18両と、4次車の3両編成に増結して6両化するための中間車3両の合計21本が製造された。これによって登場した6両編成は4M2Tの組成であり、編成は以下のようになっている。ただし、在来車3両に新造車3両を組み込んで6両化したF-22編成のみ付番法則が異なり、在来車の改番は行われず、新造車はサハ721-22、モハ720-23、モハ721-23として付番されている。また、6両編成の編成番号は前後3両ずつ別の番号となっており、これは後に製造される733系にも引き継がれている。
↑小樽・北海道医療大学 | |
クモハ721-200 | 雪切室(客室部)、発電ブレーキ用の屋根上抵抗器搭載 |
モハ721-200 | |
サハ721-200 | 小樽方にトイレ、旭川方に車掌室あり・後にuシート化 |
モハ720-100 | 発電ブレーキ用の屋根上抵抗器搭載 |
モハ721-100 | |
クハ721-100 | 小樽方にトイレあり |
↓滝川・新千歳空港・苫小牧 |
0番台は最終的に3両編成21本と6両編成4本(3両編成からの編入含む)の合計87両が製造された。
3両の一部編成(F-15、F-17、F-19編成)のクハ721形と6両の全編成のサハ721形は2000年頃に旭川方の客室が指定席用にuシート仕様に改造され、サハ721形は2003年に小樽方の客室もuシート仕様として全室uシート化された。その一方、3両編成のクハ721形は全て元の座席に復元された。
3両の一部編成(F-15編成以降)と6両の全編成は快速エアポートで開始する130km/h運転に対応するため、2002年に対応するための改造が行われ、3000番台に改番(原車番に3000を加算)された。また、F-7編成は2010年にクモハ721形の電装解除とモハ721形のVVVFインバータ制御化改造などが行なわれ、2000番台に改番された。これらの改番により、最終的に現存した0番台は3両13編成の計39両である。
1993年から1994年にかけて6~7次車として登場した。最高速度は130km/hで、制御装置はGTO素子を用いたVVVFインバータ制御である。全て3両編成として合計9本27両が製造された。電動車の比率が下げられ、1M2Tの構成となったことによりクハ721形2000番台が登場した。編成は以下のようになっている。
↑小樽・北海道医療大学 | |
クハ721-2000 | |
モハ721-1000 | 発電ブレーキ用の屋根上抵抗器搭載 |
クハ721-1000 | 小樽方にトイレあり・一部車両は一時期半室uシート化 |
↓滝川・新千歳空港・苫小牧 |
2000年頃に一部編成(F-1001、F-1003、F-1005、F-1007、F-1009編成)のクハ721形1000番台の旭川方の客室がuシート仕様に改造された。
F-1009編成は731系開発のためのシステム試験に使用されるため、1995年頃にVVVFインバータの使用素子をIGBTに変更され、また発電ブレーキが回生ブレーキに交換されたため、屋根上の抵抗器も撤去された。
2003年に8次車との編成組み替えにより、F-1009編成を除く全編成に4000番台または5000番台への改番とuシートの元の座席への復元が行われ、これにより、1000番台として存続するのはF-1009編成の3両のみとなった。この編成のクハ721-1009は全室uシート化され、後述するF-5001編成と共に快速エアポート用6両編成の予備車となっている。
2010年に0番台のF-7編成から改番されたことにより登場した。2024年現在はF-2107編成3両のみが存在する。制御装置は0番台のサイリスタ位相制御からIGBT素子のVVVFインバータ制御に更新された。これに伴いクモハ721形が電装解除され、クハ721形に編入されたことにより1M2Tの構成に変更されているが、元クモハ721形の客室部にある雪切室は残された。窓なくていいから客室化して欲しかった。回生ブレーキが搭載されたことから発電ブレーキと屋根上の抵抗器は撤去された。編成は以下のようになっている。
↑小樽・北海道医療大学 | |
クハ721-2200 | 元クモハ721・客室部の雪切室スペース残存 |
モハ721-2100 | |
クハ721-2100 | 小樽方にトイレあり |
↓滝川・新千歳空港・苫小牧 |
2002年に、0番台のうち、3両の7本21両と6両の4本24両が改番されたことにより登場した。車番は原車番に+3000したものとされた。改番に合わせて130km/h運転への対応のためのブレーキの強化や、自動放送装置の搭載などの改造が行われている。
2011年以降に6両の全編成が2100番台と同様の改造を受け、制御装置の更新と回生ブレーキの搭載が行われた。これにより、クモハ721形とモハ720形は電装解除され、4M2Tから2M4Tの組成に変更され、編成は以下のようになった。F-3022+F-3023編成は同時に改番も行われ、F-3222+F-3123編成となった。
2023年には長期留置となっていたF-3016編成が廃車されており、これが721系初の廃車となった。
↑小樽・北海道医療大学 | |
クハ721-3200 | 元クモハ721・客室部の雪切室スペース残存 |
モハ721-3200 | |
サハ721-3200 | 小樽方にトイレ、旭川方に車掌室あり・uシート |
サハ721-3100 | 元モハ720 |
<モハ721-3100 | |
クハ721-3100 | 小樽方にトイレあり |
↓滝川・新千歳空港・苫小牧 |
2003年に、1000番台の3両編成2本で6両を組成し、中間にくる先頭車を新たに製造した8次車の中間車に置き換えたうえ、編成中の車両を全て4000番台に改番することで4本24両が登場した。新造された8次車は内装が一新されている。自由席用の車両は731系に似たものになっていて、混雑対策のためにデッキ仕切り扉の廃止と一部の座席のロングシートが行われ、乗降扉に半自動用ドアボタンとエアカーテンが設置されている他、窓配置も変更されている。uシート車のデッキ仕切り扉は片開きの自動ドアとされた。編成は以下のようになっている。
↑小樽・北海道医療大学 | |
クハ721-4200 | 元1000番台 |
モハ721-4200 | 元1000番台 |
サハ721-4200 | 新造車・旭川方に車掌室あり・uシート |
サハ721-4100 | 新造車・小樽方に車いす対応トイレあり |
モハ721-4100 | 元1000番台 |
クハ721-4100 | 元1000番台・小樽方にトイレあり |
↓滝川・新千歳空港・苫小牧 |
2003年に、1000番台の4000番台化で余った先頭車2両1組と新造した8次車の中間車4両または1両を組み合わせて編成中の車両を全て5000番台に改番することで6両の3本18両と3両の1本3両(F-5001編成)が登場した。6両編成用の新造車の内外装は4000番台とほぼ同様であるが、制御システムには731系のものが採用され、電動車の制御装置はIGBT素子のVVVFインバータ制御となった他、回生ブレーキも搭載されている。F-5001編成用の新造車には8次車の自由席用車両で唯一デッキ仕切り扉が設置されている。
F-5001編成は前述のF1009編成と共に快速エアポート用6両編成の予備車とされており、6両編成が不足した際にこの2編成で6両を組成して快速エアポート運用に入ることがあるとされているが、2024年現在は733系6両編成が増備されたことにより快速エアポート用の編成は余り気味であり、そのような代走が今後見られる可能性は極めて低いと思われる。
6両の編成は以下のようになっている。
↑小樽・北海道医療大学 | |
クハ721-5200 | 元1000番台 |
モハ721-5200 | 新造車 |
サハ721-5200 | 新造車・旭川方に車掌室あり・uシート |
サハ721-5100 | 新造車・小樽方に車いす対応トイレあり |
モハ721-5100 | 新造車 |
クハ721-5100 | 元1000番台・小樽方にトイレあり |
↓滝川・新千歳空港・苫小牧 |
↑小樽・北海道医療大学 | |
クハ721-5002 | 元1000番台 |
モハ721-5001 | 新造車・デッキ付き |
クハ721-5001 | 元1000番台・小樽方にトイレあり |
↓滝川・新千歳空港・苫小牧 |
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最終更新:2024/12/27(金) 04:00
最終更新:2024/12/27(金) 04:00
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