80年代に入り、初期の113系や115系等の車両も老朽化し、それまではいずれもマイナーチェンジ車を量産するなどしてきたが、既に技術的には古い物となっており、113系と115系の両方に対して、これに変わる新型車両を作る計画が立てられた。
制御方式は当時、走行性能、コスト、技術面でも非常に優れているとされた界磁添加励磁制御とし、車体もステンレスで無塗装、ボルスタレス台車使用等、これまでの近郊型にはない物を採用し、旧型車両に変わる次世代の車両が開発された。これが211系である。
本形式は113系と115系、両方の代替を目的としており、最初から抑速ブレーキと回生ブレーキが採用されているほか、2M3Tの編成でも113系や115系の2M2T編成と同等以上の走行性能を発揮し、編成当たりの電動車の数を減らし、メンテナンスの軽減、コスト削減を図っている。
当時の国鉄の車両としてはかなり優秀な部類に入り、民営化後もJR東日本とJR東海を中心に量産が続けられた。また、後に誕生したJR西日本の221系やJR東海の311系、JR北海道の721系といったJR型車両にも大きな影響を与えた。派生系列として2ドア1M方式の213系が存在する他、ほぼ同じ車体構造や前面形状を持つ車両として、415系1500番台や719系、JR四国6000系などが存在する。このほか、JR西日本には団体・イベント用に開発された「スーパーサルーンゆめじ」が存在した(既に廃車)。
現在も関東地方や東海地方で活躍しているが、関東地方ではE233系の増備に伴いその活躍の場に変化が現れているほか、一部に廃車が発生している。また、東海道線東京口、宇都宮線、高崎線からは既に撤退している。その一方で房総地区の運用に入る等、転属も行われており、今後の動向が気になるところである。一方、東海地方で活躍している車両についても、313系の増備に伴い転属等が行われているが、その後315系の投入により廃車が発生している。一部は地方私鉄に譲渡され始めている。
平坦線区、暖地向けのグループ。座席がクロスシートなのが0番台、ロングシートが2000番台である。東海道線の東京口に投入された。
元々2000番台は東京口の付属編成用としての投入だったが、民営化後は基本編成も0番台から2000番台に変更されて投入された。グリーン車は二階建てに変更(このうち6組は、0番台に組み込まれていた在来車と組み替え、全編成に二階建てが入るように組成された)。
田町車両センターに所属し東海道本線と伊東線で活躍を続けていたが、E233系3000番台の投入により2012年に運転を終了した。
その後は1000番台・3000番台と同じ長野色へと変更し、車両番号はそのまま寒地仕様の6両編成へと改造して中央東線、篠ノ井線等で使用されているが、田町時代に付属編成だった車両は転用されず全て廃車された。
勾配線区、寒地向けのグループ。1000番台がクロスシート、3000番台がロングシートとなっている。
上野駅から北へ向かう宇都宮線・高崎線系統の路線に投入された。高崎車両センターに所属している。
小山電車区が新製配置の編成も16編成あったが、2000年に新前橋電車区に集約された。
民営化後は以下の様な細かい部分の改修が順次施行されており、当初の形態を残す先頭車両は少ない。
2006年、3000番台の一部編成が113系の置換えを目的に幕張車両センターに転属し、帯色も変えて房総地区での活躍を開始した。
しかし京浜東北線から来た209系に置き換えられ、211系は2013年に房総から撤退した。
2012年からは長野支社への転用が開始されており、帯色も長野色として中央東線、大糸線、篠ノ井線で活躍している。
2014年に上野口での運用から撤退した高崎車両センターからの転属組も合わせると3両編成36本が2014年までに出揃い、長野(N編成)と豊田の115系を淘汰した。
長野へ転属しなかった編成は全て高崎に残り、多くの編成で一部の中間車を廃車する短編成化とリニューアル工事を行った上で、2016年8月下旬から順次上越線(水上以南)、両毛線、吾妻線、信越線での営業運転に投入され、115系と107系を置き換えることになった。
なお、5本のみ残った無改造の5両編成については、2014年の高崎線上野口撤退後から2016年のローカル運用投入までの2年間もずっと両毛線で運用を続けていた。
東海道線の211系には登場時より平屋建てのグリーン車(通称「平サロ」)が連結されていたが、座席数を増やした2階建てグリーン車が1989年に登場した。113系にも同型の2階建て車が組み込まれている。定員は平サロの1.5倍に増えた。
2004年に東海道線113系の置き換えが始まると、平屋サロに代わって113系から編入された2階建てサロへの置換えが行われた。2006年より宇都宮・高崎線系統の列車にもグリーン車が連結されることになり、置き換えられた平サロが二階建てサロとペアで転用された。双方とも耐寒耐雪化改造が行われ、1000番台に編入されている。
2014年の高崎線撤退をもって営業運転終了となり、全車廃車となった。これにより、サロ210・211(平屋)、サロ212・213(2階建て)がすべて廃形式となった。
国鉄時代に0番台の4両編成2本が名古屋地区にも投入されており、登場当初は中京色と呼ばれる青帯を巻いていたが、JR東海への継承後まもなく湘南色に変更され消滅した。
民営化後は以下の様な改造を受けており、東京口の0番台とは全くの別物になっている(どちらかというと311系に近くなってる)。
大垣車両区に所属し長らく東海道線で活躍していたが、2012年に神領車両区へ転属し関西本線へと活躍の場を移した。
JR東海は国鉄型車両を全廃とする目標を掲げており、ついに2020年の元旦に新形式「315系」を開発し置き換えをする旨が発表され、その後315系投入により2022年3月のダイヤ改正を待たずして運用離脱、廃車回送された。
JR東海では、JR東日本と異なり国鉄時代に製造されていた仕様をそのまま継承せず、独自の変更を加えた増備車を投入している。冷房装置(集中型→分散型)、乗務員室仕切り、便所の廃止等目立つ変更点も多い。車内はオールロングシートである。
東海道線名古屋地区からは2006年の313系大量導入により、また中央西線からは2022年~2023年の315系の大量導入により撤退しており、現在は静岡車両区(SS,LL.GG編成)配置車が静岡地区の東海道線で活躍している。
組み換えを経て静岡に来たSS編成と2006年に大垣車両区から転属したLL編成があり、どちらも3両編成でトイレはない。東海道線や御殿場線などを中心に活躍しており、313系との併結運転が頻繁に行われている。
6000番台のGG編成は213系と同様の1M車である。御殿場線用の2両編成として静岡車両区に投入されたが、現在では東海道線での活躍が中心となっている。
前述の通り315系投入により神領車両区からは全車撤退となったほか、その影響で静岡車両区に転属してきた313系8000番台により一部のLL編成が玉突き廃車された。
そして2024年3月改正以降は静岡地区に315系3000番台が導入され、大所帯であったJR東海の211系は大きく数を減らした。
なお、一部編成は三岐鉄道へ譲渡されている。(後述)
瀬戸大橋線の開業に合わせて登場したイベント・団体用のジョイフルトレインで、3両編成1本が作られた。JR西日本に在籍した唯一の211系でもある。
車体は快速マリンライナーに連結されるグリーン車と同様である。
鋼製車体で重量が増えてしまい213系の1M方式では力不足となってしまうため、2両ユニットの211系として製造された。クハは213系として製造されている。
岡山を拠点に団体専用列車やイベント列車として活躍していたが、2010年に廃車となった。
同時期に設計された213系も、ここにまとめて記述しておく。
213系は国鉄分割民営化の直前ギリギリという1987年3月に登場した、国鉄最後の新形式車両である。電動車がユニット方式の211系に対して213系は1M方式であり、211系の1M車製造計画で開発されたMT64モーターを載せている。
側面の窓割りは117系と同じでドアは両開き2扉、車体構造は211系同様。
車内は117系と同様の転換クロスシートが採用された。正面は助手席側の窓が拡大され、前面展望がしやすくなった。
国鉄末期の1987年に岡山へ配置され、宇高連絡船に接続する宇野線の快速「備讃ライナー」に使用されていた。民営化後はJR西日本に引き継がれた。
民営化翌年の1988年に瀬戸大橋線が開業し、快速「マリンライナー」として本格的な活躍を開始。グリーン車が作られたのもこの頃で、民営化後に増備された編成の高松側に連結された。
このグリーン車を元にしたジョイフルトレイン「スーパーサルーンゆめじ」も登場している(電動車は211系)。
2003年に223系5000番台とJR四国5000系に置き換えられ、213系はマリンライナーから撤退。2両編成への短縮とワンマン化改造を行い岡山近郊のローカル各線へと身を転じた。サハの一部では先頭化改造が行われた。
グリーン車とサハの各1両は技術試験車「U@tech」へ改造され、クモヤ223との3両編成を組んでいる。
その他のグリーン車は全て廃車、「ゆめじ」も2010年をもって運転を終了した。
2012年から2015年にかけて体質改善工事が行われ、行先表示のLED化や車内の改装が実施されている。
JR東海は2両編成の5000番台を導入しており、211系同様に設計変更が行われている。主電動機はMT64を改良したC-MT64Aを使用。主に関西本線で活躍し、たまに東海道線にも顔を見せていたが、ワンマン化と使い勝手の悪さから関西本線と中央線でラッシュ時限定で活躍を続けていた。
2012年、313系1300番台の増備・211系0番台の転属によって飯田線に転勤。同じく中央西線・関西線より撤退した313系3000番台とともに、119系を置き換えた。
飯田線への転用を前にワンマン化改造が実施され、トイレと半自動ドアスイッチを設置する改造が大阪の近畿車輛で行われた。
JR東海の315系導入に伴い211系に多くの余剰車が発生していた中、三重県の地方私鉄である三岐鉄道がJR東海の211系30両を購入することが決定。2024年3月から6月にかけて、静岡地区のSS編成・LL編成共に5本ずつの合計10編成が、静岡車両区から三岐鉄道方面へ譲渡回送された。
譲渡対象の中には部品取り目的の編成も存在しているが、現時点で詳細は明かされていない。
運行開始時期は整備次第という訳で未定だが、現行の西武鉄道車両の全車置き換えが予定されている。
譲渡された編成は以下の通り。(括弧内はクモハ211・モハ210・クハ210の順)
三岐鉄道に限らず、ステンレスで3両編成が組めるとだけあって20m級の車両が入線できる他地方私鉄(養老鉄道等)への譲渡も考えられるだろう。
名古屋口にはクモハ211-モハ210-サハ211-クハ210で導入されている(2000番台には存在しないクモハがあるのとモハ210・サハ211・クハ210が多いのはこのため)。
1000・3000番台はクモハ211-モハ210-サハ211-サハ211-クハ210という短編成化を見越した編成形態。
これにクロ212-1001を加えた3両が「スーパーサルーンゆめじ」として在籍していた。
種車はサロ124とサロ125だが、偶数奇数の両数差が大きかったため、※のグループは両数の多かった偶数形式から改造されている。
上記の編入時に、国鉄時代に投入された2階建てでないグリーン車は転用されることになったが、工程上の都合から同一編成の2階建てグリーン車を含めて転用されることになった。
掲示板
42 ななしのよっしん
2024/02/10(土) 22:04:18 ID: zOkRGUYMZP
労組資料によると東の車両は延命工事してしばらく使うらしいな
E131あたりでも導入するのかと思っていたが
43 ななしのよっしん
2024/02/14(水) 18:16:03 ID: xc655h/nEU
44 ななしのよっしん
2024/03/21(木) 12:46:50 ID: PsGK40OAH6
>>43
そして中古車として売却を始めてると言う…
(西武天国の三岐鉄道に売られるって誰が考えただろうか?)
三岐鉄道の他だと、富山地方鉄道が213系を大改造して買いそうなんだよな…
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最終更新:2025/02/09(日) 06:00
最終更新:2025/02/09(日) 06:00
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